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クラブ野球で”人生初の全国大会” 東北大OBトリオが躍動「東京ドームに行きます」

学生野球引退後も”人生初の全国大会”を経験できる土壌がある。7月3~5日、石巻市民球場などで第50回全日本クラブ野球選手権の東北二次予選が開催され、大崎トリプルクラウン(宮城)、ゴールデンリバース(秋田)、エフコムBC(福島)、東北マークス(宮城)が激戦を制して代表権を獲得した。「最後の一枠」を争う第4代表決定戦では、東北マークスがB-net/yamagata(山形)に9対2で勝利。この試合で先発し5回1失点と好投した佐藤昴(23)は、「全国大会は初めてなので、どういう感じなのかまったく想像がつきません」としみじみ口にした。

東北マークス・鈴木杜朗が”定位置”の4番で存在感

第4代表決定戦では”東北大OBトリオ”が揃い踏みだった。先発の佐藤と「1番・左翼」の藤木拓也(22)、「4番・三塁」の鈴木杜朗(25)の三人だ。佐藤は先発の役割を果たし、鈴木はコールド勝ちを決める適時打含む3安打3打点と躍動。藤木はこの日は無安打に終わったものの、大会通じて守備で貢献しリードオフマンとしての存在感も発揮した。

鈴木は東北大時代の2年春から4番を”定位置”にした右の強打者。大学卒業後は「宮城で強いクラブチームと言えばマークス。野球を続けるならマークスがいい」と、地元の宮城県仙台市に拠点を置く強豪クラブチームに入団した。

勝負強さを見せつけた鈴木

現在は配属先の岩手県で働いており、土日は車で片道約2時間かけて移動して全体練習に参加している。平日は終業後に公園で走ったり、バッティングセンターでボールを打ったりして自主練に励む日々。仕事との両立に「難しさ」を感じながらも、「自分としてはまだまだ成長できていると思う」と胸を張る。

2年目を迎えてクラブ野球の醍醐味も身に染みて分かるようになってきた。「企業チームと戦える楽しさもありますし、これまでの野球人生で全国大会に出場したことがなかったので、全国を争う緊迫した試合では特にやりがいや面白さを感じています」。社会人になってもなお、真剣勝負は魂が震える。

東北大の先輩・後輩がクラブチームで再会「心強い」

そんな鈴木に誘われて東北マークスに入団したのが、今春東北大を卒業したばかりの佐藤と藤木だ。佐藤は仙台六大学野球リーグで通算11勝を挙げ、4年秋にはベストナインに輝いた好右腕。藤木は当時から攻守にわたってチームを引っ張り、同期のエースを支えた。

鈴木が「昴は大学時代と変わらずよく投げてくれていますし、藤木もなくてはならない存在。心強いです」と頬を緩めれば、佐藤も「(外野方向の)左側を見たら杜朗さんと藤木がいる。大学の頃と同じで、僕も心強いです」と白い歯を見せる。強い絆で結ばれた三人が新天地でも信頼を深めている。

鈴木、佐藤からの信頼も厚い藤木

佐藤は鈴木に声をかけられ、「勝ちにこだわっているチームで、経験豊富で実力のある先輩方も多い」との印象を抱いていた東北マークスへの入団を決めた。現在は大学院に通いながら練習に参加しており、さまざまな経歴を持つ先輩たちとコミュニケーションを図って得た学びを自身の成長につなげている。

鉄腕・佐藤昴が貫く、野球を「楽しむ」スタイル

大学4年時に「楽しむ」をテーマに掲げていた佐藤。そのスタンスは今も変わらない。「野球をやること自体が楽しいです。全国が懸かった試合とか、これまでできなかった経験ができることも楽しい。(東北マークスの)みんなも楽しそうに野球をやっていて良かったです」。何度も「楽しい」という言葉を繰り返した。

今年の全日本クラブ野球選手権宮城一次予選では最優秀選手賞を獲得し、東北二次予選の初戦ではエフコムBC相手に敗れるも9回3失点と力投。そして中1日で臨んだ第4代表決定戦でもチームを勝利に導いた。この大一番でもやはり、「楽しむ」姿勢は崩さなかった。

早くも投手陣の柱になりつつある佐藤

大学院での勉強を最優先にしているため、練習量は大学時代と比べて大幅に減った。今でも時折、東北大が練習するグラウンドに顔を出すというが、「越智(晴紀)くんの練習についていけません」と現エースの名前を挙げながら笑う。それでも、鉄腕に陰りは見えない。

昨年は強豪に完敗…全国の舞台で「今年は何とか1勝を」

東北マークスは6大会連続の全日本クラブ野球選手権出場。昨年はのちに準優勝する強豪・大和高田クラブ(奈良)と初戦で当たって1対8で完敗した。

昨年自身初の全国大会を経験した鈴木は「隙の無い野球で、力の差を感じました」と振り返る。その上で、「今年は何とか1勝を挙げたい。打順が何番になるか分かりませんが、どの打順でもチャンスで一本打って貢献したいです」と”初勝利”に意欲をのぞかせた。

全国大会でも勝利の余韻に浸りたい

今年は準決勝と決勝が東京ドームで開催されるため、佐藤も「東京ドームに行きます。東京ドームで投げるチャンスはここしかないかもしれないので、それを目標に頑張ります」と気合十分だ。

大学までの野球人生では縁のなかった全国の舞台。思う存分楽しんで勝利をつかみ取る。

(取材・文・写真 川浪康太郎)

読売新聞記者を経て2022年春からフリーに転身。東北のアマチュア野球を中心に取材している。福岡出身仙台在住。

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