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アメフト・SEKISUIチャレンジャーズ「“尼崎ボウル”は尼崎の人たちのために存在する」

アメフト・SEKISUIチャレンジャーズ主催“尼崎ボウル”が記念の10回目を迎える。

同クラブGMでありイベントの陣頭指揮を執ってきた川口陽生氏は、今春からXリーグ理事にも就任。日本アメフト界の現状を今まで以上に深く知る中で、「“尼崎ボウル”の存在価値と重要性を改めて痛感した」と語ってくれた。

大型ビジョンを持ち込むなど演出にこだわった“尼崎ボウル”では、本場・米国の雰囲気を味わえることができる。

~“尼崎ボウル”はクラブがなくならない限り継続する

「Xリーグではなくクラブ主催のボウルゲームで10回目を迎えたのは“尼崎ボウル”だけです」

今春からXリーグ理事に就任した川口氏は、「毎月の理事会でも、10回も続く“尼崎ボウル”のことを聞かれることは多い」という。

「Xリーグ理事の方々はアメフトに対して強い思い入れがある。他クラブの試合やイベントにも興味を持ってくれている。“尼崎ボウル”が10回目まで継続していることに対して、本当に喜んでいただいています」

「チャレンジャーズは尼崎市に対する思い入れがあるから継続できています。会場に足を運んでくれた方々が本当に楽しそうにしてくれている。クラブがなくならない限り、未来永劫、継続できればと考えています」

各種イベントが企画されており、楽しい時間を過ごせることは間違いない。

~「クラブの理念や方向性が間違っていない」と確信

2014年に始まった“尼崎ボウル”はコロナ禍の2020、21年は中止となってしまった。しかし、翌22年からはエンタメ性に力を入れるなどのスケールアップをして再開を果たした。川口氏は再開当時からプロジェクトマネージャーとして先頭に立ちイベントを牽引し続けている。

「チャレンジャーズのチーム理念は地域貢献。我々のようなクラブチームは、共に歩む地域に何かを還元しないと存在価値がないと思います。選手はロールモデル(=社会的規範)になる必要もある。“尼崎ボウル”はそういった理由から開催しています」

2020年10月にチャレンジャーズと尼崎市は包括連携協定を締結。地域、社会貢献のためのさまざまな活動を行なっているが、“尼崎ボウル”もその中の1つ。入場無料で試合や多くのイベントを楽しめる、「尼崎のアメフト祭り」だ。

「認知度も少しずつ高まっています。無料イベントなので企業、個人から協賛などのサポートを頂かないと成り立ちません。年々、協力してくれる方の数も増えています。クラブの理念や方向性が間違っていないことを確信できます」

“尼崎ボウル”が目指すのは非日常空間。競技発祥地・米国での試合はエンタメ性を重視した派手な演出も有名だ。そういった環境を作り出すことで、会場に足を運んだ人々が笑顔になれる場所にしたいと考える。

HARTY(ハーティー)によるライブパフォーマンスも“尼崎ボウル”名物の1つ。

~日本アメフト界の未来へ向け、地域との結びつきを地道に強めるしかない

「Xリーグ理事になることを決意したのは、SEKISUIさん(=クラブスポンサー)や尼崎市との関係性でプラスになると思ったからです」

川口氏は、社会人としての本業(=仕事)、チャレンジャーズGM、Xリーグ理事という「三刀流」をこなしている。クラブと日本アメフト界発展のため、多忙になることを覚悟の上で決めたという。

「Xリーグは発展途上で変化、進歩しないといけない部分が多い。SEKISUIさんも、今後について思うことが出てくるはずです。その時に理事会に対して直接意見できる存在(=理事)がクラブ内にいた方が良いと思いました」

日本経済が混迷を極める時代、身銭を切ってサポートしてくれるSEKISUIの存在は何物にも変え難い。「フィールド内外でアメフトへ本気で向き合う姿を、SEKISUIさんに感じて欲しかった」(川口氏)と付け加えてくれた。

「SEKISUIさんは常に『地域と共に歩む姿を期待する』と言われます。日本アメフト界が繁栄するのに欠かせない要素だと思いますので、そこの部分をリーグ全体で共有したいという思いもありました」

チャレンジャーズは何もないゼロベースから尼崎市と良好な関係を作り上げてきた。そして昨今は兵庫県とも関係性を構築しつつある。

「スタジアム使用等を含め、地域から応援してもらうからには、自分たちが先に何かをやらないといけないと思います。チャレンジャーズがやっていることをXリーグへ積極的に報告、開示しているのもそういった理由です」

プロ野球は2004年の球界再編騒動以来、地域との結び付きを強固にして観客動員数を飛躍的に伸ばした。サッカー・Jリーグやバスケット・Bリーグも同様だ。地域との密接な結びつきを一朝一夕で築き上げることは難しい。一歩ずつ地道に歩みを進めるしかない。

チャレンジャーズGM・川口陽生氏(右端)は、“尼崎ボウル”を日本一のアメフト空間に育て上げようと奮闘している。

~“尼崎ボウル”は尼崎の人たちのもの

“尼崎ボウル”第10回記念大会は、6月15日(日)に尼崎市のベイコム記念陸上競技場で開催される。多忙を極める川口氏だが、入念に構想を練って着々と準備を進めている。

「ビジョンやコンセプトは変わりません。尼崎という冠をいただいているので、尼崎市のためにやる大会です。今まで通り『メイド・イン・尼崎』を大切にしつつ、みんなが笑顔で楽しんでもらえるようにしたい」

対戦相手は同じ兵庫県内の神戸大学レイバンズ。日本一を目指す百戦錬磨のクラブチームに対して、若さと勢いの学生チームが挑む試合となる。

「“尼崎ボウル”は尼崎の人たちのイベントです。アメフトの激しさ、熱さ、面白さが少しでも伝わるイベントにしたいです。もちろん、目標・日本一を掲げるチャレンジャーズが学生相手に負けるわけにはいきません」

「神戸大学レイバンズの選手たちが“尼崎ボウル”を経験して、『卒業したらチャレンジャーズに入りたい』と思ってくれたら最高。スタンド、フィールド上で関わってくれる全ての人の心に残る1日にしたいです」

“尼崎ボウル”は尼崎の人々にとって「初夏の風物詩」になりつつある。

“尼崎ボウル”の回数と合わせるように、尼崎におけるチャレンジャーズの存在価値も少しずつ高まりつつある。尼崎市長・松本眞氏から「いつか、チーム名に尼崎が入る日が来てくれると良いですね」という言葉までもらった。

「リップサービスもあるでしょうが、本当に嬉しいお言葉です。今後も常に尼崎を大事にすることが重要であり、“尼崎ボウル”はそういった素晴らしい関係性をみんなで楽しむ場所にしたいです」

6月15日は尼崎とチャレンジャーズの固い絆を感じられ、心地良さに満たされた「アメフト祭り」を堪能できるはずだ。

「梅雨入り前、尼崎の初夏の風物詩“尼崎ボウル”を楽しんでください」

第10回記念大会のサブタイトルは、「集え! 尼崎LOVERs!」に決定。会場に集まったチャレンジャーズと尼崎ラバーズたちが、どんな景色を作り出すのか楽しみだ。

(取材/文/写真・山岡則夫、取材協力/写真・SEKISUIチャレンジャーズ)

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