バスケットボールB1・滋賀レイクス「Lake up!~滋賀から日本全国へ熱源を広げる」

バスケットボールB1・滋賀レイクスを取り巻く熱量がすごい。チーム成績とは関係なく、本拠地・滋賀ダイハツアリーナに毎試合、多くのファン・ブースターが足を運んで声援を送る。2026年から始まるBプレミアへの参加も正式決定するなど、勢いに乗っている「気になるチーム」だ。

~熱量を確かめるため、向かった先は滋賀ダイハツアリーナ
2024年12月22日、レイクスはサンロッカーズ渋谷(東京・青山学院)に「90-88」で勝利、開幕6戦目から続いていた連敗を「18」で止めた。アウェー試合で人数的には劣勢だったが、試合終了までブースターの大声援は鳴り止まなかった。
「レイクスのファン・ブースターの声量、熱さは日本一」と聞いていたが、年末の東京に響いた声量は想像を超えるものだった。チーム成績を考えれば信じられない光景を体感、「現地はどうなっているのか?」という思いが生まれ滋賀へ足を運んだ。

~アクセス面の改善を常に模索している
2025年3月5日、レイクスは同じ西地区に所属する大阪エヴェッサとの対戦だった。
滋賀ダイハツアリーナ(以下滋賀DH)は滋賀県大津市の山間部に入った場所にある。最寄りのJR琵琶湖線・瀬田駅からバスで向かったが、スムーズかつ快適に到着できた。
「滋賀DHを使用することになり、最初に取り組んだのがアクセス面の充実。地元の人たちからすると『あんな場所に…』と思われるような場所だったそうですが、『実際に行くと問題ない』という声を頂いてます」
滋賀レイクス・コミュニケーションデザイン部部長の大宮健司氏が出迎えてくれ、説明してくれた。
「以前のホーム会場である『ウカルちゃんアリーナ(滋賀県立体育館)』はJR駅から徒歩圏の琵琶湖岸にあったので、それに比べるとアクセスが良くないことは否めません。そこをカバーするのが集客のための最初のハードル。地元バス会社にご協力いただき、可能な限りバスの増便をしていただいています」
「滋賀県は関西都市圏のベッドタウン。逆に言えば足を運びやすい場所にあるので、最寄り駅から滋賀DHまでのアクセスを良くすることが重要です。また、自家用車で来る方のためにも可能な限り駐車場を増やそうと、現在進行形で動いています」
「(滋賀DHは)山の中にあるのでアクセスが良くない、というイメージは払拭できつつあるのではないかと思っています」と続けてくれた。

~良い意味での集団心理、同じベクトルを向けている
チームは滋賀レイクスターズとして2008年に創設、bjリーグ(当時)で活動後、2016-17年からB1リーグに所属している。成績不振で2023-24年はB2リーグへ降格するも、1年で再昇格を果たした。
B2降格と時期を合わせるように、2023年から同クラブ代表取締役社長に就任したのが原毅人氏。
bjリーグ時代は青森ワッツ、埼玉ブロンコス、大分・愛媛ヒートデビルズで選手としてプレー。現役引退後はビジネスの世界で数多くの成果を挙げるなど、コート内外を知り尽くした人物だ。
「当初の不安要素は2つありました。1つはB1復帰ができるか。2つ目は集客ができるか。B2降格した直後でしたので、多少の苦労は覚悟はしていました」
レイクスが目指していたのは、2026年から始まるBプレミアへの参加。Bリーグが審査基準に挙げていた平均観客動員3,000人をクリアする必要があった。
「(B2とはいえ)手応えは早い段階から掴めました。10月の開幕月から3,000人以上の集客があった。そして熱量が高いホームゲーム空間を作れていた。勢いのままに年を越して、2月になると昇格へ向けて更に加速して突き抜けられました」
ビジネスの世界で培ってきたノウハウをレイクスでも最大限に発揮。リーグ開幕前に準備を重ね、クラブ全体が同じ方向を向くことができた。
「固定概念にとらわれないこと。その上で目標設定をして宣言する。それができれば、良い意味での集団心理を獲得でき、全員が同じベクトルで進み続けられる。開幕までの段階で機運を醸成できたのが大きかったです」

