LIGAサマーキャンプで「完全燃焼」した選手たちの声。

広尾晃のBaseball Dibersity

8月2日から11日までの10日間、北海道で「LIGAサマーキャンプ2025 in 北海道」が開催された。高校野球の地方大会で敗退し、野球部を引退した高校3年生が、全国から集まり、チームを作ってリーグ戦を戦うというものだ。10日までは栗山町民球場、新十津川町ピンネスタジアムで試合をし、最終日はエスコンフィールドHOKKAIDOでファイナルゲームを行った。

参加した選手たちの声を聴いた。

滋賀県立八幡商業 大橋

試合では技巧派らしい投球を見せていた右腕大橋悠也だ。

「僕が通う八幡商業は、Liga Agresivaに参加していますが、そこでサマーキャンプについて知りました。

投手としては、球速は133㎞/hほど。三振を奪うと言うよりは打たせて取るタイプです。

監督からは身長を活かして高低差をつけるのと、変化球をうまく使えれば打ち取れると言われています。

このサマーキャンプに参加して、結構うまい選手が多いので、そういう人から技術を盗むことができるなと思っています。

進学を考えています。できれば神宮球場で野球ができるような大学に進めればと思います。

両親はすんなりOKしてくれて背中を押してくれました。親のためにも収穫を持って帰りたいと思います」

技巧派大橋の投球
日体大荏原 中村

日本体育大学荏原高校では捕手。このサマーキャンプには同じく捕手の森翔太朗も参加している。

「サマーキャンプは親が紹介してくれました。自分自身でも大学で野球を続けるつもりだったので、それへ向けてのレベルアップができればいいかなと思いました。それと全国の仲間と交流できるのもいいですね。

実際に参加してみて、守備に関してはまあできているかなと思ったのですが、まだバッティングの方で対応できていないと感じています。

ピッチャーのレベルが高いので、球も速いし変化球でカウントが取れるので、そういう投手と対戦するのがいい刺激になっています。

キャッチャーとしては、肩が強いので走られたら全部刺したいと思っています。打者としては、長打も打てるし逆方向にも打てるので、チームのプラスになるような選手になりたいと思います。

夜は読書会などもあります。自分はあまり本は読まなかったので、メンタル面の事なんかも考えられるしいい勉強になっているなと思います。

将来的には大学に進学して、できればプロから声がかかるような選手になれればいいと思っています」

機敏な動きを見せる中村
愛工大名電 矢野

「ポジションは一応投手ですが、ショートなど内野も守ります。スイッチヒッターでもあります。今年の地方大会は、準決勝で豊橋中央に負けました。僕は7番一塁で出ていましたが、安打が出ずに悔いが残った感じですね。もう少し勝ちたかったし、甲子園にも出たかったですね。

このサマーキャンプはみんな意識高いというか、向上心を持っている人たちが集まっているのがいいですね。

それに毎日試合できますし、レベルも高いですし、木製バットで試合をすると言うのも、次のステージを意識しているので、いいプロジェクトだなと思います。

スイッチヒッターと言う持ち味は今後も生かしていきたいと思っています。野手としてはショート、サード、ライトなどを守っていますが、守備に加えてバッティングが売りですね。

広角に打てるのが強みだと思っています。

僕はプロ志望届は出さないつもりです。大学に進んで、4年後にプロや社会人から声がかかる選手になりたいと思っています」

シャープな打撃を見せる矢野
北海道根室高 菊地

メジャーリーガーとよく似た名前ということで「そればっかり言われます」という菊地だが、右のサイドスローの投手だ。

「コントロールはそれほど良くないんですが、横に変化するスライダー、今でいうスイーパーが持ち味ですね。

今年の地方大会は、1回戦で釧路明輝に4対5で負けました。僕は初回の制球が悪くて、四連続フォアボールを出してしまいました。味方が追い付いて、延長10回まで一人で投げましたが、サヨナラ負けをしてしまいました。

