2023FINAL4進出、あの感動を再び!~愛知教育大男子ラクロス部
再びのFINAL4進出が2026年の目標
――2023年FINAL4進出、あの感動を再び!――
愛知教育大学男子ラクロス部『Raptors』は、過去最高成績である東海学生ラクロスリーグFINAL4進出を目標に掲げて2026年チームの活動をスタートさせた。
東海学生ラクロスリーグには計10校が所属し、1部リーグ6校、2部リーグ4校により、それぞれ総当たりのリーグ戦が7月から9月にかけて行われる。リーグ戦後、4校により戦われる決勝トーナメントが『FINAL4』と呼ばれる。1部リーグ上位3校および、1部リーグ4位校と2部リーグ1位校によるワイルドカード決定戦での勝者がFINAL4へ進出。FINAL4を制したチームはラクロス全日本大学選手権大会へ駒を進めることができる。
2023年シーズン、愛知教育大学は創部以来の最高成績であるFINAL4進出を果たした。2026年チームで主将を務める武田有仁(たけだ・ゆうじん=3年)は当時1年生だった。
「先輩たちが勝っていく姿は今でも鮮明に覚えているぐらい印象的でした。FINAL4進出を決めた中京大戦は、点を取ったり取られたりの接戦で、最後、追いついて追い越したときは、みんなで抱き合って喜びました」
武田が3年生だった2025年シーズンは、2部リーグで3戦全勝し1部復帰を決めたが、ワイルドカード決定戦で1部リーグ4位校・中京大に2対6で敗れFINAL4進出を逃した。新チームは再びのFINAL4進出を目指し、競技に取り組んでいる。

アピールポイントは「人数が少ないこと」
2025年シーズンを戦った旧チームの部員数はプレーヤー19人、マネージャー5人。1部リーグ常連校に比べると人数は少ない。4年生が引退し、現在はプレーヤー14人、マネージャー4人の計18人で活動している。部員数が少ないことは、チームにとってハンディになるのではないかと考えらえるが、武田は首を横に振る。
「他大学に比べて人数が少ないことが、我々のアピールポイントだと思っています。人数が少ない分、連帯感は強い。公式戦には20人がベンチ入りできるのですが、今年は全員がベンチ入りできてしまうんです(苦笑)。入部したばかりの1年生でもベンチ入りして、試合に出る機会も多いですから、その中で4年間を過ごすうちに、一人ひとりの責任感が強くなります」
人数が少ないことをデメリットにしない。その考え方がチーム全体に根付いていることが、愛知教育大学男子ラクロス部の強みだと武田は強調する。
「練習中に意見を共有しやすいというのも、人数が少ないことの利点かなと自分は思っています。戦術や方針も、人数が多いと全体に伝わるまでに時間がかかると思いますが、うちは人数が少ないので1回でみんなに共有することができる。同じ考え方を持って練習に取り組めるというのは、ひとつ大きな利点だと思います」
人数が少ないため、上級生、下級生が一緒に練習をする。その中で、下級生でも意見を言いやすい空気作り、環境作りを意識しているという。
ラクロスは10人対10人で戦うスポーツだが、現在の人数では部内で紅白戦をすることができない。しかし、そこは練習の工夫でカバーできること、デメリットとは考えていないと武田は言う。
「紅白戦は基本的にしないですね。練習メニューに関しても、規模を小さくして、オフェンスとディフェンスに分かれての練習になります。組織練習はオフェンス6人対ディフェンス7人(ゴールを守るゴーリーを含む)、13人で練習することができます。ありがたいことに他大学や社会人チームと練習試合を組ませてもらうことが多いですし、合同練習もやらせてもらうことが多いので、そういったことで人数が少ないことをカバーしています」
部員数が少ないことによる苦労ももちろんある。体調不良などで1~2人が練習を休んでしまうと、予定していた練習メニューの大幅な変更を余儀なくされることがある。体調管理やスケジュールの管理、取るべき単位をしっかり取ることなど、一人ひとりが強い責任感を持ってラクロスに向き合うことが必要になる。

OB、OGとの関係をさらに強化したい
現在、部の課題として挙げられるのが、OB、OGとの関係を強化することだ。2023年から部の指導・運営に携わる鈴木敏章GMはこう語る。
「リーグ戦の上位校だとOB会がしっかり組織されていて、OBと学生との関わりも強く、定期的な資金援助があったり、OBがコーチを務めたりというのがスムーズに行われます。愛教大の場合はまだそういうところが弱いので、そこの環境を構築できたらと思って、今、活動を続けています」
毎年1回、春先にはOBが集まって学生と紅白戦を行い、交流を図っている。リーグ戦の試合へ応援に来てくれるOB、OGもいる。OB、OGのLINEグループに現役学生が橋渡し役として加わり、積極的に部の活動報告を増やすように取り組んでいる。
「卒業して1~2年のOB、OGは、OB戦や試合だけじゃなくて、普段の練習にも顔を出してくれたりもしています。でも歳が離れていくと現役の子たちとコミュニケーションを取るのも難しくなるのかなとは思います。それでも、大学4年間を過ごしたチームですから、もっと興味を持ってもらいたい。こんな活動をしてるんだよ、というのを現役生のほうからどんどんアピールするようにしていきたいです。寄付金という形でご支援もいただいていますので、その結果、こうなりましたよ、こんなふうに使わせてもらいましたよ、という報告もLINEグループなどを通してどんどんしていきたいですね」

「愛教大って、チームの雰囲気いいよね」
鈴木GMは愛知教育大学のOBではなく、名城大学ラクロス部出身だ。大型ディフェンスとして大学卒業後も社会人チームでプレーを続けている。愛知教育大学と合同練習を行ったことが縁で、2023年から部の指導・運営に携わるようになった。
「試合後や合同練習のあと、相手チームのコーチの方と話す機会があるんですが『愛教大って、本当にチームの雰囲気いいよね』とよく言われるんです。『雰囲気がいいって、どういうことですか?』と聞くと『練習の前後や試合のハーフタイムに、あんなに笑い声が出るチームはあまり見たことがない』というふうに言われるんです。体育会の部ですから、常に勝つことを目指しつつも、雰囲気のよさは今後も伝統として残してくれたらと思いますね」
鈴木GMはそう語り、選手たちに温かいまなざしを送る。
少ない人数をハンディにはしない。逆にそれをメリットにする。上級生も下級生も、思ったことを意見できる空気、その中で醸成されてきた「雰囲気のよさ」。それこそが愛知教育大学男子ラクロス部の一番の魅力なのだろう。
現在、鈴木GMを含め6人の指導者が男子ラクロス部の指導に携わっている。渡邊宗俊HCは日本福祉大学出身、深谷遥翔OFコーチは南山大学出身だ。チームが醸し出す『雰囲気のよさ』が他大学出身の指導者を引き寄せているのではないだろうか。蕨野太一DFコーチは愛知教育大学OBで前々年度主将、奥田大雅育成コーチは同前年度主将を務めた。
武田は「他大学の戦術を愛教大伝統の戦術に落とし込みながら試行錯誤できる点も強みだと感じています。コーチと選手間の仲もよく、戦術を教えてもらうのはもちろんのこと、個人的な相談や意見を直接言える点も、練習とプライベートのメリハリや絶大な信頼に直結すると感じている」と指導陣への感謝を言葉にする。
過去最高成績となるFINAL4進出を目指し、『Raptors』は2026年シーズンへ臨む。
(写真提供/愛知教育大男子ラクロス部 取材・文/小川誠志)

