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明治神宮大会出場、中央学院大は3週間で投打のレベルアップを遂げた「個性的だが束になったらすごい」チーム

 2021年11月1~4日に行われた、横浜市長杯争奪関東地区大学野球選手権大会(以下、関東大会)。関東五連盟から上位2校の計10校が出場し、明治神宮大会への切符をかけて戦う大会だ。 

 17回目を迎えるこの大会で、今年初優勝を飾った中央学院大(千葉県大学野球連盟1位)は、関東五連盟の第一代表として明治神宮大会に出場する。 

 3試合で30安打17得点と打線が爆発。1本塁打を含む7安打6打点 打率.500と大暴れした主将・武田登生内野手(4年・中央学院)は、最優秀選手賞に輝いた。その武田は、優勝できた一番の理由について「(初戦の)白鷗大学戦に勝てたので、その勢いで来られたのかなと思います」と話した。 

東海大戦で2点本塁打を打った武田登生主将

千葉県大学野球リーグ戦後の3週間の成長 

 19年ぶり3回目の明治神宮大会出場が決まった。新チーム結成時から目指しているのは日本一のみ。だが、3年連続で関東大会に出場しながら、一昨年、昨年と初戦で惜敗した中央学院大にとっては、初戦は越えなければならない山だった。 

 迎えた白鷗大戦。中央学院大・古田島成龍投手(4年・取手松陽)と白鷗大・中村諒投手(4年・下妻二)、両先発のランナーを出してもホームは踏ませないピッチングで、スコアボードにはゼロが並んでいく。均衡を破ったのは7回表、白鷗大・角田康生捕手(3年・横浜)の先制ソロだった。 

 その裏、今度は中央学院大の逆襲が始まった。2安打1四球で1死満塁とすると、代打の秋広涼太内野手(4年・二松学舎大付)の2点適時二塁打で逆転、武田の左前適時打でさらに1点を加えた。 

 9回表、中央学院大はここまで13奪三振1失点と好投していた古田島にかえて、山﨑凪投手(4年・千葉英和)をマウンドに送った。山﨑は、落ち着いたピッチングでクローザーとしての役目を果たし、中央学院大は悲願の初戦突破を果たした。 

 第一関門を突破して勢いがついたのか、準決勝は両軍合わせて26安打の東海大との乱打戦を9-5で制し、決勝は佐藤晃一捕手(4年・聖光学院)が先制2点本塁打を放ち、5-1で神奈川大に快勝。関東五連盟の頂点に立った。

菅原悦郎監督を胴上げするナイン

 関東五連盟それぞれがリーグ戦を開催し、その優勝、準優勝校の計10校がこの関東大会に出場していたが、中央学院大が所属する千葉県大学野球連盟は五連盟の中で一番早い10月10日にリーグ戦を終えていた。中央学院大には、リーグ優勝してから関東大会まで、3週間もの時間があった。 

 リーグ戦では1点を争うロースコアの試合が多かったが、関東大会では3試合で30安打17得点。その理由を武田は「こんなに打てるとは実際思っていなかったので、正直自分たちもびっくりしています。ただ、リーグ戦が終わってから3週間、特打などいっぱいしてきたので、いい準備ができてこの結果だったと思います」と話した。投手の古田島も「みんな練習に早く来て打ち込んでいた。裏付けがある勝利なのかなと思います」と、野手の努力を称えた。 

 もちろん、古田島自身も何もしていなかったわけではない。リーグ戦では1勝2敗 防御率2.92と、自分の思い描く成績を残せなかった。10月11日にはドラフト会議もあり、プロ志望届を出していた古田島は指名漏れとなった。だが、そこがいい区切りとなって「次のステップに進むためには何か変えないといけない」と動き出せた。 

最優秀投手賞を獲得した古田島成龍投手

 1週目は「基本的に体を休ませていたので、ボールは投げずにシャドーなどをしていました」。2週目に「You Tubeで藤川球児さんのピッチング理論を見たんですよ。自分が目指しているまっすぐで空振りが取れるような選手なので、同じタイプなのかなと思って取り入れてちょっと良くなりました」と、投球フォームに手を加えた。少しコンパクトになったフォームに「前よりは下半身を使って投げられている」と手ごたえを感じた。 

