世界一の小学生チアリーディングチームDOLPHIN STARS 再び世界の舞台へ

「横浜から世界へ」を掲げたチアリーディングチーム「DOLPHIN STARS」。子どもたち一人ひとりが輝けるようにとスタートしたチームが、アメリカで開催される小学生の世界大会「THE YOUTH SUMMIT 2025」で見事優勝を果たした。

そして今年再び世界一を目指すチームが、4月の大会に向けて練習に励んでいる。メンバーと指導者に話を聞いた。

本当にある「いるか座のDolphin star」

「Dolphin star」は、いるか座に本当にある星だ。2007年にチアスクールを作る折に、名もない星を所有し名前を付けられる「My stars system」制度を利用し「Dolphin star」と名付けた。子どもたちがキラキラ輝くチアリーダーになって欲しいという願いを込めた星だ。

そこからスクール名を「Dolphin starチアリーディングスクール」とし、チームとして活動する際には「DOLPHIN STARS」という名前で参加している。

今回話を聞いたのは、長谷裕子(ながたにゆうこ)代表兼コーチ、金子裕也(かねこゆうや)コーチ、昨年の優勝経験があるキャプテン・加藤結寧さん(かとうゆいね・小学6年生)、同じくサブキャプテン・阿部理音さん(あべりの・小学6年生)、渡米チームのサポートをする黒田莉愛さん(くろだりあ・中学2年生)、大西心美さん(おおにしここみ・中学1年生)の6人。

子どもたちの「勝ちたい」気持ちからできた選手コース

スクールには一般コースと選手コースがあり、一般コースはチアリーディングを楽しむクラスだ。チーム活動としては横浜を中心としたイベントへの出演がある。

そして本格的に競技大会に出場したい生徒は、必要な技術を習得し、スキルチェックで合格すると選手コースに進める。

「最初はチアリーディングを楽しむスクールとして始めました」とDolpin starチアリーディングスクール代表でもある長谷裕子コーチは話す。

「小学生の時は楽しく、競技で厳しくやる場合は中学・高校の部活に入ってからという考えだったんです。でも経験のために大会に出たところ、やっぱり1位を取りたい、優勝したい、という思いが子どもたちからどんどん出てきました。それで優勝できるチームをと2016年に選手コースを作りました」

スタンツの練習の様子。パワーも柔軟性も必要になる

チアリーディングの競技では、ダンスに加えて、スタンツやピラミッド、バスケットトス(組体操のような技や人を飛ばす技)、タンブリング(バック転など)といったアクロバティックな技も要求される。

「一般コースの人と選手コースの人では体力も技術も全然違うので、選手になったばかりのときは、そのレベルまで実力を上げるためのトレーニングがすごく大事。そのときのトレーニングが一番きつかったです(大西さん)」

タンブリングでの連続バック転など高度な技の習得も必須だ。

「タンブリングが最初難しかったです(加藤さん)」

「最初難しかったけど、どんどんレベルアップしたいという気持ちがあったから、たくさん練習してできるようになりました(黒田さん)」

チーム練習は週に2回だが、みな自主練習にも時間を使う。本番でピタリと揃う演技は華やかだが、その裏にあるのは地道な練習の積み重ねだ。

筋力をアップするためのトレーニングや柔軟性を高めるトレーニングなど、選手に必要なものは多い。

「演技は2分30秒しかないんですが、やっていることはものすごい量なんです。だから基礎を徹底的にやります。言ってしまえば筋トレをしなくても大会に出場することはできますが、結果を出すためにはたくさんトレーニングをして、たくさん通し練習をする。2分30秒を100回、200回、300回とやります(金子コーチ)」

チアの採点ではスタンツ、ピラミッド、タンブリング、ジャンプ、ダンスの難易度、テクニックが審査されるほか、「ショーマンシップ」という得点基準がある。エナジーやアイコンタクト、笑顔といった部分も得点源だ。

世界大会での演技は2分30秒に高度な技が詰まっている

THE YOUTH SUMMIT 2025で世界一に

DOLPHIN STARSは2025年4月にチアリーディングの世界大会「THE YOUTH SUMMIT 2025」に参加した。この大会では40ヶ国以上からユース世代のチアチームが集まる。

