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仙台大の3選手が「侍ジャパン女子日本代表」入り!国際大会で男子に続く活躍期す

今年5月の全国大会で創部3年目にして初の日本一に輝いた仙台大学女子硬式野球部から、3選手が侍ジャパン女子日本代表に選出された。今回の代表チームは大学生20人で編成しており、10月26日~11月2日に中国・抗州で開催予定の「第4回BFA女子野球アジアカップ」に出場する。日の丸を背負って戦う仙台大の3選手に話を聞いた。

攻守の中心担う主将 真弓心

外野手の真弓心(3年=履正社)は昨年10月から主将を務める。2023年に創部した仙台大女子硬式野球部の1期生で、下級生の頃からチームの中心を担ってきた。

福井県出身で、5歳の頃に兄の影響で野球を始めた。当初は「やりたくない」と泣きながらスポーツ少年団に入団したというが、気づけば野球の虜になり、高校は強豪・履正社に進学。履正社では投手から外野手に転向した3年時にレギュラーの座を奪った。

主将としてチームを引っ張る真弓

大学は仙台大硬式野球部OGの橘田恵監督に勧められて恩師の母校を選んだ。人数の少なかった1年目は慣れない捕手を務め、2年時からは主に中堅を守る。年々打撃の安定感が増しており、今年は優勝した全日本大学女子硬式野球選手権高知大会(以下・春の全国大会)と4強入りした全日本大学女子硬式野球選手権記念大会(以下・夏の全国大会)でいずれも4割を超える打率を残した。

代表選出には「大学のトップレベルの選手と一緒にプレーさせてもらえるのは光栄なこと」と胸を高鳴らせる。「人生を通して『野球選手としての真弓心』を極め続けるのが一つの目標。大学の段階では大学のトップレベルまで行くのが目標だったので、それを達成できて素直に嬉しいです」。代表での経験は間違いなく大学卒業後も続く野球人生につながるはずだ。

投手+捕手の二刀流 上館美乃

投手兼捕手の上館美乃(2年=履正社)も「自分でも信じられなくて驚きました。日本代表は高校時代からの夢でしたが手の届く存在ではなかったので、嬉しいです」と選出を喜ぶ。

青森県出身の上館は小、中と地元のチームでプレーし、セレクションを受けて合格した履正社に進んだ。高校時代は投手の2、3番手で、背番号1をもらったことはない。最後の大会も登板機会がなく、「高校で活躍できなかった悔しさを大学で晴らそう」との思いで仙台大に入学した。

高校では投手一本だったが、大学ではチーム事情で捕手にも挑戦。捕手の練習メニューをメインに取り組み、自主練習の時間を有効活用して投球を磨く日々を過ごしている。上館は「めっちゃ大変です」と本音を漏らしつつ、「他になかなかいないタイプなので、自分の強みにしたい」と力を込める。

先発も抑えもこなす上館

今年は投打で大活躍。春の全国大会では優勝に大きく貢献して最優秀選手(MVP)に輝いた。投手としては4試合に登板。平成国際大戦で完封勝利、日大国際関係学部戦で完投勝利を挙げ、残る2試合は捕手としてスタメン出場して継投で試合を締めた。打っては3割を超える打率をマークし、優勝の瞬間はマウンド上で迎えた。

夏の全国大会も二刀流としてフル回転した上館は「高校の時は実力のある選手たちの中でなかなか思い通りのプレーができなかったので、良い経験をさせてもらえています」と充実した表情を浮かべる。代表でも与えられた役割を全うするつもりだ。

期待高まるルーキー左腕 平山楓梨

投手の平山楓梨(1年=学法石川)はルーキーながら代表に名を連ねた。速球が武器の左腕で、「1年生なので代表でプレーするプレッシャーや緊張はあります」と口にしながらも檜舞台を楽しみにしている。

栃木県出身の平山は真弓、上館と同様に兄の影響で野球を始めた。小学4年生の頃から投手一筋。創部1年目の学法石川に進み、最後の夏はエースナンバーを背負った。

もともとは「野球は高校まで」の予定だった。しかし、仙台大の入澤裕樹監督に誘われて練習を見学した際に「チームワークがあって雰囲気の良いチーム」と魅力を感じ、進学を決断。1年目から投手陣に欠かせない存在となっている。

マウンド上で上館(右)とタッチを交わす平山

大学ではウェートトレーニングを強化した効果で球速が約10キロ上がった。直球で押す投球ができるようになり、春の全国大会では3試合で先発を任された。3試合とも2失点以内に抑え、大阪体育大との決勝も5回2失点と好投。「こんなに抑えられると思わなかったので自信になりました」。先輩たちの「打たれても良いから思い切り投げてこい」との言葉も励みになった。

「代表の存在も知らなかったので、自分が選ばれることはまったく想像できていませんでした」と頭をかく平山だが、マウンドでは強気の投球を披露してくれるはずだ。

侍ジャパン大学日本代表には今年、仙台大から平川蓮(4年=札幌国際情報)と佐藤幻瑛(3年=柏木農)が選出され、7月の日米大学野球選手権でそれぞれ活躍した。女子硬式野球部の3選手も国際大会で勝利に貢献し、より広く仙台大の名を知らしめたい。

(取材・文 川浪康太郎/写真 トップ写真以外は仙台大女子硬式野球部提供)

読売新聞記者を経て2022年春からフリーに転身。東北のアマチュア野球を中心に取材している。福岡出身仙台在住。

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