川崎ブレイブサンダース 新体制で開幕に向け着々 クラブアイデンティティをスローガンに、変化に挑むシーズンへ
いよいよ来月開幕する「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 SEASON」。
B1中地区に所属する川崎ブレイブサンダースは、10月5日に秋田ノーザンハピネッツをホームのとどろきアリーナに迎え、シーズンの幕が開ける。
新ヘッドコーチを迎えるなど体制も新しくなった川崎は、今月に入り出陣式そしてプレシーズンゲームを2試合ホームで行うなど、開幕モードに入っている。
(写真 / 文:白石怜平)
出陣式では新加入のHCや選手などが挨拶
9月8日に、ラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場で出陣式が行われた。同会場で実施するのは5年ぶりとなったこの日、チームカラーのブレイブレッドのウェアに身を包んだ約1,000人のファンが集まった。
今シーズンから指揮を執るロネン・ギンズブルグヘッドコーチ(愛称:ネノHC)をはじめ、全12選手及びスタッフがファンの前に立った。
ネノHCは、「日本に来ることをとても楽しみにしていました。僕自身バスケットボールに40年ほど関わっていますが、ファンイベントでこんなにも多くの皆さんに応援いただいたのは初めてです」
と感謝を述べた。これから始まるシーズンでの戦いについては、
「皆さんに約束できるのは、コートに立った選手が常に100%の力・100%の努力で自分たちのバスケットを再現するということです。できる限り多くの勝利をお見せしたいと思っています」
と挨拶し、熱い応援を呼びかけた。
今シーズンから新たに加わった選手は小針幸也、柏倉哲平、マシュー・ライト、アリゼ・ジョンソン、サッシャ・キリヤ・ジョーンズの4名。新スタッフと共に壇上でファンにメッセージを届けた。
長崎ヴェルカから期限付移籍で加入した小針幸也は神奈川県出身で、川崎市にある桐光学園出身と地元にゆかりのある選手。
「ここ神奈川でプレーできることが楽しみです。スピード感あふれるプレーに注目してもらいたいです」と語った。
また、フィリピン代表としてのプレー経験もあるマシュー・ライトは、京都ハンナリーズから川崎の一員となった。
「3ポイントシュートが武器で、ピックアンドロールも使えることが強みだと思っています」と語り、ネノHCにアピールしたいことについては、
「いいディフェンダーでもあるので、ぜひそこを見てほしいです。自分自身もベテラン選手になってきているので、若手選手の見本となって導けたらと思っています」と述べた。
キャプテン・副キャプテンはチーム一筋の2人に
出陣式ではキャプテン・副キャプテンが発表された。いずれも昨年に引き続き、篠山竜青がキャプテン・長谷川技が副キャプテンを務める。
篠山はまず、「大きな変化のあるシーズンにおいて、変わっていくところ・変わらずやり続けることがありますが、このチームがより良くなっていくためにしっかり導けるよう頑張ります」と決意を語る。
昨シーズンとは半数近くのメンバーが入れ替わり、転換期であることにも触れながら、
「60試合を通して必ず成長ができるシーズンにしていきます。皆さんも一緒に戦ってほしいですし、変わらず僕たちの後押しをお願いします」と締めた。
長谷川も篠山に続き「新体制ということで、いろいろ上手くいかなかったり勝ち星が付いてこないこともあるかもしれないですが、そういうときこそファミリー一丸となって戦っていきます」と話した。
そして、今シーズンのチームスローガンも合わせて発表。スローガンはクラブアイデンティティにもある
BE BRAVE 変化に常に勇敢であれ。
に決定。篠山はこの場で、スローガンに込めた想いをファンに共有した。
「僕たちは”BE BRAVE”というアイデンティティのもとに、チームに集まっていることは今も昔も変わらないです。このようにして70年の歴史を築いてきましたが、その中でたくさんの変化がありました。
そういった変化が起きてきた中で進化して、変わることを恐れずに戦ってきたからこそ70年以上の歴史を築けたと思います。
今年も新たな一歩となるシーズンですが、”BE BRAVE”というアイデンティティは変わらずに戦って行きます」
プレシーズンゲームでは100得点挙げた試合も
出陣式から約一週間が経った9月14日・15日はとどろきアリーナでプレシーズンゲームが開催された。
相手は初日が宇都宮ブレックス、翌日が横浜ビー・コルセアーズ。新体制になって初めてのとどろきでの試合で、いずれも4,000人を超えるファンが来場した。
初戦の宇都宮戦は77−94と敗れたが、篠山は試合後に
「まだまだ皆、慣れとか成長の余白が沢山あるチームなので、改めて楽しみなチームになるんじゃないかと期待しています」と今後への展望を語った。
2試合目の横浜戦では100-94と3桁得点をマークし、とどろきのファン勝利を届けた。
この試合では存在感を放った一人が移籍2年目の飯田遼。今シーズンは背番号を37番から、香川ファイブアローズ時代につけていた17番に戻した。
出陣式では「3Pシュートとディフェンスを見てほしい」と語っていた飯田はその言葉通り2本の3Pシュートを決め、アリーナを沸かせた。
他にもマシュー・ライトが25得点、飯田と同じく加入2年目のロスコ・アレンも24得点を挙げるなど攻撃陣が機能した。ネノHCは横浜戦後の会見で、安堵の表情でコメントした。
「総合的に見て、勝つことができたということがやはり一番大事なことだと思うので、そこは本当に良かったです」
ただ、自身が理想とするテンポでの試合運びができたという一方で、
「ディフェンスに関しては本当にまだまだ改善するべき点が多いと思っているので、そこはしっかりとやっていくべきことだと認識しています」
と守りについて向上の余地があると述べた。
そして、出陣式・ホームでの試合を経て改めて感じたことを最後に明かした。
「昨日そして今日の試合もそうですが、とても会場の雰囲気が素晴らしかったです。昨日の試合が終わった後に家族に電話をして、こんな雰囲気だったよと伝えました。
家族のみんなは信じてくれなかったのですが、もう少ししたら来日するので、会場でこの感覚を味わせたいと思っています。本当にここ日本の、とどろきアリーナの雰囲気を本当に気に入っています」
現在天皇杯も戦っている川崎は、リーグ開幕戦をまもなく迎える。新たなチームが一つとなり、頂に向けた新たな船出の準備は整いつつある。