『JKC AWARD 2025』フルコンタクト空手・JKCが年間優秀選手表彰式を初開催
JKC(全日本フルコンタクト空手コミッション)が、年間優秀選手表彰式『JKC AWARD 2025』(以下アワード)を開催した。会場となった大阪市内のホテルには、日本中から表彰に選出された選手・関係者が集結。試合中とはひと味異なる晴れやかな姿に対し、会場からは大きな拍手が送られ続けた。

~フルコンタクト空手をやっていることに胸を張りたい
「多少なりとも努力してきたことを表立って評価していただき、本当に嬉しかったです。この先も胸を張って、フルコンタクト空手を続けたいと思います」
河合透吾(修武會/北海商科大)は“Intercollege Of The Year”に加え、MVPに値する“The TOP AWARD”にも選出された。驚きの様子を見せながらも、競技への思いを率直に語った。
「この競技で、ここまで大々的に表彰式をやってもらえるとは想像もしていませんでした。JKC関係者の皆さんの“思い”が伝わってきました」
全日本インカレ4年連続出場、昨年からの連覇を含め、4年連続入賞。大学空手界を牽引した北の男は、大きな栄誉を手に感謝の言葉を繰り返した。

~アワードを通じて選手達の頑張りに応えたかった
JKCは2021年9月20日に、「フルコンタクト空手の更なる発展」を目指して発足。当初から、「選手達を公の場所で盛大に労ってあげたい」という思いを関係者の誰もが抱えていた。
「JKC発足以来の悲願、目標がようやく形になりました」と満面の笑みを見せるのは、JKC常務理事・吉村裕氏。アワード運営を全面的に任され、居住地の石川県金沢市と大阪市を何度となく往復した。
「企画自体はずっとあったのですが、今回も延期になりかけた。11月の全日本インカレが終わり、『選手達の頑張りに少しでも早く応えよう』となり、12月に入って大至急で準備を始めました」
「最も労力を費やしたのが、各選手登壇時に場内へ流れた選手紹介文。選手、指導者、ご家族にアンケートを実施、選手の“人となり“がわかるように作り上げました」
「空手への思いや向き合い方」が伝わるよう、多角的に文章を作り上げた。「選手インタビューのみでは、どうしても型通りになってしまいますから」と振り返る。選手の“素”を伝えたい思いからだった。

~フルコンタクト空手に光が当たることが嬉しい
アワードという華やかな場所で表彰されたことは、どの選手にとっても初めての体験で、大きな喜びとなったようだ。
「こういう機会があるとは想像もしていなかったので、招待された際には『まさか?』と思いました。『もっと頑張ろう』と思えるし、他の選手の励みにもなるはず。これからも毎年、表彰されるよう、競技に全力を注いで結果を出し続けたいです」(紅谷凱)
“JKJO Gentle Of The Year”の紅谷凱(極真拳武會/日本体育大)は、JKJO全日本空手道選手権大会4連覇中の王者。多くの勝利を重ねてきたが、「このような形での表彰は初めてです」という。
「会場に来るまで実感がなかったのですが、こんなに盛大で嬉しかったです。結果を大々的に称えられる他競技の選手が、羨ましいと感じた時もありました。今回このような形で表彰していただき、『しんどい練習もやってきて良かった』と思いました」(酒井琉翔)
同じく“JKJO Gentle Of The Year”に輝いた酒井琉翔 (桜塾)も嬉しさを隠さない。JKJO全日本空手道選手権大会3連覇のエースは、「毎年アワードに呼ばれるようにしたい」と気を引き締めた。
「今までは結果を出しても当日の表彰が終わると、次に切り替えることが多かった。1年を通じて改めて称えられることは初めてなので、驚きと嬉しさの両方があります。『競技にしっかり向き合おう』という気持ちを持ち続けたのが、こういう機会にも繋がったのかなと思います」(本田志帆)
“ Intercollege Of The Year”の本田志帆(極真拳武會/神奈川大学)は、インカレ4年連続出場、優勝2回を含む4年連続入賞を果たした。大学最終年で表彰を受け、「大きな区切りになります」と語った。

~選手達にもっと光が当たって欲しい
指導者達にとっても、アワード開催には格別の思いがあったようだ。「盛大に表彰されることで、選手達のモチベーションが大きく変わるはず」と異口同音の答が帰ってきた。
「アワードの表彰では、選手と共にご家族の方々も壇上に上がります。目に見える形での恩返しになるはず。こういう催しが続けば、他競技に負けない認知度にも繋がると思います」
「何があっても練習を欠かさない。弱かった選手が少しずつ強くなる。支えるご家族の一喜一憂も見える。そういった姿を常に目の当たりにでき、我々が助けてもらっている感じがします」
“Coach Of The Year”に選出された大場貴史氏(無限勇進会)からは、支えてくれる人達への感謝の思いが真っ先に出てきた。そして、「頑張る選手達に、もっと光が当たって欲しい」と切望する。

「少しずつですが、フルコンタクト空手が注目されるようになってきたことが喜ばしい。選手達が競技に対して必死に向き合う姿勢は素晴らしく、少しでも報われて欲しいと思います」
「インカレ等もでき、各年代で出場できる試合も増えています。改めて地に足をつけ、一歩ずつ前進したいです。選手・指導者・家族が三位一体となって、頑張っていきます」
“Team Of The Year”を受賞した桜塾・酒井竜弥氏は、フルコンタクト空手界全体の話に終始。「『自分が現役の時にこうだったら…』と今の選手が羨ましい部分もあります」と笑顔も見せていた。

~アワードは選手や競技のステイタスアップのために存在する
「選手達のステイタスアップを図りたい。だからこそ、しっかりとした会場で華々しくアワードを開催したかった」と語るのは、JKC代表・酒井寿和氏だ。
「アワード開催まで時間を要したことには申し訳ない思いもあります。我々は決して大きな団体ではなく、予算捻出にも時間がかかりました。会場等のレベルを下げればできたでしょうが、それでは意味がないと考えました」
「例えば、野球やサッカーでは年間アワードが恒例行事です。表彰された選手は“一流”と誰からも認知されます。そういった状況をフルコンタクト空手でも作り上げたい。少しでも選手達を労えることができれば、アワードの存在価値もあると思います」
アワード閉会の挨拶に立った酒井氏は、「選手や競技の評価が少しでも上がって欲しいです」と語りかけた。選手だけでなく同伴したご家族も感無量の表情、涙を流す人もいた。

フルコンタクト空手はジュニア層の競技人口が多いのが特徴。ピアノや水泳等と同じ“習い事”感覚で始める人が多いからという。しかし年齢を重ねるにつれ、日が当たらなくなる競技であることも事実だった。
「この競技はマイナーですから、やれることは何でもやるつもりです」と酒井代表は付け加える。置かれた状況を冷静に認識できているからこそ、選手達のことを心から思いやれるのだろう。
「当てて倒すために闘う」フルコンタクト空手は、見ているだけで熱くなれて楽しめる。選手達にとっても、さらに“やりがい”の大きい最高の競技になっていって欲しいものだ。
(取材/文/写真:山岡則夫、取材協力/写真:全日本フルコンタクト空手コミッション)
