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アメフトXリーグプレミア・IBMビッグブルー「ホームタウン・千葉市と共に進んでいく」

今季スタートしたアメフトXリーグプレミア所属のIBMビッグブルー(ビッグブルー)が、千葉市・青葉の森スポーツプラザ陸上競技場(青葉の森)で公式戦を開催。2020年に千葉市を本拠地にしてから初のホームタウンゲームとなった。

8月30日、千葉市・青葉の森スポーツプラザ陸上競技場で公式戦を行った。

~ホームタウンのために小さなことから積み重ねたい

「本場・米国とは異なり、アメフトは日本でマイナー競技です。しかし地域や企業との連携を進めることで、少しずつでも根付いていくと信じています。そのためにもホームタウン・千葉市との協力関係は不可欠。今回は縁があって、千葉市中央区の青葉の森を使用できることになりました」

武田法久GMは「アメフトの魅力を多くの人に知ってもらいたいです」と何度も繰り返しながら、ビッグブルーの歴史と試合開催の意義を語ってくれた。

ビッグブルーは1976年に社内同好会的な形で発足(当時はIBM Thinkers)、今年が50年の節目を迎える。「Xリーグプレミア1年目がビッグブルーの50年目と重なるのも思うところがあります」と武田GMは続ける。

「アメフトは1989年にラグビー、野球と共に社内の強化スポーツとなりました。1996年からXリーグへ参戦、2001年に1部昇格を果たしました。『IBMを退社してもビッグブルーでアメフトをやりたい』という選手もいたので、2006年頃からクラブチーム化を進めました」

2016年の春季パールボウルで初優勝を果たし、以後も安定した成績を残している。また2012年にはXリーグ初の外国人QB(クオーターバック)ケビン・クラフトが加入するなど、常に“革新”を起こしてきたクラブでもある。

多くのファンが会場へ足を運び、IBMビッグブルーに声援を送った。

千葉県との縁は2003年、本拠地を千葉県八千代市に移した時にさかのぼる。その後、茨城県つくば市で活動した時期もあったが、2020年からはIBM社屋もある幕張新都心の千葉市美浜区に腰を落ち着けた。

「NPB・ロッテのZOZOマリンスタジアムがあり、Bリーグ・アルティーリ千葉の本拠地もできる。スポーツの拠点としては文句なしだと感じています。“SMBCフィールド・ホンダ・フットボールエリア”という練習環境を手に入れられたことにも感謝しています」

海浜幕張駅周辺に活動拠点を置いたことで、地元との交流も生まれ始めている。「地道な活動を継続して、ビッグブルーの存在を知ってもらうしかない」とも語る。

「競技人口を増やすためにIBMは小学生のフラッグフットチームも保有しています。また、アメフト漫画『アイシールド21』を千葉市の施設へ寄贈する活動も行っています。今回の試合開催にあたり、海浜幕張地区の方々にビラ配りも行いました。小さなことから積み重ねたいと思います」

「アメリカン&スプラッシュ」をコンセプトに掲げ、得点時にはスタンドへ向けて放水も行われた。

~千葉市と共にイノベーションを起こし続ける

8月30日、ビッグブルーは強豪・富士通フロンティアーズを迎えて千葉市では初となる公式戦を行った。IBMの愛称“アイビー”とチームシンボル“Bee(蜂)”から『IBEE BOWL』と名付けられた試合には、早い時間から多くの観客が足を運んだ。

選手達にも思う部分はあったようだ。「普段から良くしてもらっている千葉市に対して、少しでも恩返しがしたい」と主将を務める#71江上遼太郎は表情を引き締めた。

「ビッグブルーは、実質的にホームグラウンドがない状態でした。今回、青葉の森を快く使用させてくれることには千葉市の方々へ感謝の思いしかありません。懸命にプレーして最後まで諦めない姿を見てもらいたい。もちろん勝利という結果を求めて戦います」

「幕張新都心の大型ショッピングモールは、ビッグブルーの告知を出してくれています。町を歩いていても『選手の方ですよね?』と声をかけてもらう機会も増えました。千葉市が少しずつ本拠地になりつつある感じがします。我々の存在が少しでも伝わるようにプレーしたいと思います」

主将の#71江上遼太郎は、千葉をホームタウンだと感じ始めている。

「(ビッグブルーは)海浜幕張には少しずつ馴染んできていると思うので、この流れを千葉市全体に広げたいです」と先を見据えるのは#1中谷祥吾。

「今現在は、『職場や練習拠点がある海浜幕張のクラブ』という感じ。今回の試合もそうですが、千葉の様々な場所で試合やイベントを行って盛り上げて行きたい。『千葉市のクラブ』と誰もに認められるようにならないといけないと思います」

