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17年ぶり全国出場を機に“逸材”急増 青森大のルーキートリオが吹き込んだ新風

昨年、17年ぶりに全日本大学野球選手権出場を果たした青森大に、将来有望な高校生が集まってきている。8月22日に開幕した北東北大学野球秋季リーグ戦。3季ぶりの優勝を狙う青森大はノースアジア大相手に10対0、3対0で連勝して幸先の良いスタートを切った。今秋ドラフト候補の小金井凌生(4年=日体大荏原)、来秋候補の小原昇羽(3年=平塚学園)の好投が際立った一方、野手陣で光ったのが1年生の活躍だ。

22日の開幕戦では、「3番・指名打者」でスタメン出場した篠原世凪(1年=帯広三条)が先制打を含む3安打3打点と躍動。田中健太(1年=横浜商)と後藤大成(1年=小樽双葉)はともに途中出場でリーグ戦デビューを果たし、揃って初安打初打点をマークした。

自ら切り開いた道で「どんな人にも負けたくない」

今春すでにリーグ戦初安打を放っていた篠原は、確実性の高い打撃が売りの左打者。夏の期間に猛アピールして開幕スタメンを勝ち取り、1年生ながらクリーンアップの一角を任された。本人曰く、「練習が好きで、やらないと気持ち悪い。念入りに準備したいタイプです」。今夏は肘を痛めて守備練習ができなかった分、打撃練習の量を格段に増やしてスイングの強さを向上させたという。

「試合に入るまでの準備がうまくいった結果。いろいろ考えすぎずに、甘い球がストライクゾーンに来たら強くスイングすることだけを意識しました。良い時はライト前にライナー性の打球が飛ぶのですが、1打席目からそれができたので波に乗れました」

開幕戦の試合後、そう冷静に自己分析した篠原。グラウンド内外でルーキー離れした落ち着きぶりを見せる。

1年生ながら中軸に座る篠原

小学3年生から野球を始め、中学まではスピードスケートと両立した。帯広三条高でも継続する予定だったが、同じ高校で野球をする兄の姿に憧れて野球一本に路線変更。「下半身の筋力が鍛えられて、足が速くなりました」とスピードスケート仕込みの俊足も武器にし、1年春から1番打者として活躍した。

帯広三条高は進学校で、高校時代は文武両道にも励んだ。「大学では野球に集中したい」と考え、「練習環境が整っていて、自主性の高いチームを目指す監督がいる」との印象を受けた青森大を進学先に選択した。

青森大に進んだ高校OBはいないため、兄の友人である松井琉都(4年=帯広緑陽)を通じて情報収集をした上で、自ら決断した。覚悟を胸に門を叩いたからこそ、「同級生にも、先輩にも、他のチームの選手にも、どんな人にも負けたくない」と闘志を燃やす。

「持ち味」前面に出せるルーキーが続々台頭

田中は右の強打者。開幕戦では6回に代打で登場すると、初球を振り抜いて初安打を記録した。7回の打席でも好機で走者を返す勝負強い打撃を披露。本人が「初球からフルスイングをして、来た球を強く弾き返すのが自分の持ち味です」と話す通りの魅力が溢れ出た。

横浜生まれ横浜育ちで、横浜商高では4番や5番を打った。地元を離れて「野球に集中できる環境がある」と直感した青森大に進学。寂しさを感じる瞬間もあるというが、高校時代からのチームメイトである山口櫂(1年=横浜商)や新しくできた仲間に支えられて充実した日々を過ごしている。田中は「心強い同期が揃っています。励みになるし、見習う部分も多いです」と同期に感謝する。

力強い打撃を披露した田中

「自分は単打を打つ選手ではない」とも田中。スタンドへ豪快なアーチを描く日はそう遠くないはずだ。

後藤は内野守備に定評のある右打者。開幕戦では負傷した小貫空(2年=北星学園大付)に代わって代走で途中出場し、その後回ってきた打席で適時打を放った。翌日も二塁の守備固めで出場しており、早くも存在感を光らせている。

初安打の際は塁上で感情を爆発させた。後藤は「小貫さんが怪我をしてああいうかたちで出させてもらったので、小貫さんの分も力を出せるよう、初球から思い切り振りました。一本出てめちゃくちゃ嬉しかったです」と喜びを噛みしめた。

守備を売りにする後藤

小樽双葉高時代は3年時に主将を務めてチームを引っ張った。社会人野球でプレーするのを目標に、レベルアップのため北海道から青森へ。開幕戦の試合後に「今後の成長につながりそうな1日になりました」と口にした予感を実現させるべく、地道な努力を積み重ねる。

指揮官と主将も実感「チームにとってプラス」

三浦忠吉監督は「昨年の全日本大学野球選手権出場に加え、近年の社会人野球やプロ野球でのOB達の活躍を見て、青森大学を選んでくれる選手が年々増えています。ポテンシャルもモチベーションも高く、卒業後も野球を続けたいと思う選手が多く入部してくれており、チーム内競争が活発になっています」と目を細める。

開幕週で計3安打4打点と快音を響かせた主将の勝浦皓己(4年=北海)も、「新戦力が出てきたのはチームにとってプラス。もっともっと出てきてほしい」と下級生の台頭を歓迎。「個性溢れる良いチーム。一人ひとりの勝ちたい気持ちが大きくなってきている」と全体の雰囲気の高まりも感じている。

開幕2戦目、決勝打を放って笑顔の勝浦(左)

「やっぱり神宮に行きたいです」と勝浦。昨秋、今春とあと一歩のところで優勝を逃しただけに、ラストシーズンに懸ける4年生の思いは並大抵ではない。新風を吹き込む1年生の力も借りながら、全員で頂点、そして神宮を目指す。

(取材・文・写真 川浪康太郎)

読売新聞記者を経て2022年春からフリーに転身。東北のアマチュア野球を中心に取材している。福岡出身仙台在住。

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