B.PREMIER元年へ、川崎ブレイブサンダースが始める新たな挑戦 ミズノとの共創と桶谷大HCが描く“強い川崎”
川崎ブレイブサンダースが、B.PREMIER初年度となる2026-27シーズンへ向けて新たなスタートを切った。
スポーツメーカー・ミズノ株式会社とのオフィシャルサプライヤー契約を締結し、新ユニフォームを発表。
さらに、琉球ゴールデンキングスを5シーズン連続でファイナルへ導き、現在は男子日本代表の指揮も執る桶谷大氏が新ヘッドコーチに就任した。
B.PREMIERという新時代に向けてかつての強さを取り戻し、バスケットボールが街の日常にある未来をつくるべく、新たな一歩を踏み出した。
(取材 / 文:白石怜平、写真提供:©KBT)
創業120周年を迎えるミズノと手を組む
ミズノとの契約発表会見には、川崎ブレイブサンダースの川崎渉社長と、水野明人・ミズノ株式会社代表取締役社長が登壇した。
川崎社長は、B.PREMIERという新たな時代へ向けたパートナーシップへの期待を次のように語った。
「歴史と伝統を持つ会社同士が手を取り合い、Bリーグの中でも果敢に挑戦できる入り口に立てていることに、本当にワクワクしています」
川崎ブレイブサンダースは創設76年、ミズノは創業120周年を迎えた。長い歴史を持つ両者が、過去を守るだけでなく次の時代をともにつくる。
水野社長も「こうして長い歴史を持つ両者が契約できるのも、一つのご縁ではないかと思っています」と笑顔を見せた。
自身も学生時代にバスケットボールへ打ち込んでいたといい、「社員には『なんで私の種目なのに』と話していましたが、やっと腰を上げてくれたのかなと思っています」と笑みを交えながら語った。

「不変をまとい、挑み続ける」新たな戦闘服
2026-27シーズンの新ユニフォームは、川崎ブレイブサンダースを象徴する雷や稲妻をモチーフとしている。
ホームユニフォームはグラデーションと側面を走る閃光のような雷によって躍動感を演出し、アウェーユニフォームでは側面に稲妻文様を施すことで力強さと存在感を表現した。
長年受け継がれてきたクラブの価値観やチームスピリットを守りながら、現代的なデザインを融合。「伝統と革新」「承継と進化」を体現する一着となった。
新ユニフォームを着て会見へ登壇した米須玲音と山内ジャヘル琉人にとって、ミズノとの契約は特別な意味を持つ。両選手とも高校時代にミズノのユニフォームを着て、全国トップレベルの舞台でプレーしてきたからである。
米須は「自分もジャヘルも高校時代にミズノのユニフォームを着ていました。今回また着ることができて、ご縁があるなとすごく思っています」と語った。
さらに「B.PREMIERという新しいシーズンをミズノさんと一緒に戦えることは本当にうれしいです。プレミアでしっかり結果を残したい」と決意を示した。
山内も「高校時代からお世話になってきたミズノをまた着ることができ、本当にうれしいです」と喜び、「懐かしい気持ちでいっぱいです。早くこのユニフォームでコートに立ち、結果を残したい」と新シーズンを見据えた。

