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兄は中日ドラ5内野手 「兄弟の夢であり、家族の夢」…次は弟が叶える番

 ドラフトまで約1か月と迫る中、スカウト陣は来秋ドラフト候補に当たる大学3年生にも熱視線を送っている。その一人である仙台大・新保玖和(くお、3年=霞ヶ浦)は今秋、リーグ戦開幕から6試合を消化した時点で打率.300(20打数6安打)、3本塁打、9打点をマーク。6安打すべてが長打で、打撃の進化を見せつけている。武器である遊撃の守備も安定感が増しており、ますます注目の存在となりそうだ。

兄のドラフト指名に奮起「自分も行かなあかん」

 昨年の10月23日。ドラフト当日、新保はいつも通り仙台大のグラウンドで練習に励んでいた。バッティングゲージを片付ける際、小野寺和也コーチに呼ばれ、兄の茉良(まお)が中日ドラゴンズから5位指名を受けたと伝えられた。

「兄弟の夢であり、家族の夢だった。先陣を切って兄貴がプロに行ってくれたので、感動しました。『自分も行かなあかん』というパワーをもらったし、燃えました」

 大阪府藤井寺市出身の新保には5歳上の兄・利於(りお)と2歳上の兄・茉良がおり、揃って遊撃手。3人とも幼少期から父・勝也さんに守備の極意を教わって育った。勝也さんの口癖は「全員ショートでプロ野球選手になってもらいたい」。利於は惜しくも叶わなかったが、「自分が新保家第一号のプロ野球選手になる」と意気込んでいた茉良がプロの門を叩いた。

兄同様、遊撃の守備に定評のある新保

 茉良は昨年まで仙台大のライバル校である東北福祉大でプレーしていたため、直近2年間は同一リーグで鎬を削った。昨秋の最終節では兄弟で“共演”。東北福祉大が勝ち点を奪い優勝した中、玖和は茉良の目の前で2試合連続本塁打を放ち、「普通の兄弟であれば経験できないことを、兄貴ありき、仲間ありきで経験させてもらえた。家族にもチームメイトにも感謝です」と声を弾ませた。

 プロ入りした茉良の試合は毎日、速報でチェックしている。茉良の教えを思い出すこともたびたびある。今は「兄貴より上の順位でプロに行く」のが最大のモチベーションだ。

フィジカル面強化で長打急増、タイトル獲得も視野に

 ドラフトに向けて大切な年となる大学3年目。春は全試合にスタメン出場して打率.273(33打数9安打)、本塁打はなしに終わった。さらなる成長を期し、今夏はフィジカル面を強化。ジムに週4~5回の頻度で通い、食事の回数も増やしたことで、体重が今春と比較して3、4kg増加した。身長177cm、体重71kgとまだまだ体の線は細いものの徐々にパワーアップしており、本人も「少しずつ結果につながっているのは嬉しい」と打撃面の手応えを口にする。

夏を経て体重が増加した(写真は1年時)

 今秋は開幕2戦目の東北大戦で左右に2打席連続本塁打を放つと、宮城教育大戦でも左翼席へアーチを描いた。「基本、センターに打つイメージ」という言葉の通り、センターから右方向への長打も多く、力任せにならない状況に応じた打撃を披露している。スカウトの姿は嫌でも目に入るが、「意識しすぎると結果が出ない」と自覚した上で、ドラフトのことは「頭の片隅に入れる程度」に考えて目の前の試合に集中する。

 すでに本塁打王の資格を有する3本塁打をマークしており、個人タイトル獲得は射程圏内。「これだけ試合に出させてもらっていながらタイトルを取ったことがないので、取りたいです」と意欲をのぞかせる。

モチベーションを高めてくれるライバルの存在

 昨年から今年にかけては、兄のドラフト指名のほかにもモチベーションが上がる出来事があった。昨年12月に松山市で開催された野球日本代表「侍ジャパン」大学代表候補選手の強化合宿に初招集され、今年6月の選考合宿にも参加したのだ。

「自分より上の選手がたくさんいて、良いピッチャーと対戦したり、良いバッターを見たりする中で、野球勘や技術を学べました」と新保。普段は接する機会の少ない中央球界の選手と交流し、多くの学びを得た。

 特に印象に残った選手は同世代で同じ遊撃手の慶應義塾大・林純司(3年=報徳学園)と國學院大・緒方漣(3年=横浜)。二人とは守備に関する話で盛り上がったという。守備力に自信のある新保は大きな刺激を受けたそうで、「そもそものスピード感がすごい。ドラフトにかかるためにはこの選手より上を目指さなければいけないという一つの目標ができました」と目を輝かせる。

大城(左)に声をかける新保

 一方、大学日本代表入りは逃し、「悔しかったのですが、今年はそれをバネに頑張っています」と話す。代表に選ばれて国際大会で活躍した仙台大の同期・大城海翔(3年=滋賀学園)については「認めざるを得ない部分がたくさんある。すごいなと思います」と素直に認めつつ、「負けられへんなという気持ちもあります」と対抗心を燃やす。

 プロ入りを見据えるのはもちろん、直近の目標は全国の舞台でプレーすること。全国大会は2試合計7打数4安打と躍動した1年春の全日本大学野球選手権以来、遠ざかっている。「あの舞台で活躍することでプロへの道も近くなる。チームとしても個人としても全国を目指します」。その名を全国に轟かせ、「新保家第二号のプロ野球選手」になる将来を手繰り寄せる。

(取材・文・写真 川浪康太郎)

読売新聞記者を経て2022年春からフリーに転身。東北のアマチュア野球を中心に取材している。福岡出身仙台在住。

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