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第10回全日本選抜中学校硬式野球大会「沖縄の地で中学硬式野球の頂点が決定」

第10回全日本選抜中学校硬式野球大会(以下選抜大会)が、今年も大きな盛り上がりを見せた。

中学硬式野球の頂点を決める決戦の地は沖縄。NPB球団が春季キャンプを張る素晴らしい球場を舞台に、中学球児達の熱い戦いが本格的な野球シーズン到来を感じさせた。

全国から集まった25チームによって、中学硬式野球の頂点を目指す戦いが行われた。

~甲子園が“野球の聖地”であるように、沖縄は“野球の拠点”

「野球の“聖地”は甲子園球場だと思いますが、沖縄も野球の“拠点”に入っていると思います」と嬉しそうに語ってくれたのは、沖縄県スポーツ振興課・課長の宮城直人氏だ。

選抜大会は3月28日から30日の3日間、コザしんきんスタジアムをメインに沖縄県内7会場で行われた。関メディべースボール学院が2年ぶり2度目の優勝を飾ったが、最後まで目が離せない熱戦が相次いだ。

「沖縄にとって本当に喜ばしいイベントです。観光ということでは夏がピークですが、春先のこの時期が1年で最も気候に優れています。今大会も北海道から石垣までの25チームに集まっていただいた。沖縄は1年を通じて野球をできるので、今後もどんどん活用していただきたいです」

「沖縄は“スポーツアイランド”を掲げていますが、その中でも1年を通じてプレー可能な野球は本当に人気があります。少年野球から草野球まで競技人口も多く、甲子園大会といった全国大会に対する県民の興味も非常に高い。今大会も県内での認知度が上がってきていると思います」

昨年は夏の甲子園で沖縄尚学が全国制覇を果たしたのも記憶に新しい。「野球は沖縄にとってシンボル的なスポーツと言えます」とも付け加える。

「選手・関係者の方々には沖縄まで足を運んでいただいたので、食事、環境、文化なども満喫してもらいたいです。日本本土にいる時とは異なった経験もでき、楽しんでいただけると思います」

「沖縄は日本における“野球の拠点”」と沖縄県スポーツ振興課・課長の宮城直人氏。

~沖縄人が持つ“おもてなし”“助け合い”の精神が、選抜大会を温かいものにする

選抜大会は日本ポニーベースボール協会の主催、同・沖縄連盟の主管で開催される。

「沖縄連盟として、大会運営において精一杯の“おもてなし”を心掛けます」と大会決定委員も務める沖縄連盟長・﨑向周作(サキムキシュウサク)氏は笑顔を見せる。

「沖縄全域でポニーは8チームしかありません。まだまだ全国大会で勝ち抜くには時期尚早な部分もありますが、大会ホストとして選抜大会を盛り上げたい気持ちは負けません。細部までしっかりとケアして、素晴らしい大会にしたいと思っています」

「僕は九州出身ですが、沖縄の方々の温かさや心遣いに今まで何度となく感動させていただきました。そういった沖縄の“おもてなし”“助け合い”の精神を選抜大会でも発揮したいと思います。全国から来る選手・関係者・家族が、『また沖縄へ行きたい』と思ってもらえれば大成功です」

「最高の“もてなし”を目指します」と沖縄連盟長・﨑向周作氏。

また運営サポートをする九州連盟長・大原和喜氏は、「沖縄県、そして各市町村の皆さんが本当に協力的で感謝しかありません」と続けてくれた。

「NPBのキャンプ地として使用される、整備が行き届いた素晴らしい球場を遠慮なく使用させてくれます。沖縄県や各自治体の方々の野球、ポニーへの理解の深さには感謝しかありません。『沖縄は本当に野球どころだなぁ』と感じます」

「球場はスタンドまでしっかりとしており、快適な試合観戦ができます。選手と一緒に沖縄へ来た関係者や家族も、沖縄での素晴らしい思い出を作っていただけると思います。以前に自分のチームで選抜大会へ出場した際には、チーム関係者のみんなが心から喜んでくれたのを忘れられません」

「沖縄は“野球どころ”だと実感します」と九州連盟長・大原和喜氏。

~沖縄での野球を通じ平和への思いを感じてもらえれば

沖縄で野球が行えることを喜び、感謝している人は多い。「改めて平和の大事さを感じます」とは、開会式に来賓として参加した糸満市長・當銘真栄(トウメシンエイ)氏だ。

「野球環境は整っていると思うので、あとはグラウンドで精一杯プレーして欲しい。そして、『野球ができる喜び』について少しだけでも考えを巡らせてくれたら嬉しいです。戦争で亡くなった方々がたくさんいることを、考えてもらう機会になって欲しいです」

