NACK5スタジアム大宮の歴史と未来―いつもそこにある風景になるために―
サッカーチーム・RB大宮アルディージャのホームスタジアムであるNACK5スタジアム大宮は、日本国内で最も古いと言われているサッカー専用のスタジアムである。建設されたのは1960年で、すでに50年以上の歴史を持つ。
そのNACK5スタジアム大宮が、今変化の時を迎えている。「NACK5スタジアム大宮 まち・ミライ・笑顔・つながるスタジアム プロジェクト」の名のもとに、同スタジアムの改装に合わせて、その役割を社会の中でより大きなものにしようとしている。
これからNACK5スタジアム大宮はどのように変わっていくのだろうか。このプロジェクトを主導するNTT東日本株式会社 埼玉支店 第一ビジネスイノベーション部 地域基盤ビジネスグループ長である北條裕之氏に、NACK5スタジアム大宮が目指す未来を聞いた。

半世紀以上の歴史を刻むスタジアム
今回のプロジェクト「NACK5スタジアム大宮 まち・ミライ・笑顔・つながるスタジアム プロジェクト」とは何でしょうか
北條裕之氏(以下、敬称略)「NACK5スタジアム大宮を、サッカーの試合だけでなく、地域の日常にあり続ける場にしようというプロジェクトです。
スタジアムはどうしても、試合があるときだけの特別な場所となってしまいがちです。もちろん、サッカーのスタジアムはサッカーの試合のために建設されるものです。だから、そうした形で街にスタジアムが存在することも、一つの形なのだとは思います。
でも、その一方で、近年街づくりの在り方が変わってきているのも事実です。サッカースタジアムのような建物を、特別な時に使う特別な場所から、そこに住んでいる人が使う場所あるいは関わる場所に変えようという動きがあり、今回の私たちのプロジェクトもそうした動きを取り入れたものです。」
NACK5スタジアム大宮は日本で最初のサッカー専門スタジアムで、建設されてから50年以上の歴史を持つスタジアムです。そうした歴史をご存じの方は、大宮では多いのでしょうか。
北條「大宮に住んでいらっしゃる方で、そうしたスタジアムの歴史をご存じの方はあまり多くはないと思います。やはりサッカーファン、あるいはRB大宮アルディージャのファンやサポーターの方に限られてしまいますね。でもそのことは大宮に住む多くの方が、”NACK5スタジアム大宮は自分たちの生活とは関係のない場所である”と思っていることを意味するものではないと、私は考えています。
というのも、NACK5スタジアム大宮は大宮公園という大きな公園の中にあり、スタジアムの隣には氷川神社という有名な神社がありますし、公園自体が大宮の中でも桜の名所でもあるんです。つまり、すでに大宮公園自体が、大宮の皆さんにとっての憩いの場なんですね。
そのような公園の中にあるNACK5スタジアム大宮なので、スタジアムの歴史は知られなくても、大宮の皆さんにとって誇りや親しみを持っていただけるスタジアムであると言えるのかもしれません。」

地域に暮らす人の日常にあるスタジアムを
では、いままでの経験を踏まえて、地域に住む方の様々な場面に現れるスタジアムとなるために、これからどのようにNACK5スタジアム大宮は変わっていくのでしょうか。
北條「大宮は首都圏のベッドタウンとして、文字通り子どもからお年寄りまで、幅広い年代の方が暮らしている街です。ですから、年代によってNACK5スタジアム大宮に果たして欲しい役割も、異なってくると思います。
例えば、私たちは主に小学生の子どもたちが放課後に集まるための、スポーツ学童事業をすでにNACK5スタジアム大宮で開催しています(OOMIYA X BOX:大宮クロスボックス)。これは子どもはもちろんですが、保護者にとっても、放課後の子どもの預かり場所として、同時にスポーツに親しむことができる場として、活用していただけるものです。また、子どもが放課後に安心して過ごせる場所が、自分たちが良く知っているスタジアムの中にあるというのは、保護者にとっても、大宮での生活の大きな安心材料なのではないでしょうか。
また、今後スタジアムの中にコワーキングスペースを開設する予定です。スタジアムで働くというと、サッカー関係者だけができることと思われがちですが、緑のなかにあるコワーキングスペースを活用していただくことで、いつもと違う雰囲気の中でお仕事を進めていただけるのではないでしょうか。
さらにランニングステーションの機能を整えて、大宮公園エリアと連動した「仕事×運動×健康」のライフスタイルを実現する場にしていきたいです。
これからNACK5スタジアム大宮は、サッカーの試合を見るためにだけ来る場所ではなく、働く場所や楽しむ場所、そして特別な予定がなくてもなんとなく来られる場所として、地域の皆さんの普段の生活に溶け込むスタジアムとなれるよう変わっていきたいと考えています。」

長い歴史を持つサッカースタジアムが、たくさんの人の日常の中にある「普通の風景」となること、人が集い新たな交流により地域課題解決や「ミライ」をつなぐ共創がうまれること、それが今回の「NACK5スタジアム大宮 まち・ミライ・笑顔・つながるスタジアム プロジェクト」の最終的な目的である。
今いる場所を何らかの理由で離れたとき、人が思い出すのは特別な場所や風景ではなく、いつも通った道や普段見ていた景色であることは意外と多い。そんな、暮らしの中にある普通の景色となることを、NACK5スタジアム大宮を支える人々が選んだと言ってもよいだろう。
地域に暮らす人の働く場所や学ぶ場所、そしてくつろぐ場所や楽しむ場所となるために、NACK5スタジアム大宮は変化していくことになる。
(写真提供 NTT東日本株式会社)
(インタビュー・文 對馬由佳理)