絶対勝てる、もうちょっとやれると思っていたので、本当に悔しくて、それでサマーキャンプに応募しました。高校生が木製バットで野球ができるって、いいなと思って去年から気になっていたんです。全国からすごい選手が来るので、自分がどのレベルなのかを知りたいと思っていました

僕自身はプロ志望届を出す気はありません。大学に行くつもりです。大学で野球するために必要なのは、筋肉と柔軟性だと思います。今の自分にはどちらも足りないので努力したいです」

サイドスローの菊地
日体大荏原 森

中村逢良のチームメイト、ポジションも同じ捕手だった。

「地方大会では、捕手としては出場できませんでした。2回戦では代打で出場し、ファーストを守って、3回戦は代打で出ただけでした。

どうしても捕手としてプレーしたいと思って参加しました。中村君がいるとは知りませんでした。いろんな地方から選手が集まっていて、自分の高校にはいなかったタイプの選手とか、評価が高い選手とプレーができて、いろんな学びができて良かったなと思いました。

いろんな投手をリードするのは楽しいですね。

将来的には、英語の学科のある大学に行って、英語の先生になろうと思います。今のところ野球を続ける気はないんですが、サマーキャンプで野球は楽しいな、と思えたら続けてもいいと思っています」


捕手としてプレーする森
石川県立門前高校 坂井

昨年の能登半島地震で被災した石川県輪島市にある高校だ。

「僕自身は金沢市の出身で、自宅は大丈夫だったんですが、寮の建物にひびが入ったり、周囲の建物が全部潰れたりしました。

今年の地方大会は、ベスト16で終わりました。相手は私学の遊学館で、7対8でサヨナラ負けしたんですけど、全員でやり切れた感じがありました。また、試合が終わった後の地域の人の声掛けがすごくうれしかったです。

ただ門前高校にいると周囲のことがあまり見えないので、どんな野球のスタイルがあるのか、自分の知らない野球を求めて、サマーキャンプに参加しました。行きたいと言ったら、両親も賛成してくれました。

レベルの高い選手がいますし、自分と違うタイプの選手もいます。いろんな刺激があるのがいいですね。他の投手は自分のピッチングについて、フォームを知り尽くして説明ができます。僕はそれができなかったので、自分のことを知らなくては、と思いました。

マックスで142㎞/hくらい出ます。変化球はカーブとスライダー、ツーシーム、チェンジアップがあります。

今のところプロ志望届は出しません。大学進学を考えていますが、大学でエースになって将来的にはドラフトにかかることを目指したいです」

ダイナミックなフォームの坂井
崇徳高校 田﨑

甲子園出場実績もある高校に在学しているが、彼は今、野球部には所属していない。

「野球部は途中でやめてしまって、社会人のクラブチームで野球をしています。野球部の指導方針が自分たちの代でガラッと変わってしまって、僕には合わなくて退部しました。

野球が嫌いになったのではなく野球そのものはしたかったのでクラブチームに入りました。

もともと外野手ですが、投手もやっていました。

投手としては、まっすぐでガンガン押していきたいタイプです。球速はマックスで136㎞/hくらい。あとカーブとスライダーとカットボールです。

外野手としては肩には自信があるので、走者を刺せると思います。それに守備範囲も広いと思います。クラブチームでは投手がメインでした。一応ローテーションには入っています。

高校野球部は他の高校と練習試合をしますが、クラブチームは同じ広島県内のクラブとか、企業チームと試合をします。大学とも試合をするので、レベルは高かったです。

高校では監督やコーチがいましたが、クラブチームは年の離れた選手がいて、甲子園に出た人などもいましたので、いろいろな話を聞くことができて学びになりました。

サマーキャンプは去年に知りました。その時にもう野球部はやめていて。3年生になったら行ってみようかなと思っていました。

行きたい大学は決まっているんですが、野球をするかどうかはまだ決めていません。将来は体育の教師になって、指導者としてまた野球に携わりたいと思っています」

まっすぐで押す田﨑
最終日、エスコンフィールドHOKKAIDOで選手に話す主催者の阪長友仁氏

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