アスリートを支援する人を支援したい 岸和田スポーツのこだわり

以前当コラムで紹介した株式会社WALPASSは、時間のないアスリートにも簡単に栄養豊かな食事をしてもらうために、レトルトの「リカバリーカレー」を開発した(コラム:「アスリート食」にかける想い スポーツ栄養士とタッグを組み「食」でサポート)。

手軽に利用してもらえるアスリート食のプロジェクトに共感し、支援した企業がある。

関西最大級のサッカー&フットサル専門店である岸和田スポーツはその一つだ。同社でMD(=マーチャンダイザー)・店舗統括ゼネラルマネージャーを務める三井篤さんに話を聞いた。

岸和田スポーツの企業理念とこだわり

「関西出身の社員が多く、明るく活気がある」という岸和田スポーツは、1947年創業という歴史を持つスポーツ用品店だ。サッカー&フットサル専門店としては関西最大級。関西を中心に10店舗があり、また、有名ブランドのフランチャイズSHOPやランニングSHOPも手掛けている。

モットーは「いいものを、いつまでも」。パフォーマンスアップや使用感向上を考え、顧客にとっていいものを仕入れ、提案する。

取引先や顧客との信頼関係を第一に、販売のみならず顧客に満足してもらえるショップづくりと地域社会への貢献に尽力するのが同社の理念だ。

三井篤さん(43歳)は2012年に岸和田スポーツに入社、2015年からはMD(=マーチャンダイザー)、2024年からは店舗統括の役職にも就いている。

アスリートに「いいもの」を

WALPASSはスポーツ栄養の大切さをアスリートに知ってもらい、誰もが手軽に生活に取り入れられるよう、公認スポーツ栄養士の監修による宅配食の事業や、チームへの弁当配達などを行っている。

そうした事業の中で、新たに「いつでも手軽に食べられるアスリート向けのリカバリー食」としてレトルトカレーの開発に踏み切った。アスリートに「いいもの」を提供することを掲げる岸和田スポーツにとって、WALPASSの新しい挑戦は大きく共感できるものだった。

「食を通じてアスリートのサポートをするという理念が、道具を通じてパフォーマンス向上のサポートを目指す弊社の理念に親和性が高いと感じました」

店舗販売のみならず学生に向けたパフォーマンスアップ講習会も行っている

アスリートを支える企業への支援

WALPASSは岸和田スポーツにとってよく知る存在でもあった。岸和田スポーツとWALPASSの飯島雄一朗代表との関係は、飯島代表が前職のメーカー勤務をしていた頃に遡る。営業担当として岸和田スポーツと接点があったことから、両社の代表同士の交流が始まった。2021年に飯島代表が独立し、WALPASSを立ち上げたときからその活動の様子は伝わっており、今回の支援に繋がった。

「WALPASSさんはアスリートにとって大事な『食事』の部分でお客様の生活、人生を変えようとしている。僕らは道具屋で、お客様に最適な『道具』を提供し、サポートする。その部分にこだわりを持っていますが、すごく共感するところは大きいです。睡眠と食事はスポーツをするのにとても大事な部分ですから」

WALPASSが開発したレトルトのリカバリーカレーは、時間や手間をかけずとも、食の面でアスリートを支えられる。栄養面やアスリートに必要なカロリー、味にまでこだわった商品だ。

サッカーやフットサルに打ち込んだ経験のある三井さんからしても、「自分がサッカーをしていたころにこのカレーがあれば」と感じるという。

練習で疲れて食欲がなくなっても、カレーなら食べられるという場合も多い。管理栄養士が監修し、アスリートにふさわしい栄養素を含んだ同商品は、選手、そしてバイヤーの目から見ても魅力的に映るという。

「すごく食べてみたいなと思っています。口に入れる商品もお客様のパフォーマンスアップに繋がるので、プロテインやサプリメントとともに販路を拡大する可能性はあります。将来的には店舗で取り扱うことも十分あり得ると思います」

アスリートのパフォーマンスアップのために

岸和田スポーツは今までにさまざまな方法で、アスリートのパフォーマンスアップや顧客の満足度アップを図っている。

「たとえばスパイクやランニングシューズなどはメーカーの開発が進んでいます。新しいほどどんどん軽量化が進み、高機能なシューズが出てきます。でもインソールにはそれほど機能面でのアップデートが見受けられなかったんです」

そこで7年ほど前から、高額でなくとも質の良いインソールを吟味し、シューズを買う人に一緒に提案することを始めた。実際に使ってみてパフォーマンスアップを実感し、使用感が良いと感じられることで、シューズとインソールのセットが良いサイクルを生んでいる。

パフォーマンスアップ提案コーナーではスキルの高いスタッフがアドバイス

「取り組み前はシューズとインソールを一緒に買う人はほとんどいませんでした。でも提案を続け、ご来店されるお客様やチーム関係者に試着してもらううちに、今ではシューズを買う人のうち4人に一人くらいがインソールとセットで購入いただけております」

同じインソールをずっと買い続ける人や、ほかのインソールも買い足す人など、リピーターを多く生んでいる。

また、パフォーマンス向上のために、サポーターやリカバリーアイテム、インナーウエアやサプリメントなど、さまざまなアイテムを準備しているほか、接客やVMD(ビジュアルマーチャンタイジング=視覚的効果を活用して店作りの戦略を実践すること)に特化したExpertという部署を設置。知識や接客スキルの高いスタッフが「足形測定コーナー」「パフォーマンスアップ提案コーナー」などで、顧客に合ったアドバイスを提供している。

支援を通じての両社とこれからのこと

宅配食やレトルトカレーのように、独自の商品開発を通してアスリートを食の分野で支えるWALPASSと、努力や経験に裏打ちされた商品力と提案力によって、道具の部分で支える岸和田スポーツ。それぞれの方向は違っても、「アスリートのために」という熱量はどちらも大きく感じられる。

「WALPASSさんへの支援を通じて、これから新しいチャレンジをどんどん行っていくという姿勢を、社内外に発信していく良い機会となりました」

岸和田スポーツは既存の店舗販売だけではなく、多くのチャレンジをしている。

オンライン店舗で全国に顧客を作っているほか、ライブ配信で商品を紹介し、販売に繋げているのも大きな特徴だ。 有名サッカー選手を招いてのトークショーや子どもたちとの各種イベントなども活発に行っている。

プロ選手を招いてのトークイベントでは多くの子どもたちとの交流がある

プロサッカーチーム、フットサルチームのスポンサード等で、地域貢献やアスリートたちへの支援を続ける岸和田スポーツ。

「これからもこのようにアスリートやアスリートを支える人を支援する取り組みは、積極的に行いたいです」

WALPASSの新しい商品開発を見守りながら、今後もアスリートに「いいもの」を届けるため、意欲的に戦略を練っていくことだろう。

(取材・文/井上尚子 写真提供/岸和田スポーツ)

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