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未来の“侍戦士”も?プロ多数輩出で人気上昇中…仙台大コーチが推す注目ルーキーズ

直近5年間で5人のNPB選手を輩出している仙台大。昨年のドラフトでは平川蓮(広島東洋カープ1位)と渡邉一生(オリックス・バファローズ育成4位)が指名を受け、平川は開幕スタメン入りに向け早くもオープン戦でアピールを続けている。年々、全国各地から逸材が集まってきており、今年はスポーツ総合型選抜で49人が合格。坪井俊樹コーチは「今年は特に有望な選手が多いです」と胸を張る。その坪井コーチが注目選手として挙げた11人のルーキーに話を聞いた。

即戦力も期待される地元出身右腕と沖縄出身左腕

投手では、宮城県名取市出身の阿部快(柴田)に即戦力としての期待がかかる。仙台大から程近い柴田高でエースを務めた右腕で、「全国レベルを体験できる環境が身近にある」と地元大学への進学を決めた。

高校3年間で「一番成長できた試合」と位置づけるのが、3年夏の宮城大会3回戦。強豪・仙台育英高に敗れ高校最後の試合となったが、阿部は速球を武器に9回4安打8奪三振2失点と好投した。

地元からその名を全国区にしようと意気込む阿部

速球派の多い仙台大においても直球は光るものがあり、2月下旬のオープン戦ではこれまでの最速を1キロ上回る148キロを計測した。ただ、本人は「球速はあまりこだわっていません。制球できる球速帯を探している最中です」と冷静だ。「もう一つ、二つ武器を作って、もっと自信を持ってピッチングできるようになりたい」と総合的なレベルアップを誓う。

左腕の仲里陽輝(前原)も早い段階からリーグ戦での登板機会が巡ってきそうな投手だ。身長170cm、体重70kgと小柄ながら、スライダー、チェンジアップなどの多彩な球種を巧みに操る。関東、関西の大学や社会人チームからも声がかかる中、練習会に参加した際に「色々な人と関わりながら学びを得て成長する将来が見えた」という仙台大に進学した。

仲里はルーキー離れしたマウンド捌きも魅力だ

練習会では同じ沖縄県出身の好左腕・大城海翔(新3年=滋賀学園)の投球を間近で見て、「沖縄で見たことのないレベルの化け物がいる」と衝撃を受けた。早速、その大城に練習方法などを教わっており、同郷の先輩とともにプロ入りを目指す。

道産子コンビと甲子園で好投した技巧派左腕にも注目

仙台大は北海道の高校から進学した選手の活躍が目覚ましい。谷内翔(白樺学園)と松田収司(北海)はその“出世ルート”を歩む。

谷内は制球力の高い右腕で、カットボールや大きく曲がるカーブを武器に持つ。野球日本代表「侍ジャパン」の一員でWBCでも活躍中の種市篤暉(千葉ロッテマリーンズ)が憧れとあって、大学では直球とフォークにも磨きをかけるつもりだ。まずは体作りに注力し、「3年生になる頃にはプロに注目されるピッチャーになりたい」と先を見据える。

まだまだ線の細い谷内。150キロ到達を目標に掲げる

松田は高校2年春と3年夏に甲子園を経験した最速147キロ右腕。聖地のマウンドを踏んで自信を手にした一方、2年時は怪我に見舞われただけに、「3年夏にようやく良くなってきたところで(高校野球が)終わってしまった。怪我がなければ…」と悔いも残った。「自分を成長させられる」と感じた仙台大で研鑽を積む。

左腕の芹川丈治(弘前学院聖愛)も高校3年夏に甲子園で先発し、西日本短大付高との1回戦で敗戦の中、10回を投げ切った。抜群の制球力を生かした投球スタイルは高校、大学の先輩左腕である長久保滉成(現・NTT東日本)を彷彿とさせる。実際、芹川自身も意識しているといい、「自分が小学生の頃に聖愛の文化祭で写真を撮ってもらった。長久保さんの存在が(仙台大進学の)一番の決め手になりました」と明かしてくれた。