「選抜大会で沖縄へ来た選手・関係者・家族の方々から、『糸満市の平和祈念公園にも足を運んだ』という声を聞きます。ありがたいことですし、そういう方が増えて欲しい。その中から将来のプロ野球選手、メジャーリーガーが出てくれば、平和への意識もより広まると思います」

多忙の中でも開会式に出席したのは、糸満市長の立場だけでなく野球をこよなく愛しているから。「投手として長年に渡ってプレーを続けて来た」と胸を張る。

「僕の名刺には、捕手の用具をつけたイラストが描かれています。投げられた複数のボールは市民からの貴重な意見で、『しっかり受け止め、住みやすい糸満市を作る』ということを表しています(笑)」

野球への思いをここまでストレートに出してくれるのは本当に心強い。選抜大会が質、規模ともに順調に伸びているのもこういった方々のサポートが大きい。

「野球ができることで、改めて平和の大事さを感じます」と糸満市長・當銘真栄氏。

~プロ野球選手と同じ球場でプレーできる極上体験

「野球の勝負はもちろん、普段は顔を合わすことのない全国の選手達と沖縄で交流できるのが最高」とは、大会前夜祭を特別ライブで盛り上げたミュージシャン・HARTYだ。

「沖縄という、普段と違う特別な場所でプレーできるだけでも素晴らしいと思います。全チームが同じホテルに宿泊、グラウンド以外でも会話することができる。お互いに野球をプレーする仲間同士、目標や苦しみ、悩みを共有できるのですぐに打ち解けられる。前夜祭は異常な盛り上がりでした(笑)」

HARTYがステージに立つと、選手達はチームの枠を超えてお互いに肩を組み合い、笑顔で歌い合う素晴らしい時間が流れた。

大会前夜祭では、初めて出会った選手達同士が肩を組んで盛り上がった。

「選手達からは、夢を純粋に追いかける眩しいばかりの光を感じました。沖縄という場所が輝きを一層、強めているようにも思えました。なぜなら、1ヶ月前までNPB選手がキャンプを行ったのと同じ球場で試合できるからです。プロ野球選手は、彼らにとって最高の憧れなんです」

「プロ野球選手になれるのは数少ない人達。彼らと同じ場所でプレーできる経験は最高の思い出になるはずです。そういう夢のような経験、沖縄での貴重な時間が実現したのは、家族や周囲のサポートがあるからです。感謝の気持ちを、絶対に忘れないでもらいたいと思います」

試合の勝敗、野球のレベルアップが重要なのは言うまでもない。しかし同時に、選抜大会はポニーリーガー達を人間的に大きく成長させるものでもある。

「適切かどうかはわからないですが、“ポニーの修学旅行”の感じもします」と笑顔も見せた。

「周囲への感謝の気持ちは忘れないで欲しい」とHARTYは強調する。

素晴らしい雰囲気の中、グラウンド上では文字通りの真剣勝負が行われた。25チームによるトーナメント戦、頂点に立つのは1チームしかいない。各試合の勝敗が決するたび、敗戦チームの選手達が人目を憚らず涙を流すのが印象的だった。青臭い表現かもしれないが、沖縄のグラウンドには“青春”があった。

「ポニーリーガー達は文字通り、ひたむきに夢を追いかけている。僕も高校球児でしたが当時のことはもちろん、音楽活動を始めた時の気持ちまで思い出させてくれる。“夢”を追いかける素晴らしさ、大事さが伝わってきます。沖縄という土地が、そういった気持ちを、より高めてくれるのかもしれないですね(笑)」(HARTY)

関メディベースボール学院の優勝が決まった瞬間から、次へ向けた戦いは始まっている。

春の日本一を決める選抜大会が終わり、夏の頂点を決する全日本選手権へ向けた戦いも始まった。この春を経験した選手達が、「夏へ向けてどれだけ伸びるのか?」が今から楽しみだ。ぜひ大きく成長を果たし、次のステージへ進んでもらいたいと思う。

(取材/文/写真・山岡則夫、取材協力/写真・日本ポニーベースボール協会、岸本純)

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