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千葉ドリームスターが関東甲信越大会3連覇 “全員で勝つチーム”へと進化を遂げ、目指すは全国の頂へ

身体障がい者野球チーム「千葉ドリームスター」が、関東甲信越身体障害者野球大会で3連覇を果たした。

昨年は新戦力の躍動で大会2連覇を支え、今年の神戸での全国大会では長年チームの土台を築いてきた創成期メンバーたちも存在感を発揮した。

若手とベテランが互いの力を生かしながら歩んできたドリームスター。今回の優勝の背景には、一人ひとりの能力をチームの得点へとつなげる土屋純一監督の構想と、選手同士の意思疎通の深まりがあった。

(取材 / 文:白石怜平)

個々の力を輝かせる、指揮官が描いた新打線

千葉ドリームスターは球史に名を残す大打者・小笠原道大氏が社会貢献活動の一環で2009年に創設、11年に本格始動した身体障がい者野球チームである。

チーム名「ドリームスター」は小笠原氏が”夢を持って野球を楽しもう”という想いを込めて命名した。21年に関東甲信越大会初優勝して以降、22年そして昨年から連覇と4度地区大会を制覇。

そして毎年11月に行われる秋の全国大会「全日本身体障害者野球選手権大会」では昨年ベスト4に進出するなど、屈指の強豪チームへと進化している。

若き力が台頭し、強豪チームへと駆け上がる千葉ドリームスター

今年の5月に行われた春の全国大会「全国身体障害者野球大会」では、身体障がい者のルーツとも言える名門・神戸コスモスに接戦の末に惜しくも敗れた。

その敗戦を経て、土屋監督が改めて意識したのが、組織としての攻撃だった。

「攻撃の時は個人の力に頼りすぎると調子が悪い時に機能しないので、組織的に攻めていくこと。そのために打順がすごく大切なので、従来の打順とは違うイメージで組みました」

強打者の一打に期待するだけでは、状態によって攻撃が停滞することもある。そのため各打者の特徴を組み合わせることで得点の可能性を高められるよう追求し、特定の選手を一つの打順に固定するのではなく打線全体がどう機能するかを重視した。

ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ土屋純一監督

構想は中軸だけで完結しない。4番が走者を返せなかった場合を見据え、その後ろにはバットに当てることが上手い打者を置く。5番、6番にも、残った走者を本塁へ迎え入れる役割を託した。

「8、9番も障害者野球ではポイントゲッターになるケースが多いので、そこも厚くしてあります。参加メンバーによって柔軟に組めるよう考えています」

下位打線にも得点を奪う役割を持たせ、その日に参加できるメンバーの中で最適な並びを考える。一つの打順で仕留められなくても、次の打者で得点につなげる。指揮官は打線の随所に、そのための備えを施していた。

5月からの短期間で見えた確かな成長

なお、大会は台風の影響で1日順延しこの日を迎えていた。急な日程変更だったため、起用面でも見直しを強いられていた。それでも限られたメンバーで勝ち切れた要因を尋ねると、指揮官はチーム全体の成長を挙げた。

「チームの底上げができていることです。練習試合も多く組んでいるので、場慣れしてきたことが力になったと感じています。どんな状況でも“なんとかなる”とみんなが考えられるようになっています」

選手たちが考え、さらに自信をつけてこの日を迎えた

経験を重ねる中で培われたのは、苦しい状況でも打開できるという感覚だった。誰か一人の好調に頼らず、それぞれが役割を果たす。その積み重ねが、試合の中で踏ん張る力につながっていた。

また土屋監督は、スタッフの間の言動にも着目。グラウンドとベンチの双方で、チームをより良くしようとする動きが育ち始めていた。

「チームのことを考えて、自分なりの意見を言うようになっています。これは神戸からの短期間で見えた変化の一つだと感じています」

「もう一度本気で野球を」から始まった10年の歩み

その成長を選手の立場から実感しているのが、今回大会MVPを獲得した梶本祐介捕手。

ドリームスターに入団したのは15年。チームの門を叩いたきっかけは、野球への変わらぬ想いだった。チームの存在を知り、実際に練習へ参加した時に目にした光景は、野球に真剣に向き合う選手たちの姿だった。

