ここを見て!大学野球観戦のススメ①【初級編】

“このコラムは、スポーツサイト「ゆるすぽ」で2017年4月18日に公開されたコラムからの転載です。”

三度の飯より野球が大好き!

山本祐香です。

今年の3月は高校野球の「選抜高等学校野球大会」や社会人野球の「東京スポニチ大会」、プロ野球のオープン戦などの毎年行われている試合に加えて、日本代表のトップチームが世界一奪還を目指し挑んだ「WBC」もあり、野球ファンにとっては忙しい一ヶ月となりました。

私自身も、東京ドームで行われたWBCの1次、2次ラウンド、神宮球場で行われた東京スポニチ大会、東京ヤクルトスワローズのオープン戦などを現地で観戦、時間があるときには選抜高校野球大会をテレビ観戦し、この試合とこの試合の時間がかぶっているけどどっちを観ようか…なんて、贅沢な悩みを抱えながら毎日を過ごしていました。

そうこうしているうちに3月31日にはプロ野球、4月からは各大学野球リーグの公式戦も始まりました。WBCが盛り上がりをみせたことで、「今年はプロ野球をもっと観てみよう」と思う人が増えたに違いないと思っていますし、そうであって欲しいと願っています。それに加えて、大学野球の公式戦が始まることを心待ちにしていた私には、大学野球ファンももっと増えて欲しいという思いがあります。

アマチュア野球で老若男女が親しみを感じているのは、高校野球ですよね。とくに夏の甲子園は、普段野球を全く観ない人でも熱く応援していたりと、日本全国で盛り上がっているイメージがあります。理由はいくつかあると思いますが、

・トーナメント戦で一度負けたらそこで終わりというドキドキ感
・夏という暑くて熱くなれる季節だということ
・地上波で全試合放送される上に関連番組も多く、自然と情報が入ってくること
・高校生という属性が、年下にとっては憧れのお兄ちゃん、同世代にとっては誇れるヒーローであり一緒に⻘春を感じる対象、年上にとっては母性愛や父性愛を感じたり忘れかけていた熱い気持ちを思い出させてくれるものであること
・高校野球ならではの大逆転劇や引き分け再試合など、ドラマチックな場面も多く感情が揺さぶられ続けること
・そしてなにより、47都道府県から出場するので、各自故郷や居住地などの代表に肩入れしやすい

ざっと思いつくだけ挙げても、これだけあります。

実際私も、中学生のときに鹿児島代表・樟南の快進撃と福岡真一郎-田村恵(現・広島カープスカウト)バッテリーに魅せられ、高校野球にハマりました。佐賀商との決勝、4-4で迎えた9回表2アウトから⻄原選手に満塁本塁打を打たれてマウンド上で呆然としていた福岡投手の姿は、大人になった今でも覚えています。

また、北海道⺠としては、深紅の優勝旗が初めて海を渡ったときのことが忘れられません。駒大苫小牧が、北海道勢初の全国制覇を成し遂げたのです。当時はOLをしていたのですが、決勝戦の間は仕事どころではなく、会社の休憩室のテレビの前にはたくさんの社員が集まっていました。優勝が決まった瞬間はそれはもう大騒ぎ!翌年は夏の甲子園連覇を達成し、さらに次の年は三連覇とはならずも、早稲田実業と決勝再試合で素晴らしい戦いを見せてくれました。彼らは、間違いなく北海道⺠の誇りとなりました。駒大苫小牧と縁もゆかりもない、なんとか関係を絞り出すとしたら何度か苫小牧市に行ったことがあるだけ、という私でもそう思うのですよね。


 

勝利の喜びも悔し涙もやりきった笑顔も、戦った生徒さんたちがご自身の輝いた人生の1ページを見せてくださるおかげで、私たちの人生にまでも豊かな時間が生まれるわけです。こんなに⻑々と高校野球のことを書いていると、高校野球の素晴らしさを伝えるためにこの記事を書いているのか、と思われそうなのでそろそろ大学野球の話を(笑)。このように高校野球はたくさんの人の心を動かすものではありますが、正直なところ私が今一番好きなのは大学野球です。先にも述べたように、自分が大好きで面白いと思っている大学野球のファンをもっと増やしたい、という思いも強く持っています。

ただ、地上波で全国大会が全試合放送されたり、情報もたくさん入ってくる高校野球などと比べると、気軽に観戦しようと思いづらい環境であることは否めないですし、そんな大学野球の深い魅力をいきなり語っても、読んでくださった方がすぐに、そうなんだ!よし観に行こう!と思うかどうか…。ここはまず難しいことは抜きにして、大学野球になじみがない人でも見ればすぐにわかる魅力を伝えていくことから挑戦してみようか。

ということで今回は、野球を知らない人はここだけでも見てみて、プロ野球好きさんはプロ野球との違いを感じてみて、というちょっとしたシーンをご紹介します。

プロ野球と違い、アマチュア野球では試合前に必ず整列しての挨拶を行います。各チームベンチ前に一列に整列し、審判の「さあ、いこう!」「いくぞ!」などの掛け声で走っていき、ホームベースを挟んでまた整列し向かい合います。そして、お互い帽子を取りお辞儀をして、お願いしますと声を掛け合います。

このシーンがとても格好良いのですよ!いよいよ試合が始まるのだな、と気持ちが高揚します。そして、これから戦いに行く選手のみなさんの男らしい背中を見ていると、誰一人ケガなく力を出し切れるよう応援したい気持ちにもなります。実はこのシーンについては以前この記事でも触れているのですが、今回はわかりやすく動画で見ていただきたいと思います。2016年9月21日に観戦した東都リーグ【東洋大-國學院大】の、試合前動画をご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=fS0EpbV2hzE

※東都大学野球連盟、両大学野球部には掲載許可をいただいています。

どうでしょう?格好良いと思いませんか?うんうん、そうですよね。思いますよね。それに、整列して挨拶をしているだけといえども、それぞれのチームカラーが出るところでもあり、その違いを知る楽しさもあります。なかなか全国各地の大学野球リーグを観に行くことはできませんが、全国大会などで普段観られないチームが集まると、「お辞儀が⻑い!」「全力疾走!」「このチームは堅実な守備をしそう」「ここは自主性を重んじてそう」なんていろいろ感じながら、試合前から楽しむことができます。

まずは、母校、通っている大学、友達がいる大学、近所の大学、将来入りたい大学、入りたかったのに入れなかった大学、学食が美味しい大学、通勤電車で毎日広告を目にしている大学、初恋の人と同じ名前の大学…なんでもいいのであなたの気になる大学の野球部のチームカラーを感じるために、ちょっとだけ球場に行ってみてはいかがでしょうか。

次回は、また違った視点での大学野球の楽しみ方をご紹介します。

三度の飯より野球が大好き!山本祐香でした。

 

山本祐香
好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいとふと思い、OLを辞め北海道から上京。「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間200試合以上観戦。気になるリーグや選手を取材し独自の視点で伝えるライターとしても活動している。記者が少なく情報が届かない大会などに自ら赴き、情報を必要とする人に発信する役割も担う。趣味は大学野球、社会人野球で逸材を見つける“仮想スカウティング”、面白いのに日の当たりづらいリーグや選手を太陽の下に引っ張り出すことを目標とする。

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