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野球クラブチーム・ハナマウイ「チーム再建のため、徹底的にもがき続ける」

野球クラブチーム・ハナマウイが新体制2年目を迎えた。2020年に創部2年で第91回都市対抗野球(東京ドーム)出場を果たした新進気鋭のチーム。着実に重ねる実績の上に新たなビジョンを加え、魅力あふれるチームに進化しつつある。

ハナマウイは、都市対抗出場時と全く別のチームに生まれ変わった。

~今までと同じでは勝てない

「完全に生まれ変わりましたね」と語るのは長冨浩志コーチ。NPB・広島時代の1986年にセ・リーグ新人王を獲得した右腕は、クラブの変化を嬉しそうに説明してくれた。

「本西厚博前監督(独立リーグ・士別)が2024年で退任、昨年は新体制となって試行錯誤が続いた。2年目を迎えて、明確な方向性が定まってきました。『グラウンド内外でやるべきことを、やる』と、選手個々が認識してくれたようです」

2022年にハナマウイへ加入した長冨コーチ。プロ通算16年間のキャリアを持つ男は、「チームが少しずつ緩み始めている」とも感じていた。

「自主性尊重のカラーが強かった。今の選手はネットや動画等を通じ多くの専門知識を持っています。必要なことを聞いてきた時に、短めに話すように心掛けていましたが…。何となくマンネリ感が出始めていた感じがありました」

「新体制が1年過ぎ、選手各自が現状認識した。『都市対抗出場したハナマウイとは別チーム』と受け入れてくれた。『今までと同じでは勝てない』と感じたのでしょう。練習に対する姿勢が大きく変わり、貪欲になりました」

長冨浩志コーチ(写真左)と市川和男監督(同右)は、手応えを感じ始めている。

~南関東大会出場ができなかったことをプラスに転化する

昨年から指揮を執るのが市川和男監督。国士舘大、社会人・NTT関東でプレー、アマチュア野球を知り尽くす男だ。

「監督1年目は、いろいろなことがありました。イチから構築すべきことも多かった。大きな過渡期であることは認識していましたが、都市対抗野球の南関東予選出場ができなかったことには大きな責任を感じています」

「ハナマウイへ来て南関東予選へ出られなかったのは初めてで、ショックだった」と長富コーチも語っている。チームに関わるものにとって、大きな出来事だったという。

「強がりではなく、組織が新たに生まれ変わるためには良かったとも感じています。『当たり前』だと思っていた南関東出場が叶わなかったことは、選手達も絶対に忘れないと思いますから」

「一発勝負のトーナメント戦の怖さを改めて実感しました。細かい部分まで1つずつしっかりやらないと勝ち切れない。『普段の練習、準備やグラウンド整備まで、全てが勝敗に直結する』ということを、チーム全体が認識することに繋がりました」

大人の野球だからこそ、「当たり前のことを当たり前にやる」ことを重視する。

~ハナマウイは1つにまとまらないと勝てない

「藤中亮弥を主将にしたことで変化が生まれた」と市川監督、長富コーチは口を揃える。『背番号3』を背負う3年目の関西人は、明るくポジティブな姿勢でチームを牽引する。

「ハナマウイ入団当初は、企業チームから声がかかるような選手も多かった。戦力的には今より格段上だったと思いますが、チームではなく個人で勝負している感じもしました。新体制になり退団する選手も出て、チームの雰囲気が変わり始めました」

「『(チームとして)まとまらないと勝てない』と、誰もが思ったのでしょう。その中で、『自分が主将としてチームをまとめよう』と覚悟を決めました。高校時代(兵庫・須磨翔風高)も似たような雰囲気のチームで主将を務め、2019年春に県準優勝することもできた。その時の経験があるので、『ハナマウイでもできる』と信じています」

「野球はチームスポーツ」と繰り返す。「150キロ投げる投手、本塁打を打てる強打者がいなくても、チーム力で勝てる」と強調する。

「今は選手数も少なく、選手層は薄い。だからこそ『チームが1つになる必要がある』ことを伝えていきたい。自我が強い選手もいますが、言葉の掛け方でやる気を出すように持っていくのも僕の仕事。適切な言い方かはわからないですが、『やりがい豊富な主将』です(笑)」