「ビッグブルーの持ち味はチームの一体感。良いプレーをした選手個々に注目が集まりがちですが、普段の練習から選手一丸となって取り組んでいます。個人ではなくチーム競技ということを誰もが認識しているのが強み。そういった思いをホームタウンの千葉の方々とも共有したいです」

#1中谷祥吾は、チームの一体感に自信を持つ。

「ビッグブルーはイノベーションを起こすことを意識してきたクラブ。千葉市と共にアメフト界に改革を起こしていけると思っています」と#84近江克仁は千葉市との共闘を思い描く。

「ホームゲームと呼べる試合を千葉市内で開催できたことが大きい。今までは練習場のある海浜幕張から離れた場所で試合をしていましたが、千葉市内で試合機会を持てたのが重要な1歩だと感じています。こういう機会が増えれば、“千葉市のチーム”になっていけると思います」

「例えば米国下部リーグでも、練習はテキサス、試合は別の州にあるホームタウンで行うチームがある。ビッグブルーも同様で、練習は海浜幕張、試合は青葉の森で行ったということ。そういう場所が見つかったことが大きいと思うし、千葉市内でできたことが良かったと感じます」

#84近江克仁は、千葉から改革を起こす気持ちを持っている。

~ビッグブルーは千葉市の皆さんと共に

「本当の意味でのホームゲームをようやく開催できるのが嬉しい」と笑顔を絶やさなかったのは、ビッグブルー・フットボールディレクターの山田晋三氏だ。

「アメフト人気を定着させるのにはホームタウンを持ち、地元に根付いた方が良いと思います。日本はスタジアムが少ないので、各クラブが様々な場所でホームゲームを行う形になっている。これでは思い入れを持って応援できるクラブを持ちにくい。今回のようなケースを少しずつでも増やしていきたいです」

山田氏は「日本アメフト界の至宝」とまで言われたスター選手だった。日本国内のみならずNFL・バッカニアーズのトレーニングキャンプへ招待されたほか、欧州でのプレー経験も持つ。現在は筑波大学スポーツ局次長として、アメフトのみならず全てのスポーツの発展に尽力している。

「Xリーグプレミアとなり、各クラブがそれぞれのホームタウンで試合開催を始めたのは素晴らしいことだと思います。ビッグブルーに関しても、まずは今回の青葉の森がスタート地点。まずは会場に足を運んでいただいた皆さんに、少しでも楽しんでいただきたいと思います」

千葉市は8月中旬に豪雨災害に見舞われた。1995年の阪神・淡路大震災を関西学院大在学中に経験している山田氏だけに、「スポーツを通じて何かができれば」という思いも強い。

「大学4年になる前でしたが、『アメフトをやっていて良いのか?』と考えました。少し落ち着いて近所の小学校へユニホーム着用で伺ったら、本当に喜んでくれた。スポーツは人々に喜んでもらえるツールになると思いました。豪雨震災からの復興は簡単ではないでしょうが、アメフトが何かの形で力になれると信じています」

フットボールディレクター・山田晋三氏は、ホームタウンの重要性を説く。

Xリーグプレミアはスタートしたばかりで問題も出始めている。しかしそれらは1つずつ解決するしか日本アメフト界が進歩・進化する道はなく、ホームタウン問題も然りだ。「すぐに千葉市内で全試合開催というのは現実的ではないが、今回をきっかけに最適解を見つけたい」(武田法久GM)という言葉には希望を感じる。

「アメフトをやっているとタフな瞬間は多い。でも心を折らずに戦い続け、前に進むことが最も大事。強い気持ちを持って諦めないのは人生と同じ。ホームタウン問題や人気拡大も同様だと思っています。諦めずに進み続けるビッグブルーを見守ってください」(ジョン・スタントンHC)

ジョン・スタントンHCは、「アメフトは人生そのもの」と強調。

試合前の忙しい中だったが、チームを指揮するスタントンHC(ヘッドコーチ)はコメントするために駆け寄ってきてくれた。アメフトを通じて輝かしく幸せな時間を作り出すためには、ホームタウンという“家族”の存在が必要不可欠。「メディアを通じて1人でも多くの人にビッグブルーの存在を知って欲しい」という強い思いが伝わってきた。

IBMビッグブルーは、これからもアメフト界に革新を起こし続ける。

ビッグブルーがホームタウン開催にこだわり、青葉の森から歩みを始めた意味が少しだけ理解できた気がした。千葉市にビッグブルーが幅広く浸透している未来図が見えるような1日だった。

(取材/文/写真:山岡則夫、取材協力/IBMビッグブルー)

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