ファイターズの常識を超えた挑戦とは?~F.VILLAGE~

2023年にオープンする北海道日本ハムファイターズの新しい“ボールパーク“。
 
ここには北海道の新たな”まち”が創り出されます。野球ファンやそうでない方も集い、コミュニティが形成され、そして社会的な価値を生み出す。
 
ファイターズのこれまで培ってきた文化である、常識にとらわれない新たな取り組みが凝縮されています。
 
後編はファイターズのボールパークである「F.VILLAGE」について特集します。
前回に引き続き、ファイターズスポーツ&エンターテインメントの小川太郎さんにお話を伺いました。(写真は全て球団提供) 

北海道の新たなシンボルに

20年1月29日、ファイターズはボールパークエリアの名称を「HOKKAIDO BALLPARK F.VILLAGE」と発表した。
  
「Fighters(チーム)」「Fan(応援するファン)」「Future(未来)」「Forest(森)」「Fun(楽しむ)」「Fusion(融合)」の頭文字「F」にまちづくりを示す「VILLAGE」を加えて名付けられた。

F.VILLAGEには“北海道の新たなシンボルになる”という想いが込められており、ここでしか体験できない「KEY EXPERIENCES」として以下5つのコンセプト・イメージを掲げている。

☆LIVING STREET
野球場から駅まで伸びるストリートは、カフェでの食事、サイクリングやスポーツを楽しめる憩いのエリアとなる。産地直送の素材が揃うファーマーズマーケットも随時開催するなど、試合がない日でも催しが行われる。
 
☆FOREST MARKET
各エリアをつなぐストリートには、木材の建物で彩った森のマーケットをオープン。ツリーハウスのブックストアやクラフトビールを製造するブリュワリーなど盛りだくさん。老若男女が楽しめるオープンなライフスタイルマーケットになる。

ボールパークのイメージ図。各スポットにコンセプトがある

☆GLAMPING
グランピングで北海道の自然を満喫することができる。夏には目の前に広がる湖でカヌーや釣りなどのアクティビティが体験でき、冬には凍った湖でスケートを楽しんだり雪上でソリを楽しむことができるなどシーズンオフでも楽しめる。
 
☆MOBILITY TERMINAL
札幌市の中心部をつなぐシャトルバスを運行し、エリア内のモビリティターミナルが移動の基点となる。ボールパーク内でも交通手段が用意され、自動運転バスやセグウェイなどアトラクションになるように趣向が凝らされている。
 
☆COMFORTABLE SHELTER
災害時に、避難生活が長期化した場合のサポートを行う。球場内にドーム型の仮設テントを設置し、避難者同士のプライバシーを保護できる。

このように、エンターテインメントやアクティビティをはじめとし、充実した施設が揃う。そこには一つの“まち”のような空間が広がっていく。

新たなコミュニティの形成

北海道ボールパークのプロジェクトでは「Living Community」を重点テーマの1つに設定している。野球場の建設だけにはとどまらない考えから導き出されたものである。

「地域社会の中においてどういう役割を果たせるかが重要で、野球目的だけじゃなくて老若男女いろんな方が集まってくれるような場所にしたいという想いがあります」

その想いの中で出てきたキーワードが”コミュニティ形成”である。「Living Community」とした理由を語った。

「試合のあるなし関係なく、球場周辺でも様々な用途があることで地域やファンの人たちが集えるような場所になる。そうすることでコミュニティ形成に寄与することができるというのが”Living Community”と呼ぶ所以です」

ファンや地域の方が”コミュニティ”を形成できる場に

共同創造空間とは

今までにないスポーツ観戦の形。掲げているコンセプトは「共同創造空間」である。
ここではどんな考えに基づいているのか。
 
「北広島市や北海道との一体的な連携が前提になりますし、周辺の事業は多分に民間の事業パートナーさまにも参画していただきます。そういった方たちと共にまちを創るという考えに基づき、『共同創造空間』と考えています」

新たな舞台となる北広島市とは、16年頃に候補地としての提案を受けたのをきっかけに関係が始まった。
 
「市とは候補地決めてからも長い間プロジェクトチームとして一緒にやっていますけども、同じ目線と方向性を持って挑戦する同志のような関係性を築いています」  

地域とも固い関係で結ばれている

15年にチームが発足してから9年に亘る長期プロジェクト。成功させるための想いを語った。
 
「関係者みんなが自分事として、『自分たちが創っている』感覚を持っていただけるプロジェクトにすることが成功につながると思います。世の中にとって価値があるという事を実現していきたいです」

社会的課題にもアプローチ

23年にオープン予定のF.VILLAGE。このような大規模で行うプロジェクトは世界的にも事例は多くない。ボールパークやまちづくりを通じて社会的な課題にもアプローチしていきたいと語った。
 
「2つの社会的な課題にアプローチできると考えています。1つは少子高齢化。世界的にも高齢化先進国の日本において、このプロジェクトが促進するコミュニティの醸成によって人々の生活を豊かにする効果があるということを示していきたいです」
 
2つ目は、今そしてこれからの人々に向けてこう続けた。
 
「働き方改革やAI技術が発展し、余暇の時間が増えると言われるじゃないですか。より一層余暇の過ごし方が生活の豊かさを高める上で重要になる中、ボールパークを通じたスポーツ・エンターテイメントが人々に楽しみや豊かな時間を提供することに益々価値が出てくるのではないかと。その期待に応えられるサービスを提供したいです」
 
4月13日に起工式が行われ、いよいよ建設が開始。球団経営、そして現場の監督・選手たちも挑戦し続ける精神で球界の常識を変えてきました。今回も世界で類の見ないボールパークの実現が、スポーツ界の新たなモデルケースとなっていくでしょう。

(取材/文 白石怜平)

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