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PONY(ポニー)U12日本代表監督・井戸伸年氏「“シンプル・イズ・ベスト”で結果も付いてくる」

中学硬式野球・ポニーリーグの『U12日本代表』がアジア王者に輝いた。予選リーグ、決勝トーナメントを通じて実力を発揮、9月の“ワールドシリーズ”で世界一を目指す。井戸伸年監督は、「結果と共に、日本代表にとっての基準や指針も作り上げたい」と語る。

セレクションで選ばれた『U12日本代表』には、フィジカルと技術の両方を備えた好選手が揃った。

~自分自身で考えて行動に移すことが重要

「レベルの高い選手達が実力を発揮してくれた。海外での試合を通じ、素晴らしい“経験”を積めたと思います」

『U12日本代表』は、6月8日から中国・天津で行われた米国団体『パーフェクトゲーム(以下PG)』が行う“アジアチャンピオンシップ”に参加。予選リーグ4試合と決勝トーナメント2試合を全勝、アジアの頂点に立った。

PGは世界最大かつ最高峰の青少年野球スカウティング組織で、MLBドラフト指名選手の9割以上を輩出している。日本を含むアジアパシフィックゾーンへの本格進出を果たす記念すべき第1回大会での優勝だった。

「多くの選手が海外遠征は初めてでしたが、しっかり戦ってくれた。圧倒的な力を発揮して勝ち抜いてくれて頼もしく感じました。選手・チームがさらに成長して世界一を勝ち取りに行きます」

アジア制覇によって9月25日から米国・フロリダで開催予定の“ワールドシリーズ”出場権を獲得。次は世界一を目指して、米国や中南米といった強豪国との対戦に挑む。

「海外の試合で重要なのは“対応力”です。全てにおいて日本と環境が異なる中、普段と変わらないパフォーマンスを出すことが求められる。今大会での経験は必ずや財産になると思います」

“経験”を積み重ねることで選手は成長できる。「野球だけでなく人間としても大きくなれるはず」とも続ける。

「『自分のパフォーマンスを出す』ことが最大の目的です。どんな環境にも対応せねばならず、自分自身で考えて行動に移すことが求められます。これは人生においてもプラスになるはずです」

海外での対応力を重視、普段通りのプレーを重ねた末の優勝だった。

~フィジカルと技術の両方に秀でた選手達

「U12の“アジアチャンピオンシップ”が初開催だったから、監督に選ばれたんじゃないですか」と笑顔を見せる。昨年までの2年間はU14コーチとして、国際舞台での経験を重ねていた。

「『コーチでは国際経験を積んだので今回は監督で…』ということだったのではないでしょうか(笑)。勝ちたかったので、しっかりとチームを作って挑みたいと思いました」

選手選考に関してはセレクションを実施、井戸監督が実際のプレーを見た上で 17名のU12日本代表選手を選出した。

「セレクションのレベルはかなり高かったです。特にフィジカル面の能力が高かったので期待が持てました。U12は中学1年ですが、平均身長168センチはかなり大きいと思います。また50m走6秒台が複数人いたのも心強く感じました」

「『技術もレベルが高い』と思えました。投手では120キロ超や良い変化球を放る投手もいた。左右やタイプ別という部分でバランスを考えて選出した。野手は全選手にショートと外野を守らせ、捕球からスローイングまでの動きを見て判断しました」

「打撃は各チームの方針もあるので、スイングの強さやバランスを確認。走攻守の全てに共通しますが、トータルでの強さと安定性を重視しました。ここから先の成長度合いは測れないので、セレクション時点で判断するしかないですから」

昨年のNPBジュニアトーナメントを経験した選手達もいた。「NPBジュニア経験者はレベルが高い」とも振り返る。

「『(NPBジュニア経験者には)チームの中心になってもらいたい』というのはあります。しかしこの年代の選手はどんどん変わるし、どうなるかは未知数。9月までに大きく伸びる選手がいてもおかしくないし、そういう選手が数多く出てきて欲しいですね」

