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名球会・駒田徳広さんが親子に伝えた「挑戦する心」野球体験会で届けた“小さな一歩”の大切さ

10月3日〜4日、新宿中央公園で「ダイバーシティ・パーク2026 in 新宿」が開催された。

さまざまな立場や考え方を持つ人々がスポーツを通じて交流し、お互いの“個性”を理解するきっかけをつくる本イベントに、今年も日本プロ野球名球会が参加。

今回は駒田徳広さんが野球体験会の講師を担当。子どもたちや保護者とボールを交わしながら投げる・捕るという野球の基本を伝え、将来の成長につながるメッセージを届けた。

(写真 / 文:白石怜平)

10年前の第1回から参加、今回は“満塁男”が登場

「ダイバーシティ・パーク in 新宿」は、障がい者スポーツの体験などを通じて、多様な人々が交流できるイベント。2016年の第1回から名球会も参加し、これまで多くの会員が野球の楽しさを届けてきた。

今年その役目を担った駒田さんは巨人・横浜(現:DeNA)で通算2006安打をマークし、プロ初打席を含む通算15本の満塁本塁打を放つなど、“満塁男”として多くのファンの記憶に刻まれている。

通算2006安打の満塁男・駒田徳広さんが講師を担当した

この日は、障がいの有無や性別・野球経験を問わず約40名の親子が参加。

駒田さんはまず、子どもたちに「どんな競技でもやってみて、興味を持ってやってみてください」と呼びかけた。近くでは保護者の方々も熱心に耳を傾けていたことから、成長に向けた知識も共有した。

「小学校6年生までにボールを捕ったり投げたりすると運動神経が良くなります。 神経系の動きは12歳までにたくさんやった方がいいです。 

どんな競技でもやってみて、興味を持ってやってみてください。 ちょっと難しい話をしましたけども、小さい間は思いっきり楽しんで遊んでもらえたらいいと思います」

まずは全員で駒田さんとキャッチボール。投げる・捕るという基本の動きを体験した。

キャッチボールの前に一人でも行えるメニューを複数用意し、地面で弾ませたり真上に投げた間に回転してキャッチするなど、ボール遊びを楽しめるように工夫を凝らした。

そしてキャッチボールに入る前に、「相手をちゃんと見よう」と狙いを定めることを伝える。ジェスチャーを交えつつ、目標の位置へボールを届けるように説明した。

「昔は上手だったんだけど(笑)」と語るが、現役時代は一塁手としてゴールデングラブ賞10回を受賞した名手。相手が捕りやすいところへ投げるという基本を、親しみやすいやりとりの中で伝えていた。

野球に限定せず、ボールを投げる楽しさを体感した

投げ方の説明では正面を向いたまま投げる動作と、横向きの姿勢をつくって投げる動作を示し、その違いを伝えた。

体の向きを説明する際には「第三の目」という表現も用い、言葉だけでなく実際の動きを見せながら投げる姿勢をイメージできるように工夫を凝らした。

実践含めて保護者も一緒に参加し、駒田さんも積極的に声をかけるなど親子で野球に触れる時間をつくっていく。

バッティングでは、バットを振る・ボールを打つ楽しさを覚えてもらうように努めた。

キャッチボールでは駒田さんに一人ひとり球を投げ込んだ

親子に伝えた、挑戦を続けるための心得

体験会の中で駒田さんが繰り返し伝えたのが、初めてのことに挑戦する大切さだった。

バッティング体験を終えると、子どもたちに座ってもらい、“特別授業”がスタート。参加した児童の母親に「ママさんラグビーに誘われたらどうしますか?」と、あえて難しそうに感じる競技を挙げて問いかけた。

数秒考えた末に返ってきたのは、「チャレンジします!」という言葉だった。

駒田さんは「すばらしいママさんです!」と拍手を送り、その姿勢を称えた。大人が挑戦する気持ちを示すことが、子どもたちへのメッセージにもなった。

体験後は駒田さんからの特別授業も開講した

一方で、初めてのことを前にすれば、誰でも難しさや不安を感じるもの。駒田さんは子どもたちにも問いかけた。

「初めてかけ算を見て9の段まで覚えましょうって言われた時、どう思いました?」

自分も九九を頭の中で考えることがあると話し、難しいと感じる気持ちに寄り添った。

大人であっても、慣れないことに誘われれば「無理」「できない」と考え、忙しさや面倒さを理由に、始める前に諦めてしまうことがある。だからこそ、先ほどの母親のように、まずやってみようとする姿勢が大切だと説く。

そして駒田さんが勧めたのは、最初から大きな負担をかけるのではなく、小さな挑戦を繰り返すことだった。それは野球やスポーツだけではなく、勉強でも同じだと語った。

「1時間やりなさい、30分やりなさいって言われたら大変かもしれません。でも、お父さんお母さんと一緒にご飯を食べ終わってから、5分でもいいから教科書を開けてみようかなとか、ちょっとでいいんです」

まず自分で「やってみよう」と思うことが出発点になり、次の日も「今日もちょっとやろう」という気持ちを持つ。駒田さんは親子とのやりとりを通じて、日々の小さな挑戦を積み重ねていくことを伝えた。

「たくさんじゃなくて、少しでいいです。初めてのことだからこそチャレンジ。無理かなと思うけど、一歩踏み出してみましょう」

まず一歩踏み出すことを後押しする

質問を通じて早くも一歩を踏み出す

最後には、駒田さんから子どもたちへ質問をしてもらうよう声をかけた。一人の子どもを指名し、「お父さん助けないでください」と、自分の言葉で質問するように促した。

内容は「何でもいい」。野球に関する立派な質問でなくても構わないと、先ほど伝えた、挑戦することを促す。

ただ多くの人に囲まれ、突然尋ねられたこともあって質問に悩む様子も。そこで駒田さんが大切にしたのは、答えが出ないからと「パス」で終わらせないことだった。

「パスって言った瞬間に何も考えない。そこでもう終わっちゃうから」

指名された少年は「身長は何cmですか」と一歩踏み出し質問する。駒田さんは、問いを口にした子どもに、その行動を讃える言葉を送った。

「考えてみたって、すごいよ。僕は嬉しかったよ」と、全員で拍手した。

質問コーナーでは少年が“挑戦”を果たした

自分で考えて声に出すことに意味があると説いた駒田さん。学校でも勇気を持って先生に質問できるようになってほしいと呼びかけた。

野球の基本とともに、子どもたちがこれから出会う挑戦にもつながる言葉を届けた駒田さん。「また会えたらいいなと思います。ありがとうございました」と、参加者との時間を締めくくった。

(了)

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