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Baseball5を生活の日常へ「スピボン杯in福岡」でつながった縁と、地域に根付くための一歩

Baseball5を生活の日常へ「スピボン杯in福岡」でつながった縁と、地域に根付くための一歩

Baseball5チーム「Spirit Bonds」が、10月3日に「スピボン杯in福岡」を開催した。

地元の大学生や地域の方々など多くの参加者が集まり、一つのボールを追いかけた今回の大会。Spirit Bonds代表の宮之原健さんに話を伺い、福岡開催で見えた可能性と今後の展望を語ってもらった。

(取材 / 文:白石怜平、以降敬称略)

競技と地域をつなぐ「スピボン杯」は福岡へ

Baseball5は野球・ソフトボールの国際振興を目的に世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が考案したアーバンスポーツ。

2017年に誕生して以降、世界80以上の国・地域で普及し、26年にはユース五輪の正式競技としても採用されている。

グラブやバットが不要でゴムボール一つで行える点が特徴で、打者は自らトスを上げて手で打ち、本塁打や三振は存在しない。

1チームは8人編成で、コートでは5人でプレーする。守備では投手や捕手、外野手はおらず、内野手4人に加えて”ミッドフィルダー”という独自のポジションがある。

5イニング制で行われ、試合時間はおよそ20分。フィールドも野球場の約5分の1というコンパクトさで、“誰でもどこでもできる”手軽さが、ベースボール型スポーツの競技人口拡大を後押ししている。

Spirit Bondsは2024年4月に発足したBaseball5のチームで、初年度から2年連続で日本選手権でベスト4入りを果たしている。

代表の宮之原は、日大三高時代の2011年に夏の甲子園で全国制覇を経験し、東京学芸大を経てBCリーグ・福島ホープスと埼玉武蔵ヒートベアーズでもプレー。埼玉武蔵時代には主将として地区初優勝の原動力になった。

現役引退後は幼稚園から高校までの教員免許1種を取得するなど教育者としての道を歩み始める。

競技者としては22年に出会ったBaseball5ではスタートして1年以内に日本代表に選ばれ、同年行われたワールドカップに出場した。現在も競技者として高みを目指しながら、小学校教職員としての立場も活かして競技の普及に力を注いでいる。

日本代表経験もある代表の宮之原健(筆者撮影)

その活動の一つが、昨年3月に始まった「スピボン杯」。教員同士の交流や競技者の実戦機会の創出など各回でテーマを設けるだけでなく、富山や愛知にも足を運び、地域や競技の枠を越えた交流の場をつくってきた。

そして今回さらに地域を拡大し、福岡開催が実現した。「スポーツの力で福岡を盛り上げたい」その想いと共に、経緯をこのように明かしてくれた。

「九州にBaseball5を拡げたい想いと、福岡で大学の女子ソフトボールのインカレ(全国大会)が開催されるので、連携している東京女子体育大学の応援そしてソフトボール全体の発展も願い、開催を考えました」

Spirit Bondsは東京女子体育大学ソフトボール部で、矢口花菜や鈴木琴子など二刀流でプレーする選手が在籍しており、ソフトボールとの縁が深いチームでもある。

メンバーはその応援も兼ねて福岡の地での普及活動を実現させた。

ソフトボールなど、ベースボール型競技の応援も行っている(チーム提供)

初めての一打を後押しする、参加者に合わせた工夫

今回は個人参加者やスポーツ施設のスタッフ、東京女子体育大学の保護者らに加え、鹿屋体育大の学生も集まった。

参加のきっかけもさまざま。チームのメールへ参加希望を寄せた人もいれば、以前からの交流を通じて足を運んだ人もいた。

鹿児島県の鹿屋体育大学が参加したのは、宮之原が鹿屋市の出身であるとともに副代表の中瀬祐と以前挨拶へ訪れた経緯があり、そのつながりが今回の参加へと結びついた。

こうした多様な参加者を迎えるにあたって大切にしたのは、初めて競技に触れる人も思い切ってプレーできることだった。

「初参加の方も多く来てくださったのでルールもアレンジしました。Baseball5ではファウルがアウトとなるルールですが、もう一度打つチャンスをつくるなどして、参加者が全力で楽しみながらプレーすることにつながりました」

初めてでも楽しさを味わえるようにルールもアレンジした(チーム提供)