平均身長168センチとフィジカル面での能力に長けた選手が揃った。

~組織で重要なのは役割分担を明確にすること

選手選考と共に重視したのが、チーム内での役割分担だった。経験豊富な倉俣徹、明るく元気な山本遼太の2コーチが持ち味を発揮して井戸監督をサポートした。

「セレクション時から倉俣コーチは投手、山本コーチに野手をお願いしました。その上で総合的に私が統括して、最終的な選手選考や大会中のラインアップ作成をする感じ。組織として最も重要なのは役割分担です。そこを明確にした方が選手にもわかりやすいと思います」

倉俣コーチは試合中を含めたブルペン対応もこなし、専門分野であるコンディショニングも任された。山本コーチは攻撃中の三塁コーチに立ち、試合前の円陣も担当してチームを鼓舞した。

「両コーチの献身性には頭が下がります。自身の役割を認識して職務に専念してくれた。裏方としてチームを支えてくれたことに感謝しかありません。日本代表の今後の組織作りに向け、素晴らしい模範例になると思います」

主将に柴坂奏斗を任命したのにも考えがあった。井戸監督が総監督を務める“関メディベースボール学院”所属でもあり、「『やりたいこと』がチーム全体へ伝えやすくなる」と思ったからだ。

「(柴坂は)過去に主将経験があったのもあります。大会前には、関メディベースボール学院3年チームに帯同させ、私の方法を体感させました。少しでも経験した上で『U12日本代表』へ挑めば違うと考えました」

首脳陣と主将が各々の役割を遂行、各選手がプレーしやすい環境を作れたことが結果に繋がった。

倉俣徹コーチ(写真左)、井戸伸年監督(同中)、山本遼太コーチ(同右)。

~明確な基準・指針があれば迷わない

チーム編成、役割分担など、全てに細心の注意を払いマネージメントを行った。結果を出すことはもちろん、日本球界の今後へと繋がる“レガシー”を残したい思いがあるからだ。

「監督就任要請からセレクション、そして“アジアチャンピオンシップ”まで変わらぬ思いでやってきました。“ワールドシリーズ”を迎えても変わりません。『結果に繋げるための前準備において、明確な基準・指針を作れれば』と思っています」

「例えば選手選考では、『これくらいのレベルが必要』というものをデータ(数値)等で明確化したい。PGの強みは“ショーケース(データ収集)”という形でデータ化できる部分。印象や成績ではなく、数値でのデータ収集ができれば今後へ遺産として残るはずです」

従来のスポーツ界では、指導者の主観で選手選考を行うケースも目立った。指導者によって基準が左右され、確固たるものが後世に残らない。『U12日本代表』のスタイルを構築するためにも、データを効果的に活用することが必要となる。

「各大会での結果は求めます。しかしそのためにも、シンプルな考えで一投一打に集中することが必要。組織、戦い方などの明確な基準・指針ができあがれば、迷うことなく前進できると思います」

目先の大会も大事だが、野球人生はこれから先も続く。「選手達には常に成長を重ね、どのステージでもパフォーマンスを発揮できるようになって欲しい」との思いを持つ。

日本代表としての責任を持って、これから先の大きな成長を目指す。

「組織作りと育成が重要で、その先に勝利があると考えます。組織作りと育成に関して明確な基準・指針ができれば、迷った時には解決の糸口にもなる。監督(指導者)の立場から考える、『U12日本代表』としての責任だと思います」

「選手にも責任があります。日の丸を背負うためには、『100か?ゼロか?』という覚悟が必要。やるならトップを目指してやる。できないなら日本代表を名乗る資格はないと考えます。選ばれなかった選手を含め、同年代の野球人を代表する存在ですから」

大舞台で“結果”を出せば大きな名誉を手にできる。しかしそれだけでなく、「後世に何を残せるか?」も考える。井戸監督が目指すものは「結果と環境作り」の両方だ。

「シンプル・イズ・ベスト。やるべきことを明確化してそこに集中できれば、結果も出ると思います」と自信に溢れた表情は変わらない。

『U12日本代表』の選手達は、この先もさらなる成長を見せるはず。その姿はジュニア世代へ必ずや好影響を及ぼしてくれるはず。そしてもちろんだが、“ワールドシリーズ”の結果にも大きな期待をしてしまう。

(取材/文・山岡則夫、取材協力/写真・日本ポニーベースボール協会)

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