川崎・佐藤賢次GM「それぞれに違った自信が溢れ出ている」 新ロスターに感じる確かな変化で臨むBプレミア元年
「B. PREMIER」初年度を迎える川崎ブレイブサンダースが22日、新加入選手記者会見を行った。
新戦力5人がユニフォーム姿で登壇し、一人ひとり新シーズンに向けた想いやチームの印象などを語った。そしてこの日も桶谷大ヘッドコーチ(HC)と佐藤賢次ゼネラルマネジャー(GM)も参加。
指揮官と加入選手たちとのエピソードが披露された他、クラブに24年間在籍し、チームを誰よりも知る佐藤GMからも熱い想いが語られた。
(写真 / 文:白石怜平)
編成において挙げられた3つのポイント
今季から川崎に加わり会見に出席したのは荒谷裕秀、松山駿、ジェイデン・リディ、マット・ボンズ、アレックス・カークの5選手。
まず、佐藤GMは今季の編成において重視した点を3点挙げた。
「リバウンド、オフェンスの起点を増やすこと、あとは複数のポジションができること。この3つです」
まず挙げたリバウンドは、昨季1試合の平均数がB1の全26チーム中24位と課題であったとし、「世界中どこのリーグを見ても、上位に上がってくるチームはリバウンドを安定して取れている」と分析。
それを踏まえてリバウンドに強みを持つリディ、ボンズ、そしてカークを獲得できたことから、「とても大きいと思います」と手応えを語った。
2つ目の「オフェンスの起点」については、得点力向上に向けてさまざまな形で点を奪えるような編成を組んだ。
「選手それぞれ強みがあって、アレックスはピック&ロールからダイブしてシールしてもできるし、ショートロールでジャンプシュートも打てる。
ジェイ(ジェイデン・リディ)とマット(・ボンズ)に関しては、リバウンドからそのままボールプッシュしてトランジションに持っていけるなど、選手にそれぞれ強みがあります

そして日本人選手2選手についての強みを以下のように挙げた。
「ひではウイングで起点になれます。サイズがあるのでウィングからペイントへアタックできるしパスもさばけます。
マツはとにかくシュート。シュートを狙うところから起点になるなど、それぞれ違った場所でさまざまな起点を作れるようになったことがポイントです」

そして3つ目である「複数ポジション」は、Bプレミア初年度ならではの編成思想が表れている。
新たなレギュレーションでは外国籍選手のオンザコート(同時出場)の人数制限が撤廃されたことから、「どんな状況でも対応できるように、複数のポジションができる選手を意識しました」と意図を述べた。
「アレックスはもちろん5番(C)なんですけど、ジェイは4番(PF)も5番もできますし、マットは3(SF)と4(PF)もできる、ひでは2(SG)も3もできる、マツは1(PG)も2もできます。
これらの3点を意識しながら編成し「それにしっかりと合った選手が来てくれたので本当に良かったと思っています」と総括した。
指揮官と縁のある選手たちが共闘する
続いてマイクを持った桶谷HCは現代バスケの潮流に触れながら、新戦力への期待を語った。
「バスケットボールはポゼッションゲームが特に重要となる中で、リバウンドやオフェンスの終わり方というのは近年すごく大事になってきています。
今チームとしてもすごくハードワークしていることが伝わっていますので、この川崎というチームに本当にマッチする選手たちが来てくれたと感じています」

新加入選手の中には、桶谷HCが以前からその能力を高く評価してきた選手も多い。
荒谷については自身が仙台89ERSを率いていた時代に練習に参加していた頃から見ており、その後も動向を気にかけていたという。
カークとは琉球で3シーズンを共に戦い、「アレックスの良さを僕が一番知っていると思っている」と語るなど、それぞれの特徴を理解する選手たちが川崎に集まった。
6シーズンぶりに川崎へ復帰となったボンズについては、その前年の佐賀バルーナーズでプレーしていた時代から桶谷HCが目をかけていた存在だった。
「ずっと前から一緒にやりたいと声をかけていて、彼が大阪にいた時も琉球戦でよく話をしていた」と熱意を伝えてきた経緯を交えながら、「やっとここで一緒に戦える。本当に楽しみにしてます」と喜びを表した。

桶谷HCが掲げるバスケは、個々の力を結集させる“ハイプロダクティビティ(生産性)”。選手個々が最大限に持っている力を発揮することで、チーム全体の総合力を最大化させることを意味している。
自身が把握する選手や共に戦うことを望んできた選手、そして川崎で新たに出会った選手たち。ロスター一人ひとりの個性を最大限に引き出しながら一つに束ねることが、新たな川崎をつくる上での大きな鍵となる。
「みんながやりがいのある役割を与えていくことが一番大切。それがハイプロダクティビティにつながると思っています」
先ほどの外国籍選手のオンザコート人数制限が撤廃されるBプレミアについても言及した桶谷HC。「このルールになったからこそ、日本人選手に『何くそ』と思ってほしい」と語る。
日本代表の指揮官も務めるからこそより強く抱く、日本バスケの将来を見据えたチームづくりについて述べた。
「このルールがあるからこそ自分たちが成長できる。そういう捉え方をしてほしいし、外国籍選手とマッチアップした時にそれをプラスに持っていく力がついてくれば自ずと成長していくと思います。
そうやって成長することで、『やっぱり日本人選手がこのリーグを席巻してるよね』って言ってもらえるようにしたいし、川崎からそういう日本人選手を輩出することも大切だと考えているので、みんながバランスよく活躍する。そういうチームをつくっていきたいです」
佐藤GMが「溢れ出ている」と感じたもの
明確な狙いを持って新たな戦力を揃えた佐藤GMだが、今の川崎に必要だと感じているものはリバウンドやオフェンスといった数字や戦術だけではなかった。
佐藤GMは2002年に加入し、11年まで現役生活を過ごした。同年からアシスタントコーチ(AC)を務め、そして19年から5年間HCとして指揮を執った。
一昨年はドイツのクラブでAC、昨季は川崎に戻りアシストゼネラルマネージャーを経て今季からGMの職へと就くなど、“川崎一筋”で24年もの間クラブに携わっている。
視点が変わりながらチームを長く見てきたことを踏まえて特に強化したい、あるいは取り戻したいと考えている部分を尋ねるとこう答えた。
「ヘッドコーチをやった時もそうだし、選手時代もそう。いい時も悪い時もありながらこのチームにずっといて、やっぱり最も今足りないものと感じているのは“自信”です」

試合の中では良い時間も苦しい時間も必ず訪れるとした上で、「その時にいかに顔や頭を下げないか。堂々と自分たちがやってきたことをぶつける」と説く。
続けて「内側から出てくる“圧”が最も足りなかったと感じていました」と胸の内を明かした。
川崎ブレイブサンダースを熟知するからこそ感じた想い。これらを取り戻すための期待も今回の補強には込められていた。自身も現場へ足を運ぶ中、みなぎる自信そして圧を体で感じている。
「今回来てくれたこのメンバーも交えて練習していて、それぞれに違った自信がもう選手全員から出ているんですよ。今言った内側から沸いているものが溢れ出ている。
もうすでにそういうところを感じているので、変わっていくと思いますし、またそれを今後も求めていきたい」と力を込めた。
24年間にわたって栄光も苦境も知っているからこそ、佐藤GMにはもう一度チームに宿したいものがある。今季の川崎は、技術や戦術だけではない“自信”を胸に、新たな戦いへと向かっていく。
Bプレミアという舞台で踏み出す一歩は、川崎がもう一度“強いチーム”をつくり上げていくための、歴史の1ページとなる。
(了)
