ポニーリーグ2チームによる、『銚子スポーツタウン』での新春恒例オープン戦
“千葉の野球どころ”銚子に、今年も球春が到来した。ポニーリーグの強豪・羽田アンビシャス(以下羽田)が同地で8度目となる強化合宿を開催。最終日には恒例となった市原ポニーベースボールクラブ(以下市原ポニー)とのオープン戦(練習試合)も行われた。
「ここへ来ると、『もうすぐ始まるな』という気持ちが強くなります」
羽田・武島信幸監督は、笑顔を絶やさず穏やかな口ぶりで話してくれた。しかし時折、今季への強い思いを感じさせる言葉が出てくる。

~銚子合宿は「選手選考の場所」という位置付け
「合宿は強化目的もありますが、メンバー選考の意味合いがより強い。昨年のチーム活動最終日に、『合宿初日からトップギアでプレーできるように』と伝えました。選手達も意図を汲んでくれて、想像以上に身体が動いています。(合宿では)走り込みも行いましたが、技術向上や実戦形式の方を重視しました」
羽田は2004年の創設、20年以上の歴史を誇り全国大会常連の強豪だ。チーム立ち上げから関わる武島監督は、岩倉高(東京)時代の1984年に春の選抜大会で全国優勝を果たした経験豊富な名将だ。
「昨今は動画サイト等を活用する選手も多い。しかし技術やチームプレーは正しい方法を反復練習しないと、絶対に身につかないと思います。毎年、合宿で集中的に練習するのもそういった理由もあります。また選手達が生活を共にして野球に打ち込むことで、連帯感を高めることもできます」
「古い例えですが、同じ釜の飯を食った仲間です(笑)」と付け加え、合宿の重要性を熱く語る。
「チーム発足時から合宿は行ってきました。当時は秋の新チーム発足時にやっていましたが、ポニーリーグの行事と重なります。縁があって銚子を利用する機会があり、その後は日程等も考えた末に年明けのタイミングで合宿をするようになりました」

~「合宿が1番苦しかった」とOBの誰もが口にする
合宿地の『銚子スポーツタウン』は、2018年にできたスポーツ合宿施設。スポーツによる町おこしを目指す同市が中心となり、廃校となった旧銚子西高跡地に造られた。専用グラウンド2面(くろしおかもめ球場、第2野球場)、体育館、室内練習場があり、宿泊施設も備えている。
「『銚子スポーツタウン』ができる際、中学硬式野球の各団体のチームが参加して親善大会が行われました。そこに羽田も出場、関係各位の方々とパイプができました。十二分なグラウンドが2面あり、屋内での練習も可能。何よりも宿泊施設が綺麗で、食堂のご飯が本当に美味しい。『ここで合宿をしたい』と即座に思いました」
今年は1月10-12日の3連休を利用して合宿を開催。選手達は和室タイプの大部屋に、数人ずつのグループに分かれて宿泊したという
「今の子供達は、『個室でないとダメ』という話を聞きますが、やってみると上手くいくものです。各自が定められた環境内で、逞しく過ごしていました。たった3日の合宿ですが、コミュニケーションを含めて明らかな変化も見て取れます」
ちょっとした“修学旅行”的な雰囲気にも感じる。しかし、「楽しい面もあるでしょうが、毎年、卒業生達は『合宿が1番苦しかった』と口を揃えますけどね(笑)」と教えてくれた。