~滋賀の人々の地元への愛と誇りが熱量の源になっている
ビジネス面だけでなく、コート上の選手の思いを身を持って知っているのも原氏の強み。「熱量あるアリーナは選手全員のパフォーマンスを絶対に高めてくれる」と語る。
「現役時代、満員のアリーナでプレーすると高いパフォーマンスが出しやすかった。それはアウェー試合でも同様でした。対戦相手も含め、良い試合、エンタメを見せられる状態のアリーナを滋賀で作りたいです」
「『圧倒的なホームコートアドバンテージを作る』をテーマに掲げています。満員のアリーナで応援の声をフルに出すことでチームは勝てると思っています」
bjリーグ時代に対戦相手として滋賀でプレーした経験もある。当時から滋賀のバスケ熱を体感、ポテンシャルの高さを感じていた。
「レイクスは『滋賀県で唯一のプロスポーツチーム』の時期が長かった。各方面から注目され、知名度が高いのは大きいです。何より滋賀の皆さんは地元を愛し、誇りに思う気持ちが強い。それが熱量の強さにも繋がっていると思います」
時間をかけて一歩ずつ、地元・滋賀とは素晴らしい関係性を構築しつつある。これから先はチーム成績も求められるようにもなるはずだ。
「勝てない状況が続くと集客が厳しくなることも考えられます。しかしながら観客動員が増えているのは、2022-23での降格~2024-24での昇格と優勝~Bプレミアに向けての物語をクラブとファン・ブースターが共有できているからだと思います」
チームの方向性を発表、クラブが歩むべき道筋を明示したことで周囲もサポートしやすくなっている部分があるようだ。
「B1復帰後は、Bプレミアに向けて年々飛躍することを目指します。さまざまなハードルはありますが、コート内での結果(=勝利)も求めていきます」

~レイクスの歴史や物語を大事にする
レイクスのゲームでは、演出面を含めた細部にまでこだわりが施されている。「レイクスが培ってきた歴史や物語を大事にしたい」と原氏は続ける。
「レイクスの一番の武器はファン・ブースターであり、彼らの声です。他クラブの方々が驚かれるほどの声量・熱量は今後も大事にしたい。また、今まで演出で使用してきた楽曲も素晴らしいものばかりなので変更していません」
原氏自身が積極的に関わったのが、試合後のエンタメ・イベント。米国スポーツでも見かける、ライブ形式のゲームレポート等に力を入れている。
「MCと解説者が進行、選手も登場して試合を振り返ります。公開形式でYouTube配信も行うので、数百人単位の方々が試合後も残っていただける。帰宅する方々が分散する効果もあります」
「混雑を避けて早めに帰宅する方も、バスや車中でYouTube配信のチェックができます。試合に行って家に帰るまで、その日の全てをレイクスの思い出で埋め尽くしてもらいたいです」
他にも、ビジョンを通じて対象者を選び、試合後に選手と記念撮影できるイベント等も開催。帰宅時の混雑に対応するため、試行錯誤しながら良いものを取り入れている。

レイクスが見据えるのは、コート上の勝利やビジネス分野の成功だけではない。「ホームタウンである滋賀の人々の人生に欠かせない存在となることを目指している」と原氏は力を込める。
「スポーツ業界的には、全国の地域クラブの中で最も注目される存在になりたい。ファンやパートナーさん、滋賀県民の皆さんがレイクスを通して豊かな人生を過ごして欲しい。そして年収、環境、雰囲気を含め、『滋賀で最も働きたい会社(=クラブ)』になりたいです」
「滋賀から日本全国へ向けて熱源をどんどん広げていきたい。クラブとして『Lake up!(レイク・アップ)』という『今日よりも明日を素晴らしいものに』という抽象的な概念を集約したオリジナルフレーズを掲げているので、そのムーブメントを国内だけでなく全世界にも発信していきたい。まずは滋賀の人々が、『Lake up!』を前向きな言葉として当たり前に使ってもらえるようになりたいです」

年代、性別、競技の枠を超え、『Lake up!』が滋賀県内の日常で当たり前に使われる。その時には、プロスポーツクラブとしての究極形とも言える存在になっているはずだ。
レイクスは関わる人たちの人生を豊かにしてくれる存在になりそうなクラブである。熱量のみでなく温かさも感じた、滋賀での素晴らしい時間だった。
(取材/文・山岡則夫、取材協力/写真・滋賀レイクス)