主将・藤中亮弥はチーム再建ができることを信じている。

~スカウト活動では“縁”や“人間関係”を大事にする

ハナマウイは2017年に女子部、同19年に男子部が創設された(現在、女子部は休部中)。立ち上げ当初から在籍、紆余曲折を見てきたのが中山慎太郎コーチだ。今季からはスカウト部門も任され、チーム再建に全力を注ぐ。

「都市対抗出場した時の選手は誰もいなくなりました。本西監督をはじめとする首脳陣も入れ替わった。チームが危機的状況だったのは否定しません。でも僕はハナマウイに本当にお世話になったので、もう少しだけ残って頑張ろうと思いました」

「ハナマウイには専用球場や室内球場があり、企業チームに劣らないプレー施設が揃っています。社員選手なら給料はもちろん福利厚生も充実しており、生活の不安なく野球に専念できる。恵まれた環境にいることを選手各自に理解してもらい、モチベーション高く取り組んでもらいたいです」

選手と年齢も近く“兄貴”的立場の中山コーチに対し、チームへの不満をぶつける選手も多かったという。「都市対抗本戦出場したことが、時間と共に選手達の驕りに繋がっていたかもしれないですね」と振り返る。

「新体制になって選手の入れ替わりも激しく、23名ほどの小所帯になりました。チーム立て直しに向けて最も大事なのは選手確保。『スカウト部門を任せて欲しい』とハナマウイ・森賢司社長に直訴、了承していただきました」

チーム創設時はスカウト活動を積極的に行なっていたが、以降は本西前監督の人脈等に頼る形での選手獲得となっていた。「チームが勝てなくなれば、選手も集まらなくなるのでは…」という懸念が現実になってしまった。

中山慎太郎コーチは、スカウト活動にも真摯に取り組んでいる。

「南関東予選出場を逃すと、『ハナマウイは大丈夫か?』という声も聞こえました。疎遠になってしまった大学もあります。改めて各大学を回り、現状を説明して関係性を再構築したい。『選手を預けても大丈夫』と思ってもらえるようにしなければなりません」

前スカウト担当者と共に青森県を訪れた経験がある。実際に足を運ぶことで信頼関係が構築でき、選手を預けてくれたことを覚えている。

「まずは所在地(千葉県富里市)近郊の関東地区。そして初心に戻る意味でも、青森県へ足を運ぼうと考えています。野球は人が集まってやることなので、“縁”や“人間関係”を大事にしていきたいと思います」

スカウト部門を任されたのはシーズンイン直前に当たる2月頃。そこからは各大学の練習場やオープン戦を行脚、頭を下げる日々が続いている。

「2027年加入選手のスカウト活動を始めています。ハナマウイからは、企業チームだけでなくNPBに入団した選手もいます。そういう実績も説明しながら、興味がありそうな選手を探します」

ハナマウイに2年間在籍後、四国アイランドリーグplus・徳島を経て、2024年育成6位でソフトバンクへ入団した川口冬弥の例もある。好素材を手に入れるため、そしてチーム再建のため、中山コーチは全力を尽くしている。

再建への道は並大抵ではないが、下を向かずにもがき続ける。

~原点回帰をして、もがき続けることが重要

「野球への姿勢が変わり、良い選手が獲れても、結果がすぐに出るとは思っていません。野球はそんなに甘くて簡単なものではないです。でも動き始めたことで、可能性はゼロではなくなっています」(長冨コーチ)

「『当たり前のことをやろう』と中高生への指導のようなことを言いますが、最も大事な部分だと信じています。社会人クラブという大人の野球だからこそ、頭でっかちにならずに原点回帰が重要です」(市川監督)

「今はどん底かもしれないけど、時間をかければ変えていけるはず。攻める時も、守る時も、チーム全員で戦います。今までのハナマウイとは異なるアプローチでの野球を見てもらえると思います」(藤中主将)

「いきなり都市対抗本戦へ出場したけど、そこから右肩下がりで現在のような状況になっている。ここから立て直すのは相当の労力が必要なのはわかっています。でも上だけを見て、もがき続けようと思っています」(中山コーチ)

かつての光が強すぎた分だけ今の暗闇が深く感じるだろうが、誰1人として諦めてはいない。チーム再建、そして以前以上の結果を出すのは並大抵ではない。しかし創部2年での都市対抗出場という“奇跡”を起こしたチームだけに、また何かを成し遂げそうな雰囲気を漂わせている。新生ハナマウイ、今度はどんなドラマを見せてくれるのだろうか。

(取材/文/写真・山岡則夫、取材協力/写真・ハナマウイ・ベースボールクラブ)

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