サプライヤーの枠を超え、街づくりも共創
今回のパートナーシップは、トップチームへのウェア提供だけにとどまらない。
両者は“次の歴史を創る”ための取り組みとして、選手育成から地域との接点拡大、街づくりまでを見据える。
トップチームに加え、ユースチームやBリーグ最大規模を誇る「THUNDERS KIDS」にも製品を提供し、未来を担うプレーヤーの育成環境を充実させる。
さらに「アリーナを出て、街を熱狂のコートに変える」という構想のもと、試合がない日にもバスケットボールやブレイブサンダースを感じられる街を目指している。
また、ミズノグループのセノー株式会社は、B.LEAGUEホームアリーナ用バスケットゴールで半数以上のシェアを誇る。その知見や技術も生かしながら、子どもから大人まで誰もが気軽にバスケットボールへ触れられる環境づくりを進めていく。
川崎社長は「このパートナーシップは、単に選手が着るウェアが変わるだけではありません」と強調。
「街なかにゴールを増やし、日々の動線をサンダースが彩る。バスケットボールがこの街の景色として当たり前にある世界を、ミズノさまと本気で形にしていきます」
桶谷大・新HCが川崎を選んだ理由
そして川崎の新指揮官には男子日本代表のHCであり、昨季まで琉球ゴールデンキングスを5年連続チャンピオンシップファイナルへ導いた桶谷大氏が就任した。
就任会見では、「川崎の桶谷です、と言うのもまだなかなか恥ずかしいですけど、これから川崎の桶谷になります」と少し照れながら挨拶した。
桶谷HCが川崎のオファーを受けた最大の理由は、クラブから感じた強い熱意と再建への覚悟だった。
「今の順位のままで終わりたくない。もう一度、前の輝いていた姿を取り戻したいという気持ちが一番強いチームでした。そこに一番やりがいを感じました」
ロスターには篠山竜青や長谷川技らクラブを長く支えてきたベテランに加えて、米須玲音や山内ジャヘル琉人といった日本代表を目指す若手もそろう。
桶谷HCは「いいものはしっかり残しながら、新しいものを取り入れる。個性を生かして伸ばし、それがチームとして大きくなるようにしたい」と語った。
新指揮官は目指すチームを「ハイプロダクティビティ」と表現。
特定の戦術やスピードだけを掲げるのではなく、一人ひとりの選手が持つ能力や役割を最大限に引き出し、チーム全体の総合力を高めていく。
「一番大切なのは個々の力を引き出して、それがチームとして大きくなること。それぞれが生産性を持ち、総合力で他のチームを上回っていくことが大切だと思っています」

決まった型へ選手を当てはめるのではなく、目の前にいる選手の能力や組み合わせを見極めて、どの戦い方が最も高い力を発揮できるのかを探していく。その中で重要になることとして、日本人選手の成長と活躍を挙げた
「日本人選手が外国籍選手と対等にやり合えるポジションが増えるほど、チームは疲弊せずにシーズンを戦える。日本人選手の活躍が大切になってくると思います」
若手へは出場機会を与えるだけでなく自らつかみ取る姿勢を求める。その一方で挑戦して失敗した選手をフォローし、人を育てることもコーチ陣の役割だと説いた。
選手たちが初練習後に語った印象
桶谷HCとの初練習を終えた篠山は、「まだファンダメンタルの部分ですけど、いい雰囲気でやれている」とチームの現状を語った。
琉球を5シーズン連続でファイナルへ導き、日本代表も率いる桶谷HCについて「時の人と言っても過言ではないぐらい、すごい人が来てくれる」と述べた。しかし、その実績に頼る考えはない。
「桶谷さんが来てくれたから全部やってくれる、勝たせてくれるということではない。一人ひとりが当事者意識を持って、このチームを何とかしなければいけないという思いが大事です」

米須も、「少し緊張感があった」と明かしながら、その実績を持つ指揮官の下でプレーできることを「自分が成長できるチャンス」と前向きに捉えていた。
山内は桶谷HCを「みんなのお父さんのような存在」と表現。B.PREMIERでの目標については「外国籍選手に負けず、外国籍選手よりも評価される選手になりたい」と語り、更なる飛躍を誓った。
強く、そして愛されるチームへ
桶谷HCが目指すのは、勝つチームだけではない。負けた時にも応援したいと思われる、選手やクラブそのものに魅力があるチームとも述べた。
「あの選手がいるから見に行く、ずっとチームを支えてきたから応援したいという人はたくさんいる。若い選手にも、バスケットがうまいだけではなく、人から愛されることを学んでほしい」

目標はチャンピオンシップへ進出し、優勝争いができるチームになること。
そのために、選手一人ひとりが当事者意識を持って役割を果たし、どのチームよりもタフに戦う。
新ユニフォームに込められた「不変をまとい、挑み続ける」という言葉は、まさに新たな川崎ブレイブサンダースの姿を描いている。
B.PREMIER元年へ向けた挑戦は伝統を承継しながら新たな文化を築き、“強い川崎”を取り戻すべくスタートを切った。
(了)
