世界最大の青少年野球スカウティング組織“パーフェクトゲーム”が日本上陸
『パーフェクトゲーム』(以下PG)が、日本をはじめとするアジアパシフィックゾーン(以下APゾーン)にも本格進出を果たす。世界最大かつ最高峰の青少年野球スカウティング組織は、MLBドラフト指名選手の9割以上を輩出している。日本国内での認知・広がりが進めば、アマチュア選手達のレベルアップが格段に進むのも間違いない。

~PGは実戦とデータ収集・活用の両方を重視する
「PGは野球大会(試合)を行い、選手個々のレベルアップや成長を図ります。そして精密なデータ計測によって潜在能力の高い選手を発掘、能力を可視化することにも注力します。収集データは専用アプリを用いて開示、大学やプロのスカウティング活動に有効活用されています」
PG・APゾーン日本代表理事・水越丈晴氏がPGの取り組みについて説明してくれた。
「PGの“ワールドシリーズ”を開催、各カテゴリーの世界一を争います。しかしそれだけで完結ではなく、各選手の能力データを収集して有効活用できるようにします。野球界最高峰のMLBを筆頭に、野球とデータは切り離せない関係です。勝敗を左右するのはもちろん、選手育成にも大きな影響を与えると考えるからです」
“ワールドシリーズ(野球大会)”、“ショーケース(データ収集)”、そして“ダイヤモンドキャスト(アプリ)”の3本柱から成り立っているという。
「“ワールドシリーズ”へ向け、心技体のレベルアップを図ることは重要です。そこへ“ショーケース”のデータ計測が加わることで、選手個々が自らの現在地を客観的に認識できます。そして、収集データを含めた各種情報を閲覧できるのが“ダイヤモンドキャスト”です」
PGの取り組みが野球界へ大きな影響を与えているのは、数字が実証している。2024年MLBドラフト指名選手中94%がPG出身。累計2,384名のMLB選手、および15,804名のドラフト指名実績を誇る。

~“ショーケース”で世界中から“ダイヤの原石”を見つけ出す
「PGは時代に即した組織であり、将来の一流選手を多く輩出できる野球団体であると考えます」という言葉には説得力を感じる。
「特に“ショーケース”は画期的な取り組みで、将来性ある選手を各地から発掘することが可能になります。これまでのデータ収集では、各試合もしくは指定場所へ選手に来てもらう形が主でした。しかし“ショーケース”の場合、測定機材と多少のスペースがあれば正確なデータ収集ができます」
米国では“ショーケース”の有効活用で、MLBレベルの選手を数多く発掘できている。複雑形状な国も多いAPゾーンでは、より効果を発揮することが予想される。
「日本を含めたAPゾーンは、各国の形状や立地条件が独特です。中国やインドのように広大な大陸国があります。また日本やフィリピン、インドネシアは、至る所に島が存在します。離島を含めた各地へ我々が足を運んで、身体能力に恵まれた素晴らしい素材を効果的に見つけ出せる可能性が格段に高まるはずです」
居住環境や状況によって、表舞台に出てこない有能選手も多数存在する。“ショーケース”によって、世界中から可能性ある子供達を見つけ出せる確率が上がるはず。「PGは“多様性の時代”に対応した組織」と言うこともできるだろう。

~APゾーン・トーナメント参加から本格的にスタートを切る
「PG・APゾーンの活動は今年から本格的に始まります。まずはワールドシリーズ予選に該当するAPゾーン・トーナメント開催、そして代表国の本大会参加からです」
米国で開催されている“ワールドシリーズ”は、10U(10歳以下)から18U(18歳以下)までの各カテゴリーで行われている。APゾーン立ち上げにあたる2026年は、差し当たって12Uと15UのAPゾーン・トーナメント開催が決定している。
「2026年は『今後へ向けてのトライアル(試験)』という位置付けで考えています。日本からも12Uと15Uの各トーナメントに1チームずつ参加します。今後、選手のセレクションを行って、“日本代表”として送り出したいと思っています」
“ショーケース”は正確性が何よりも重要なため、測定方法や機材等の検証を含め、導入へ向けて慎重に動いている段階だ。
「5月に米国・西海岸で大規模な“ショーケース”が行われます。そこで入念な視察を行い、その後、APゾーンに最も適した形での導入を考えています。選手個々の将来を大きく左右するので、正確な計測・評価が必要です。本格導入は2027年からになると思います」
“ダイヤモンドキャスト(アプリ)”に関しては、アジアからのアクセスが可能になるようにシステムを構築中。出来上がり次第、PG・APゾーンで正式導入する運びだ。
「“ダイヤモンドキャスト”が“ショーケース”に先行する可能性もあります。その場合も、PG・APゾーンのハブとして有効活用します。例えば、APゾーン・トーナメント時に映像配信や一球速報的な即時データを得られるようにします」

~野球のスキルアップだけでなく、社会性も身につける場所でありたい
「APゾーンの認知度や参加数は、米国同様に大きくなっていくと思います。そのためにも、“野球大会(試合)”と“ショーケース”を並行して地道にやっていきます」と、スピード感は大事にしつつも着実に進んでいく意向を持つ。
「上のカテゴリーでも活躍できるような選手を1人でも多く見つけたいです。そして選手達には、『野球が上手くなる』という夢や目標の実現に向け突き進んでもらえれば嬉しいです。APゾーンも米国同様、野球界にとって欠かせない存在になれると信じています」
結果やスカウティングに軸足を置くのはもちろん、個々のレベルアップに繋がる組織を目指している。加えてPG・APゾーンとしては、「社会性を重視して、人間的成長も促したい」という方向性も大事にする。
「最高峰MLBへの輩出人数にフォーカスが当たりがちです。もちろん上位カテゴリーで活躍できる選手の発掘は素晴らしいことですが、それだけに固執するつもりはない。社会性も身につけられる、人間的成長に繋がる組織になれば言うことないと思います」
今夏は日本国内で“プレ・コンペティション”開催も予定されている。APゾーン各国から10U選手が集まり、野球やトレーニングの指導を受けるイベント。「言葉や文化が異なる選手が集うことで、国際経験の第一歩にしてもらえれば」とも語る。
「どんな環境の子供達にも、『夢を見つけて叶えるために、前向きに生きて欲しい』という願いがあります」と締めくくってくれた。
米国PGの優れた点を踏襲しつつ、各地域に即したものを積極的に取り入れる。日本を含めたAPゾーンにおいて、PGの知名度が高まり、参加者が増えるのは想像以上に早いかもしれない。いつの日か、大谷翔平(ドジャース)のような世界的スーパースターがPGから出る日が楽しみでしかない。
(取材/文・山岡則夫、取材協力/写真・パーフェクトゲーム)
