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ポニーリーグ全日本選手権大会「開会式から決勝戦まで、最高の思い出を作れる場所」

中学硬式野球・ポニーリーグ(以下ポニー)の『マルハングループインビテーションHESTA大倉カップ・第52回全日本選手権大会』が開催された。大会に先立ち7月17日に行われた開会式(オーエンススタジアム江戸川)は昨年以上の盛り上がりで、大会へ向けての雰囲気を高めてくれた。

ポニー・全日本選手権における風物詩は、“ショーアップ・エンタメ化”された華やかな開会式。今年はNPB・ヤクルトのダンスチーム“Passion”によるパフォーマンスやドローンショーが花を添えた。

選手(子供)達にとっては大舞台に挑む前のリラックスタイムであり、会場中に笑顔が溢れていた。一方で「開会式からの気持ちの切り替えが重要になる」と語る関係者もいる。同大会で決勝進出経験のある強豪チーム監督達に、同イベント(=開会式)について聞いた。

2025年優勝チーム・高崎中央ポニーGIANTSは、誇りを胸に優勝旗返還をした。

~“ショーアップ・エンタメ化”はスポーツ界全体のトレンド

「思い出の場所になる素晴らしい試みです」と温かい表情を見せるのは、昨年王者の高崎中央ポニーGIANTS・倉俣徹監督。

「最近は五輪の開会式もフレンドリーです。入場行進も各国で個性があり、参加できたことを心から楽しんでいる。日本球界ではこういう雰囲気の開会式は珍しいと思いますが、スポーツ界の1つのトレンドとして『アリ』だと思います」

2024年のポニー転籍前はボーイズリーグ所属。同リーグは歴史と伝統に沿った様式を重視していたため、「ポニーのスタイルには多少の驚きもありましたが、今は我々も楽しめています」と続ける。

「試合へ向けての切り替えができれば良い。開会式は他チームとの交流も含め楽しめば良い。その後にスイッチを切り替えてくれれば何の問題もない。我々が思っている以上に、選手達はしっかりやってくれます」

「開会式は楽しんで欲しい」との一方、「優勝チームとしての誇りや矜持は大事にしてもらいたい」とも語る。

「優勝、準優勝チームは注目を集めます。入場行進の歩き方、返事の大きさ等、所作や振る舞いを大事にしてもらいたい。『常に見られているよ』という話もしています。そういう思いを持てていれば、試合にもスムーズに移れると思います」

2025年決勝を戦った、高崎中央ポニーGIANTS・倉俣徹監督(写真左)と愛知木曽川ポニー・那須聡監督(同右)。

~満員に埋まった球場での決勝戦は“夢の舞台”

「この場所(全日本選手権)に立てたことが大事なので、あとは楽しむだけです」とは、昨年準優勝チームの愛知木曽川ポニー・那須聡監督。

「3年生にとっては最後の大会なので、最も大事なのは地区を勝ち抜いて全日本選手権に出場することです。高校野球における“甲子園出場”と似た感覚かもしれません。昨年の準優勝も、『選手へのご褒美』と思っています」

「昨年はレギュラー全員が3年生でした。結束力もあり試合ごとに勢いに乗れた感じもありました。新チームとなりイチから作り直したので、『全国出場も厳しいかも…』と最初は感じました。それでも選手全員が頑張ってくれて全日本選手権へ出場できた。本当によくやったと感じています」

2021年にリトルシニアからポニーへ転籍した。全日本選手権では開会式と共に、出場全チームが決勝戦を観戦するスタイルに感銘を受けた。

「決勝戦を全チームが観戦するのが素晴らしいと感じました。スタンドが埋まった最高の環境は“夢の舞台”だと思います。昨年は我々もそういう貴重な経験を積むことができました。準優勝に終わりましたが一生の記憶に残る出来事です」

「高校から先にも絶対に活きると思うので、1人でも多くに経験して欲しい場所です」とも付け加えてくれた。

2023年“伝説の一戦”を戦った、佐賀ビクトリー・古澤豊監督(写真左)と関メディベースボール学院・井戸伸年監督(同右)。

~開会式と試合のメリハリが選手の成長にも繋がる

ポニー・全日本選手権において“伝説の一戦”と言われるのが、2023年の第49回大会決勝戦。ポニー佐賀ビクトリー(佐賀V)と関メディベースボール学院ポニー(関メディ)の試合は、延長11回「5-5」の引き分け、両チーム優勝となった。