この大会に出場するためには、国内でのJAMfest JAPANという大会で優秀な成績を収めることが条件になり、さらにジャッジに推薦されることで出場権が得られる。

昨年出場した際には、予選・本選の2日間をはさんで1週間の日程で渡米した。

レベルとグループ人数によってカテゴリが分けられ、L1 Youth Small A部門で参加。予選を突破し、翌日に決勝の演技を行った。

日本の大会とは言葉も雰囲気も違う。緊張して泣いてしまう選手もいた。

「でもコーチが『すごくたくさん練習してきたんだから自分を信じて。失敗しても悔いがない演技ができれば大丈夫』と声をかけてくれて、安心してできました(黒田さん)」。

決勝では小さなミスもあったが、コーチが前日に指摘してくれた予選での減点部分を直し、カバーできた部分も多かった。

言葉や発表の仕方がわからず、優勝の瞬間にワッと喜ぶのではなく、教えられて「GOLD CHAMPION」を知ったという選手たち。

会場では他国のチームに折り紙などを渡し、知っている英語を並べて交流を図るなど、得難い海外体験を楽しんだ。

折り紙を渡して自国の文化を紹介するなど国際交流も経験した

世界大会の経験と連覇への決意

昨年の世界大会では、他国の強豪チームを見て「小さな子が高度な技をやっている」ことに驚いたと選手たちは言う。

特にアメリカの演技はスタンツなど技の流れにスピードがあり、技術も高かった。

他国チームのすごさを知るとともに、自分たちの可能性も広がった。

「スピード面など、去年よりもさらにレベルアップできました(阿部さん)」

「練習のときに必ず『世界一』って言ってから練習を始めているので、その目標が常に頭の中に入った状態で練習しています(黒田さん)」

次の世界大会へ出場するチームのメンバーは小学2年生から6年生までの11人。そのうち昨年の経験者は7人いる。経験を共有し、昨年よりさらに強くなるつもりだ。

年齢は違ってもともに努力を重ね、目標に向かって一致団結する仲間たち

とはいえ、昨年優勝できたから、という油断は禁物だ。金子コーチは連覇を目標としながらも「頭の片隅にある世界一はいったん消す」ことを伝えてきた。

「一番下手な挑戦者のつもりでやらないと。前回と同じ得点では優勝できない。チアの採点は100点満点なんですが、本当に100点を取るつもりじゃないと勝てません」

アメリカへ行ってしまえば時間はあっという間に過ぎる。そこに立つ2分30秒のために、何百本も練習する。何百本のうちの最高の演技を、本番で出さなくてはならない。

「人間力」がDOLPHIN STARSの強み

DOLPHIN STARSの強みは?と問われると、選手たちはしっかりと「礼儀や挨拶、返事の大きさができている点が強みだと思います」と答えた。

「人としての基本がないと、チアの基本ができないので、人間力を高めるところから始まります(黒田さん)」

チアリーディングを教える上で、一番大事にしているのが「人間力を育てること」だと長谷コーチは言う。選手たちも「言われたから」ではなく当然の基本として礼儀を大切にし、自分たちで考えて行動し、上手くなる努力を惜しまない。

「自分たちで考えて行動できるのが、DOLPHIN STARSの強みだと思います。例えばそれぞれ積極的に発言するのは、普通の小学生・中学生だったらなかなか難しいですが、DOLPHIN STARSの選手は自分の意見をしっかり持って練習もできています」

アメリカ遠征には、年齢制限により大会に出場しない中学生の選手たちが、サポートメンバーとして同行する。コーチたちと選手たちの間に立ち、大人に頼らず「自分たちのことは自分たちで」を実践。自主性を育む大きな機会となる。

横浜から世界へ

チアリーディングの魅力を問えば「人を元気にさせたり笑顔にできるところや、自分たちも元気になれるところ(加藤さん)」「レベルアップした時とか、チームのみんなで達成感を分かち合えるところ(阿部さん)」という声が上がる。

国際大会の扉を開き、それぞれの世界を広げた彼女たちは、口を揃えて「チアを続けたい」と夢を語る。長谷コーチは目を細めて見守っていた。

「『横浜から世界へ』をモットーに、活動しています。去年はアメリカで開催された世界大会とタイで開催された国際大会に出場し、各大会で優勝することができました。海外のチアリーダーの皆さんにも、日本の『横浜』から来たチームだということを知ってもらうため、団体名は『横浜オールスターズ』として大会に出場しています。『DOLPHIN STARS』というチームが、海外でも多くのチアリーダーに知っていただけるチームになるよう、これからも成長していきたいと思います」

(取材・文/井上尚子 写真提供/DOLPHIN STARS)

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