 その結果、ストレートのキレが良くなり、空振りを取れるようになった。スライダー、カットボール、カーブ、ツーシーム、チェンジアップとどれでも空振りが取れる変化球に、キレのいいストレートが加わった結果、白鷗大戦では8回13三振、東海大戦で4回5三振、神奈川大戦で1回1三振と、13回を投げて19三振を奪った。 

 古田島は全3試合で登板した。白鷗大との試合後、8回を投げて「疲れはある」と言っていたが「自分、投げたがりっす(笑)。もっと4年生たちと野球したいんで、明日もバンバン投げる気です」と本当に次の日も中継ぎで投げた。 

 そして、19年ぶり3回目の明治神宮大会出場を決めた瞬間、マウンドにいたのは9回から登板した古田島だった。「みんなで繋いでくれて勝たせてもらったので嬉しいです」と満面の笑みを見せた。 

ここまでの道のりは険しかった 

 試合中の古田島を見ていると、本当に飽きない。表情がくるくると変わるからだ。特に、嬉しいときはヒマワリのような明るい表情を見せる。 

表情がくるくると変わる。優勝の瞬間の古田島(中)

 そんな古田島が、この一年を「つらかった」と言った。 

 新チームとなり、武田が主将に、古田島、佐藤、仁平勇汰外野手(4年・聖光学院)、度会基輝内野手(4年・拓大紅陵)の4人が副将となった。「本当に幹部でいろいろ話し合って、前のチームとはガラッと変えよう、いろいろ変えていこうとやってきました」。 

 日本一を目指せるチーム作りをしようと頑張るも「春負けた(リーグ3位)ときは、ずっと日本一を目指してやってきたのでどこを目指していいのかわからなくなり、コロナもあって野球から一度離れたりとか、本当にバラバラでどうしようもないときもありました」と、一筋縄ではいかなかった。 

「大学生って、大人ですけど大人になりきれない。難しいじゃないですか。中学、高校は強制的にやらせることは可能なんですけど、大学生になると自分を持っているので、どうしても人間を変えられないところが難しい。どうやって我を持っている人たちを同じ方向に向かせるか、どうやってチームをまとめるか、というのが何よりも難しかったですね」 

 幹部同士でケンカをしたり、他のチームメイトと言い合いになることもあった。それでも「個性的でまとめるのは大変だけど、束になったらすごい」と古田島が言う通り、秋には全国大会への切符を手にすることができた。 

 関東大会では堅い守備に加えて、3週間で向上させた打撃力、投手力でも魅せた。明治神宮大会までの2週間で、またどれほど成長しているかが見ものだ。 

 大学野球は多くの連盟がDH制度を利用してリーグ戦を行っているが、明治神宮大会はDHなしで行われるため、投手も打席に立つこととなる。 

 古田島は「楽しみです。高校のときバッティングは結構良くて、ずっと4番だったんですよ。一発かましてやろうかなと思っています(笑)」と取材陣を笑わせた。さらに、同じ投手の山﨑について「パワーあるんですよ。ロングティーとか野手より飛ばすんですよね。キャンプのときに、ふたりでやっていたら毎回柵越えでボールがなくなっちゃうんですよ。まあ、(打席では)当たったらすごいけどたまにしか当たらないパワーヒッターでしょうね(笑)」と話す。投手陣の打席が楽しみだ。 

実はパワーヒッター? 古田島と並んで中央学院大の看板投手・山﨑凪

 主将の武田は「自分たちらしく1戦必勝で、チームのテーマである『全力』を最後の大会で出したいと思います」と、明治神宮大会への意気込みを語った。 

 「束になったらすごい」中央学院大が、日本一に向けてまた一歩踏み出す。 

好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいと思い、OLを辞め北海道から上京。 「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間200試合以上観戦。気になるリーグや選手を取材し独自の視点で伝えるライターとしても活動している。 大学野球、社会人野球を中心に、記者が少なく情報が届かない大会などに自ら赴き、情報を必要とする人に発信する役割も担う。 面白いのに日の当たりづらいリーグや選手を太陽の下に引っ張り出すことを目標とする。

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