当時も指揮を執っていた佐賀V・古澤豊監督と関メディ・井戸伸年監督が和やかに語り合う姿を見つけた。「お互いに尊敬でき切磋琢磨できる関係性です」と口を揃える両者だが、同イベント(=開会式)をどう捉えているのだろうか。

「他のリーグにはない、素晴らしい開会式だと思います。ワイワイ楽しくやるのは大好きなので、こういう形で盛り上がるのは大歓迎。ポニー・全日本選手権はこれが恒例行事ですので、佐賀Vとしては通常モードで参加しています」(佐賀V・古澤氏)

「開会式がショーアップ化されるのは大歓迎。その上で試合には真剣、真摯に挑んで勝利を目指す。両方を大事にして、徹底的に楽しみたいと考えています。『浮かれて試合でのパフォーマンスを発揮できない選手はいない』と思っています」(関メディ・井戸氏)

ポニー史上に残る熱戦を戦った両チーム監督は、開会式の“ショーアップ・エンタメ化”について同様の考えを持っている。また、「メリハリの重要性」を語ってくれたのも同じだった。

「グラウンド内外での切り替えをしっかり行う。そして決勝戦のように大観衆で盛り上がっている環境でも普段通りにプレーする。これから先、上のカテゴリーで野球を続けるのなら必要な資質になる。今のうちからそういった経験を積み、慣れることが大事だと思います」(関メディ・井戸氏)

「基本的には“楽しく”でやっているチームです。もちろん試合に向けては“厳しく”締める部分もありますが、開会式は楽しんで欲しい。この後、宿舎に戻ってからのミーティングからは試合モードで頂点を目指します。そこのメリハリを選手に求めますし、そういう環境を作り上げたいと思っています」(佐賀V・古澤氏)

3連覇以来の日本一を目指す、ポニー江東ライオンズ・田本剛監督。

~野球以外の面でも違いを感じて欲しい

「高校野球でのプレーを考え、ポニーでもそれに準ずる行動をするように伝えています」と言い切るのは、ポニー江東ライオンズ・田本剛監督だ。

「選手達は高校野球でのプレーを目指して、厳しい練習に励んでいます。だからこそ中学年代の今から、グラウンド内外で高校球界のしきたりに沿った言動を身につけるように指導しています」

「今から始めないと間に合わない。手遅れになってからでは選手達に申し訳ない」ともいう。選手の将来を親身になって考えているからこそ、厳しい指導にも繋がっている。

「開会式を盛り上げていただき、選手達は本当に嬉しいと思います。我々としても感謝しかありません。もちろんオンオフを別物と捉えて、楽しんで欲しい気持ちもあります。でもそこの切り替えは難しい部分でもあるので、しっかり対応できるようにしたいです」

「『開会式では野球以外の面での違いを見せろ』と話しています。荷物の置き方、返事等、誰が見ても恥ずかしくない言動をしてもらいたい。江東の選手にはそういった部分でもトップにいて欲しいので、かなりうるさく言っています」

2020年から全国3連覇を成し遂げた名門の根底にあるのは、「高校野球を意識した育成」。質実剛健の“硬派”な姿勢は、見ている側を心地良くさせてくれる。

“ショーアップ・エンタメ化”された開会式、ドローンが「PONY」と描いた際には歓声が上がった。

開会式の“ショーアップ・エンタメ化”や満員の中での決勝戦にフォーカスが集まるが、各チーム監督がその先を見据えているのが伝わってきた。何よりも選手達の成長と高校進学以降の活躍を、心から願っている。

「Protect Our Nation’s Youth(国の宝である子供達の成長を守る)」の理念通り、ポニーリーグはこれからも進化を続け、選手達の成長を後押ししていく。

(取材/文/写真・山岡則夫、取材協力/写真・日本ポニーベースボール協会)

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