ISG国府台 車いすバスケットボールフェスタ2023開催 NO EXCUSEとつくり上げた笑顔と活気あふれる地域コミュニティ形成

23年11月19日、市川市の千葉商科大学で「車いすバスケットボールフェスタ」が行われた。

市川市民約350名、そして車いすバスケットボールチーム「NO EXCUSE」が参加し、体験・交流の場となった。

(取材協力:市川スポーツガーデン国府台、NO EXCUSE 文:白石怜平)

ISG国府台とNO EXCUSEによる共同イベント

このイベントは市川スポーツガーデン国府台(以下、ISG国府台)が主催している。

ISG国府台は千葉県市川市に活動拠点を置く総合型スポーツクラブ。2006年に発足してから19年目を迎えようとしている。23年11月現在で844人の会員がおり、その中で有志のボランティアも70名以上在籍。

幼児対象のかけっこ教室や小学3年生〜中学3年生を対象にしたバスケットボール教室、その他体操など16種目を展開している。

会員は名の通り市川市在住者が中心で、活動拠点である「市川スポーツセンター」から自転車で通える方が9割。20年近くにわたりスポーツを通じた地域コミュニティを形成している。

そして、このイベントに欠かせないのが車いすバスケットボールチームのNOEXCUSE。

NO EXCUSEは東京都や千葉県に活動拠点を置き、都の選手権大会や天皇杯など数々の大会で好成績を収めている。香西宏昭選手は日本代表にも選出され、東京パラリンピックの舞台でも活躍した。

ISG国府台との縁は2016年からで、約9年になろうとしている。同クラブの理念である”誰でも一緒に楽しむ仲間づくり”にマッチするスポーツとして、車いすバスケットボールを始めたいと考えていた小幡さんの考えに共感し、スタートした。

行きたいときに事前予約・会員登録なしで参加できる1回参加型のクラスで、車いすバスケットボール体験会を毎月1回開催している。

ここから発展させて「車いすバスケットボールフェスタ」を昨年から開始し、2年連続の開催となった。

22年の車いすバスケットボールフェスタでの一コマ

『選手と触れ合って一緒にチャレンジできる』をテーマに

今回は趣向を変えて行われた。

昨年は体験会を行うとともに、県内の車いすバスケットボールチーム「千葉ホークス」とNOEXCUSEが交流試合を行い、体験×観戦のハイブリット型のイベント構成だった。

今年はより多くの市民そして運営メンバーが参加できるように体験会のバリエーションを増やした。 ISG国府台でクラブマネージャーを務める小幡晶子さんは

「今回は、『選手と触れ合って一緒にチャレンジできる』をテーマにしました。バスケットボールに限定せず、競技用の車いすに乗ってみる・楽しむこと。さらに、子どもから大人までの年代や人数制限もかけずに”お祭り”として地元にお届けしたいと考えていました。

実際に乗ってみて”面白い”と感じてもらう、仮に馴染みが薄くても『ISG国府台のイベントだから楽しめるんじゃないか』そんな方たちが集まって、車いすバスケを知っていただけたらと思っております」

とその意図を語った。

今回は”体験”をテーマの中心に置いた(右はNO EXCUSE 八木沼辰弥選手)

選手・スタッフ・スクール生が一体となって運営

体験会のラインナップは4種類を用意。

赤いコーンで作られた迷路、車いすを操って、ピンが置かれたコースを前進・後進させて走り切る「スラロームトライアル」・ゴールにシュートを決める「シュートチャレンジ」に加え、NOEXCUSEの選手と車いすで鬼ごっこをするアトラクションが設けられた。

迷路コーナーでの様子

各アトラクションでは、千葉商科大学体育会バスケットボール部「WILD CATS」の選手たちや、ISG国府台のバスケットボールU15クラブチームの中学生など約50人が運営をサポート。自ら場の指揮を執るなど、地域交流の場として賑わいを見せた。

選手、地域のスタッフなどが一体になって盛り上げた(スラロームトライアルの様子)

NOEXCUSEからは山口徹朗選手・仙座北斗選手・八木沼辰弥選手の3名が参加。シュートコーナーと鬼ごっこでは3選手が交代で務め、シュートの仕方をアドバイスするなど、積極的に声をかけた。

シュートコーナーでは選手も一緒に参加した(写真は山口徹朗選手)

実演会ではアカデミーの選手も参加

イベントの中盤では、NO EXCUSEによるパフォーマンス披露が行われた。ここでは3選手に加えて「NO EXCUSE アカデミー」に所属している廣野正和くん、五十嵐謙吾くんの2名もサプライズ参加。

2人のうち1人は障害のある子、もう一人は障害のない子であったが、本アカデミーには「車いすバスケをもっとうまくなりたい!」という目的で、障害のない子も参加している。

3名に加えてアカデミー生2名も参加し、練習の成果を披露した

2×2のミニゲーム形式で俊敏な動きと正確さを見せ、アカデミー生もシュートを決めると会場全体から拍手が沸き起こった。

シュートを決め、会場のボルテージが上がっていった

さらに八木沼選手と仙座選手がそれぞれ設置されたコーンをスラロームのように巧みにかわし、シュートを決めると盛り上がりは最高潮に。

23年1月の第48回天皇杯準優勝、7月の東京都選手権大会で優勝を収めるなど、第一線で活躍する選手たちの技を目の前で見れる貴重な機会となった。

 一緒に”楽しい”を共有する仲間づくりの場に

その後は各アトラクションに戻り、再び会場全体が笑顔で満ち溢れた。

家族で一緒に参加し、スタッフらと共に車いすに乗るところからサポートし合うなど、全員が車いすに乗って走る体験ができる場となった。

約2時間半のイベントは無事に終了。最後に八木沼選手がマイクを握り挨拶を行った。

「今日はありがとうございました。会場にいる皆さんに拍手、そしてアカデミーの皆さんに拍手をしてください(全員で拍手)。

車いすバスケの日本一を決める戦い『天皇杯』が2月3日から東京体育館で行われます。頂点目指して日々練習をしていますので、観に来てくれたら嬉しいです。改めて応援よろしくお願いします!」と締めた。

NO EXCUSEで渉外担当を務める金子恵美子さんはイベントの様子を見守っており、

「ISG国府台のU15の選手の皆さんが各スポットを積極的に盛り上げてくださりましたし、老若男女が一緒に地域イベントを作り上げて楽しんでいる様子は本当に総合型地域スポーツクラブの醍醐味を見せていただきました」

終了後に選手とISG国府台のU15の選手たちと記念撮影(提供:ISG国府台)

と語った。そして、ISG国府台のクラブマネージャーを務める小幡晶子さんは2回目のフェスタ終了後、こう振り返った。

「競技用車いすの操作に四苦八苦しながらも楽しみ、選手のパフォーマンスの凄さに感動している参加者の笑顔を見て、『 一緒に”楽しい”を共有する仲間作りがしたかったんだな』というのが一番の感想です。

また、ボランティアとして参加したU-15 クラブチームの子どもたちは普段教わる側・支えられている側ですが、地域イベントでは支える側として活躍してくれたので普段と違う姿が見れるのもいいなと感じました。

このような体験を重ねていくことで、車いすバスケットボールを始めるようになり、チームを作って活動する・車いすユーザーの方とスポーツとしての仲間に育つ。そんな流れにつながるといいなと思った1日でした」

今年も多くの市民が笑顔と活気に満ち溢れた日になった。クラブそして小幡さんが描く世界の実現に向けて早くも24年の企画に向けて動き出している。

(おわり)

関連記事