「障がいがあっても野球を続けたい。もう一度本気で野球に取り組みたいと思わせてもらいました。選手の皆さんが野球に真剣に取り組んでいて、『ここで野球を続けたい』と入団を決めました」

攻守の要を担った梶本祐介

再び本気で野球に打ち込める場所を見つけてから、10年以上が経った。仲間と共に活動を続けてきた梶本は、現在のチームに大きな変化を感じている。

「以前は個々の選手がそれぞれ頑張るという部分が大きかったと思いますが、今は『チームとして勝つ』という意識が強くなっていると感じています。選手同士でアドバイスをしたりする場面が増えました」

自分のプレーを磨くことに加え、仲間にも働きかけるようになった。一人ひとりがチームの中で何を求められているのかを考え、互いの力を引き出そうとする。長く在籍してきた梶本はその姿勢を肌で感じていた。

昨年の関東甲信越大会では新戦力が躍動し、春の全国大会では創成期メンバーたちもチームを支えた。その歩みの先にある今回の3連覇を梶本はこう受け止める。

「一人ひとりが自分の役割を考えながらプレーするようになり、今回の大会で優勝できたことは、これまで積み重ねてきたものが結果となったと思います。

週1回かつ必ず毎回来れるとは限らない数少ない練習の中で、意識合わせができたことが優勝につながった要因だと思います」

土屋監督が示した方針を選手たちも互いに確認しながらプレーへつなげていた。指揮官が語る組織的な攻撃と、梶本が感じる意思疎通の深まりは、「チームとして勝つ」という同じ方向を向いていた。

そして掴み取ったMVP。梶本自身にとって受賞は思いがけないものだった。

「正直、MVPに選ばれるとは思っていなかったので、名前を呼ばれた時は本当にびっくりしました(笑)」

優勝の原動力となり、大会MVPに輝いた

喜びとともに語ったのは、共に戦ったメンバーたちへの感謝だった。

「今回のMVPは、守備で支えてくれた仲間・打席でチャンスを作ってくれた仲間・ベンチから声を掛け続けてくれた仲間・監督やスタッフ、そして観客席で応援してくださった皆さんのおかげだと思っています」

守備での支えや自身の打席へとつなげられたチャンス、自身に届く応援の声が自らのプレーを後押ししてくれた。梶本にとって今回の受賞は、さまざまな感謝の想いが結集したものだった。

スタンドにも応援部隊が駆けつけた

3連覇を自信に、再び全国の頂へ挑む

次に見据えるのは今月末に開催される選手権。土屋監督は改めて意気込みを述べた。

「最少失点で耐えて、1点でも多く取って打ち勝つ。厳しい組み合わせに入っていますが、十分戦える手応えはあります」

初戦はこの春戦った神戸コスモスとの対戦が待つ。前回高い壁として立ちはだかった相手との一戦を、土屋監督は大きな山場と捉えている。

「3回勝てば優勝のトーナメントです。初戦の神戸戦が何よりの鍵になりますし、優勝のチャンスもあると思っています」

関東甲信越代表として選手権大会に挑む

梶本も、3連覇の喜びを次への決意に変えていた。個人として掲げるのは攻守両面での貢献と、捕手としてチームを引っ張る自覚を表現した。

「今回の関東甲信越大会で優勝できたことは大きな自信になりましたが、これからがスタートだと思っています。選手権では前回以上にチームとして成長した姿を見せたいです。

MVPをいただいたことに恥じないように、攻守両面でチームに貢献して、全試合マスクをかぶり、チームを引っ張っていきたいと思っています」

チームの歴史を共に創ってきた選手たちが結束し、3連覇という結果につなげた千葉ドリームスター。この秋に一度大輪の花を咲かせるべく、大きな期待を背負ってその戦いへと挑む。

(了)

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