~夏の全日本選手権で優勝したい(羽田・中村勇翔、山田悠生)
合宿最終日の選手達の表情は、充実感にあふれているように見えた。2025年ポニーリーグU13ワールドシリーズ日本代表として世界一に輝いた、投手の中村勇翔と野手の山田悠生の2人からも自信が感じられる。
「年明けすぐに試合ができるのは、貴重なことで嬉しいです。気温は低いので怪我・故障の心配もありますが、そこは各自がしっかり身体をケアすれば大丈夫。選手個々が意識を高められる場所になったとも思います」(中村)
「早い時期から実戦ができるので、1試合ずつ大事にして今後へ繋げたいです。個人的には現在、怪我をしているので、治るように細心の注意を払っています。団結力をもっと高めたいとも感じました」(山田)
羽田の一員として、『銚子スポーツタウン』を初めて訪れた時のことを聞いた。「施設の充実度に驚いた」と、昨年を振り返ってくれた。
「メイン球場の大きさに感動しました。(羽田は)普段は河川敷を使用しているので、『大会を意識した実戦的な練習ができる』と思いました。宿舎や食堂、風呂が綺麗なのも印象的でした」(中村)
「風が強くて、『海の近くなんだなぁ』と思いました(笑)。少し冷える時もありますが、日差しが強いのでプレーには影響ありません。合宿は和室の大部屋なので、みんなで楽しく過ごせました」(山田)
世界の舞台を経験したことで、視野が広がり、責任感も増したようだ。今年の目標を聞くと、「夏の全日本選手権で勝つことです」と2人共に即答してくれた。

~銚子遠征は大会へ向けての重要な予行練習になる(市原ポニー・飯田雅人コーチ)
合宿最終日には、市原ポニーとのオープン戦(練習試合)が行われるのが恒例。しかしこの試合は決して“儀式”的なものではなく、「市原ポニーにとっても大きな意味がある」という。
「銚子での試合は、遠征試合が行える貴重な場所になっています」と市原ポニー・飯田雅人コーチは語る。
「我々には市原能満グラウンドという本拠地があります。公式戦も開催できる規模ですので、シーズンを通じて遠征はほとんどありません。しかし大きな大会では遠征が必須なので、そのための準備に最適な試合にできます」
広い千葉県内、市原市から銚子市までは車で約1時間半ほどかかる。遠征試合を経験することで、夏の全日本選手権(主会場・東京)等への準備にすることができる。
「強豪と言われる他チームと試合をして、選手達には現在の立ち位置を認識してもらいたい。今年のチームは、最上級生(4月からの中3)が4人しかいません。しかしそれは言い訳にならないし、その中でのやり方を模索しなければいけません」
「最上級生は『自分達のチーム』という自覚を持ち続けて欲しい。また4月からの2年生は今から試合に出られるチャンスがある。お互いのそういう前向きな気持ちが交われば、チーム力の底上げもできるはずです」
今回2試合行われたオープン戦も、1敗1分と善戦を見せた。「負けるつもりで戦うわけではありません」と、最後に力強い言葉で締めてくれた。
1991年創設の市原ポニーは、昨年も全日本選抜中学硬式野球大会優勝を果たすなど、今まで多くのタイトルを獲得している名門。銚子での試合を足がかりに、この先、「侮れない」チームを作り上げてくることを予感させる。

~選手個々の継続性が、この先を決める
「ポニーの行事(大会)が増え、日程もどんどん前倒しになっています。年明けすぐに銚子で合宿できるのは、本当に大きい。この時期からベストに近い状態で身体が動かせるので、いつ大会があっても良いように準備ができます」
武島監督は細かいことまでは語らないが、今年1年を見据えた中で手応えを掴んでいるようだ。
「改めて思うのは、“継続性”が重要ということ。シーズン中もチーム全体で活動できるのは、基本的に週末2日間だけです。それ以外は、選手個々が自身の課題や目標、そして夢に向き合ってやっていくしかない。それをコツコツと継続できれば、右肩上がりに成長できると思います」

「この年代は短期間でも飛躍的に成長できるので、ここからが本当に楽しみです」と笑顔で付け加えてくれた。良いことも悪いことも起こるが、選手の成長を見守ることに最大の喜びを感じているようだ。
ポニーリーグは2月から春季大会も始まり、夏の全日本選手権へ向けて怒涛のシーズンに入っていく。まさに『群雄割拠』、どのチームが勝ち上がるか予想できない状況でもある。その中でも、羽田アンビシャスと市原ポニーは着々と準備を進めていることがわかった。この先、2チームがどのような戦いを見せてくれるのか本当に楽しみである。
(取材/文/写真:山岡則夫、取材協力/写真:羽田アンビシャス、市原ポニー)