大会後には「プレーしてみてBaseball5の手軽さや楽しさを知れた」といった声も寄せられるなど、体験できる場を設けた意義をここでも感じることができたと語る。

「健康な身体をつくれたり、人の輪ができたり、何より自分という存在を表現しやすいスポーツであること。その魅力をどう伝えていくか、その重要性を確認できましたね」

選手の躍動とおもてなしが大会を彩る

Spirit Bondsの選手たちは、大会運営を担うと同時に、プレーでも参加者を引きつけた。

その一人が、背番号23の山下大成。健大高崎高出身の山下は、持ち味の脚力を生かしたスピード感あふれるプレーで会場を沸かせた。

宮之原も「脚力はかなり高いレベルにあります」と評価。打球の速さも100km/hを超えてきているといい、走力に加えて打撃でも成長を見せる存在として、今後への期待を寄せている。

スピードが持ち味の山下大成(チーム提供)

加えて背番号73の渡辺香鈴は、プレーと周囲への働きかけの両面で大会を支えた。

仲間はもちろん、相手チームのプレーにも賞賛の声を送り、大会全体の雰囲気を高めた。競い合う相手の好プレーも認め合う姿は共に競技を楽しむ場をつくる上で大きな役割を果たした。

技術面でも、日々の積み重ねが表れ始めていると宮之原は評する。

「継続が形になってきていると感じます。スナップを利かせたバッティングや、セカンドでの壁処理能力に光るものがあります」

コート上だけでなく会場全体の雰囲気をつくり出した渡辺香鈴(チーム提供)

スピボン杯では各回、チームでトロフィーや賞状・賞品を用意しておもてなしを図っている。今回も企業や団体からの協賛が寄せられ、個人賞として活用された。

宮之原は、こうした支援に「大会全体を盛り上げてくれました。感謝の気持ちでいっぱいです」と思いを伝えた。

九州そして全国で「Baseball5が日常で行われる環境づくり」へ

今回の福岡開催を通じて、宮之原は九州でのさらなる広がりへ手応えを得た。大会後には、次の活動につながる声も届いたという。

「Baseball5のイベントを福岡でやりたいというお声がけをいただきました。また、『九州で大会を開催したのですか?』という声もいただきました。九州にBaseball5の輪を広げられるように考えていきます」

チームで足を運び、共にプレーする場をつくったことで、新たなつながりが生まれた。宮之原は、こうした出会いが地域で競技を広げるきっかけになると感じている。

「これから広がっていく可能性を大いに感じました。一つのきっかけやご縁、熱量でBaseball5ができる環境ができたり、チームができたりします。これからも発展していくために、九州へのアプローチを続けていきます」

九州そして全国での発展を目指し、活動を続ける

各地で開催を重ねてきたスピボン杯。その役割についても、競技を一緒に楽しむ時間と、そこから生まれる交流を大切にしている。

福岡で届いた「イベントをやりたい」という声も、今回の開催から生まれた次へのつながりだった。宮之原はその縁を大切にしながら、再び九州でボールを交わす機会を見据えている。

「Baseball5の魅力を共にプレーすることで分かち合うことや、『こんなに手軽にできて、夢中になれるんだ!』と感じていただくこと。また、普段会うことのない人同士が競技を通じて交わり、より良い時間をつくることです」

福岡開催で感じた可能性を、継続的な活動へと発展させるために。宮之原がその接点として2つのポイントを挙げた。

「福岡・九州でBaseball5への熱量がある方を見つけたり、そのような人材を育成すること。

また、学校教育と連携することで、子どもたちや保護者にBaseball5の魅力を知っていただき、身近な存在のスポーツにすることが必要だと感じています。

こちらから九州そして全国を回りながら、一緒に盛り上げていく形を取れたらと考えています」

今後もBaseball5を通じて喜びを生み出す(チーム提供)

子どもたちが学校で競技に出会い、その楽しさが保護者にも伝わっていく。地域の人々や学校と協力しながら、身近な場所でBaseball5に触れられる機会を届けていこうとしている。

九州でも可能性を感じたからこそ、これから体験の場を増やしていくことにも意欲を示す。

「イベントやスポーツ教室を通じて、Baseball5をやる機会をつくり、少しずつ定期的に活動できる環境をつくっていきたいですね!

今後も全国各地で日常的に行われている未来を願いながら、これからも取り組んでいきます」

一度の体験からまた集まってプレーする機会へとつなげるために。福岡で生まれた反響を受け止めながら、Sprit Bondsは全国にその輪を広げていく。

(了)

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