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仙台大新体操競技部が創部35年目で初の大学日本一! “栄養サポート”も実り、「全員」で手にした栄冠

仙台大新体操競技部が、8月に開催された全日本学生新体操選手権大会(インカレ)の団体総合の部で初優勝を果たした。台風10号の影響で日程が大幅に変更された中でも力を発揮し、創部35年目で快挙を達成。9月には優勝報告会が行われ、大学関係者らの前で大学日本一の演技を披露した。

ようやくたどり着いた“遠い目標”…「0.05点差」で頂点

新体操はフープ、ボール、リボンなどの手具を使いながら音楽に合わせて演技し、芸術性を競う採点競技。インカレの団体総合の部は1チーム5人で行い、「フープ5」、「ボール2・リボン3」の2種目の合計得点で順位を決める。仙台大は「フープ5」で2位(30.450点)、「ボール2・リボン3」で1位(25.600点)となり、合計得点(56.050点)では2位の日本女子体育大に0.05点差をつけて頂点に立った。

9月11日に仙台大で開かれた優勝報告会では、指導13年目の神野未来監督が「ここに来た頃は、日本一なんて口にできないくらい遠い目標で、正直、達成できる日が来るとは思っていませんでした。選手たちは非常に明るく、さわやかに、自分たちが練習してきたことを出し切ってくれました」などと声を詰まらせながら挨拶した。

チームを率いる神野監督

その後、優勝メンバーがアントニン・ドヴォルザーク作曲の名曲「新世界より」をリミックスした楽曲に合わせて「フープ5」の演技を披露。「愛」をテーマに、次々と繰り出す投げ技や一糸乱れぬ動きで見る者を魅了した。

インカレ前は結果振るわず…「たくさん悩みました」

今年の新チーム発足時、神野監督は「能力が高く、優勝できる可能性の高いチーム」だと直感した。しかし、インカレを迎える前までの大会では思うような結果を残せなかった。

中でも、5月の東日本学生新体操選手権大会(東日本インカレ)はAチーム、Bチームに分かれて出場し、Aチームが6位、Bチームが5位という結果に。インカレを見据えた主力メンバーで構成したA チームがBチームの順位を下回ったとあって、団体キャプテンの碩れな(3年=鹿児島純心女子)は「うまくいかないことの方が多くて、私自身どうしたら良い方向に変わっていけるのかを考えてたくさん悩みました」と当時を振り返る。

団体キャプテンを務める碩(手前)

それでも、課題を克服すべく毎日の練習に汗を流し、時には部員間で意見をぶつけ合い、神野監督が「チームワーク、印象の良さを訴える力があった」と評するほどの一体感を醸成した。

「Bチームの中にはいろいろな思いを抱く子がいたと思うけど、Bチームのメンバーも同じ熱量で練習してくれたし、応援もしてくれた。仙台大学の全員で勝ち取れた優勝なので、感謝の気持ちを忘れずに次に向けて頑張ります」と碩。部員17人全員で成し遂げた快挙だった。

「スポーツ栄養研究会」が捕食の考案や料理教室を実施

碩の言う「仙台大学の全員」に含まれるのは新体操競技部の選手、指導者だけではない。選手たちの栄養サポート活動を行う学内の団体「スポーツ栄養研究会」も躍進を後押しした。スポーツ栄養学科の現役学生が所属する研究会で、競技力向上を目的に新体操競技部を含む12の運動部をサポートしている。

新体操においては、女子は特に審美性が求められるため、体脂肪が少ない体型が理想とされる。一方、手具を投げる、ジャンプするなどの動きのためには筋力も必要で、体のコンディションを整えるのは容易ではない。

そんな中、スポーツ栄養研究会は新体操競技部から共有されるインボディ測定の結果をもとに各選手のコンディションを把握した上で、欠食の有無や食事内容に関するアンケート調査を実施。それぞれの状況に応じて、1食に必要な食事量を伝えたり、減量中でも食べることのできる間食、補食を考案したりして選手を支える。

新体操では「審美性」が求められる

手軽に作れる料理レシピを伝授する料理教室も季節ごとに実施。また主要大会には研究会のメンバーが帯同し、大会期間中に体重変動に影響の少ないヨーグルトドリンク、チョコレートムース、アセロラオレンジなどの疲労回復メニューを提供する。

体育大学ならではの「サポート力」も証明した大学日本一。担当教員の真木瑛講師は「自分が学生の時も研究会に所属して新体操を担当していたので、日本一になってすごく嬉しい」と笑顔を浮かべ、スポーツ栄養学科卒業生の菅松蒼生新助手も「演技を見て鳥肌が立つくらい感動した。食事の面で我々にできることが少しでもあるのであれば、今後もいろいろな方面からサポートしたい」と声を弾ませた。

全日本新体操選手権大会では「完璧」な演技目指す

次に見据えるは、11月に開催される全日本新体操選手権大会。大学だけでなく高校、クラブチームの強豪が一堂に会し日本一の座を争う大会だ。

全日本新体操選手権大会でもチームワークを発揮する

神野監督が「インカレは0.05点差でギリギリ勝ち取った優勝。11月までに演技を完璧なものにして、技術を向上させつつ表現力もさらに豊かにして、見ている人の心を動かすような演技を作り上げたい」と意気込めば、碩も「苦しみ、悩む時期の方が長かったけど、それが結果につながると嬉しいと知った。その経験を生かして優勝目指して頑張りたい」と抱負を口にした。

大舞台にも「仙台大学の全員」で臨み、再び栄冠を手にする。

(取材・文・写真 川浪康太郎)

読売新聞記者を経て2022年春からフリーに転身。東北のアマチュア野球を中心に取材している。福岡出身仙台在住。

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