プロの注目集めた好打者を筆頭に個性豊かな野手陣

野手ではコンタクト能力の高い左の好打者・井上遥翔(佐野日大)に注目。「自分のバッティングを見つけた」と振り返る高校時代は非凡な打撃センスを発揮し、2年秋の関東大会準々決勝では健大高崎高・石垣元気(千葉ロッテマリーンズ1位指名)から3点適時二塁打を含む2安打をマークした。

昨秋はプロ志望届を提出するも、ドラフトで名前を呼ばれなかった。直後は落ち込み、一時は野球から離れて興味のある料理の道へ進もうとも考えた。それでも、「ここで諦めたら将来後悔する」と思い直し、大学進学を決意。熱心に誘ってくれた仙台大の門を叩いた今、「指名漏れを経験して、どんな打撃、守備を身につければ名前を呼ばれるかが明確になった。1分1秒も無駄にせず、ドラフト1位を目標に実力を磨きます」と意気込んでいる。

内外野を守れる井上。大学でのオープン戦には外野で出場中

瀬川亮太郎(鳥取・境)も打撃が光る左打ちの内野手。身長183cm、体重91kgの恵まれた体格を生かして広角に長打を飛ばす。高校では投手としても活躍し、下級生の頃からチームの中心を担った。

筑波大に所属する兄の影響で「甲子園より大学野球を見ていた」という高校時代。全国大会で躍動する仙台大も強く印象に残っていた。また前回のWBCを機に「侍ジャパン」に憧れを抱いた瀬川にとって、近年、仙台大の選手が多く大学日本代表に選出されていることも決め手の一つになった。日の丸を背負って戦う日が待ち遠しい。

打撃が持ち味の瀬川。大学では苦手意識のある守備も強化する

50m5秒9の俊足が売りの吉澤咲人(関東学園大付)も早期デビューを狙う。3年夏に右肩を故障し、現在も万全のコンディションではないものの、完治すれば二遊間の守備でも貢献できる内野手だ。オープン戦には指名打者として出場して足と小技を絡めた攻撃を展開しており、「武器である足をさらに磨いて、チームに貢献できる選手になりたい」と力を込める。

仙台育英出身外野手や「二刀流」目指す逸材も入部

他にも将来が楽しみな野手がズラリと名を連ねる。強打の捕手・若松七聖(北星学園大付)はキャプテンシーのある選手。高校では主将を務め、「第二の監督」になる意識でチームを牽引した。「一番の持ち味は声」だと自覚しており、「グラウンド内では遠慮はいらない。1年生ですが、最初から引っ張るつもりでいます」と頼もしい。

正捕手の井尻琉斗(新4年=北海)は捕手としても主将としても身近なお手本。練習中は積極的に質問し、スキルや心得を吸収している。若松は「来春には正捕手の座を掴み、4年後、井尻さんのような存在になりたい」と力強く口にした。

若松は将来の正捕手候補だ

原亜佑久(仙台育英)はスピード感のある左打ちの外野手。名門で過ごした高校時代は「苦しいことの方が多い3年間でした」と回顧するが、3年夏は甲子園に出場し本塁打も放った。「苦しい時に折れるのか、そこから這い上がるのか。大学でも良いことの連続ではないと思いますが、続ければ必ず結果が出ると信じて練習に取り組みます」。岩手県出身の原が東北でさらなる進化を遂げる。

平野秀太(金光大阪)は投打二刀流を視野に入れる。140キロ台の速球を持つ右腕は「かっこいいなと思うのはピッチャーです」と本音を漏らすが、まずは遊撃に挑戦する。強肩とミート力を買って野手としての才能を見出してくれたのは、ドラフト1位指名を勝ち取った平川に野手転向を提案した小野寺和也コーチ。平野は「小野寺コーチの期待に応えられるような選手になりたい」と決意を新たにした。

年々ブランド力が高まり、入部希望者を増やしている仙台大。一方、昨年は全国大会出場を逃し、秋のリーグ戦は3位に甘んじた。多種多様な新戦力を交えた快進撃に期待がかかる。

(取材・文・写真 川浪康太郎)

読売新聞記者を経て2022年春からフリーに転身。東北のアマチュア野球を中心に取材している。福岡出身仙台在住。

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