第2回西日本学生フルコンタクト空手道選手権大会 「テレビ局フロア内で開催された真剣勝負」

『第2回西日本学生フルコンタクト空手道選手権大会(西日本インカレ)』が今年も行われた。JKC(全日本フルコンタクト空手コミッション)と読売テレビが共催。テレビ局エントランスロビーの特設コートで行われた闘いは、普段の大会とは一味違う盛り上がりに包まれた。

1月25日、西日本の空手戦士達によるビッグマッチが盛大に開催された。JKC推薦の大学生及び専門学校生による頂点を決めるトーナメント。そしてJKC推薦の一般・高校生・中学生・小学生によるワンマッチも行われた。大阪・読売テレビ内に設置された特設コート上では、多くの熱戦が繰り広げられた。

怪盗キッド(『名探偵コナン』登場)も、2階から試合観戦していた。

~フルコンタクト空手のステイタスを上げるための大会

「他競技、例えば野球やサッカーは多くのメディアで取り上げられますが、フルコンタクト空手は陽の目を浴びる機会がありません。少しでも多く露出して、皆さんに興味を持って欲しい。読売テレビさんも全面協力してくださり、昨年からこのような形式での開催になりました」

JKC代表・酒井寿和氏は、西日本インカレを同所で開催するに至った経緯について明確に説明してくれた。

「同所には大型ビジョンも常備されており、各種イベントが行われています。武道の開催は初めてということで、各方面から多くの興味を持っていただいています。配信もしていただけるので、選手自身にとって大きな刺激になります」

吹き抜け構造の円形ロビー中央にコートを配置。エントランスは通行自由な場所でもあり、通りすがりに見ていく人も多い。また読売テレビ運営の動画ポータルサイト『あすリートチャンネル』での配信も行われた。

「フルコンタクト空手のステイタスを少しでも上げたい」と酒井代表は日頃から口にしている。同大会前日に行われた、年間優秀選手表彰式『JKC AWARD 2025』と共に、選手を第一に考えてのことだ。

西日本インカレと各カテゴリーでのワンマッチが行われ、場内は大きな盛り上がりを見せた。

~注目を浴びる中で闘えることの幸せを感じる

昨年の優勝者である中山星音(ナカヤマセイト/大阪学院大/桜塾)は、「通常とは異なる会場での闘いを楽しめている」と語る。

「大型ビジョンには試合のリプレーも流れる。普段は多面コートでは、周囲の声も聞こえる中で試合を行います。しかし西日本インカレでは、全ての視線や声が闘っている人のみに注がれる。緊張感もあるけど、やりがいを感じます。『カッコ良く勝ちたい』という気持ちも強くなります」

「トーナメントを勝ち上がる選手は何度も注目を浴びるので、名前と顔を覚えてもらえます。『変な試合はできない』という思いも強くなります。こういう気持ちを多くの選手達に味わってもらいたい。フルコンタクト空手界全体のレベルも絶対に上がるはずです」

中山は小学1年から空手を始め、「大会で勝つ」ことを目指して戦い続けてきた。中学3年時にジュニア大会で優勝した時の光景を忘れずに日々の精進に励んでいるという。

「初めて優勝した時の景色、雰囲気が忘れられません。モチベーションを高めるため、当時の動画を見返すことも多い。昨年の西日本インカレでの優勝時の風景も、僕にとって忘れられない大事なものになっています」

注目を集める中で結果を残すことは、選手にとって何よりの“喜び”だ。西日本インカレの存在価値は、間違いなく選手にも伝わっている。

中山星音(大阪学院大/桜塾)は、「注目される中での試合は楽しい」と語った。

~配信等を通じてフルコンタクト空手の面白さを知ってもらいたい

女子優勝を果たした山内倭桜(ヤマウチワオ/桜花女子大/白蓮会館東大阪北支部)は、「この大会は我々にとって大事な宝のようなもの」と語ってくれた。

「大学生の大会がなかったので、高校生の時から一般の試合に出場していました。『勝ちたい』思いを持って普段から取り組んでいましたが、やはりレベルが違う。ジュニアの時の組み手(=戦い方)も抜けず、苦労はずっとありました」

同年代で戦うインカレができたことで、自分の現在地を測ることができる。加えて“優勝”という結果も出すことができた。

「昨年は決勝で負けて悔しい思いをしました。勝敗は結構、引きずるタイプなので、『今年こそ優勝しよう』と1年間やってきました。一面のコートで闘うので、自分の組み手を多くの人に見てもらえます。フルコンタクト空手を続けていて本当に良かったと実感しています」

ジュニア層の競技人口は非常に多いが、その先の年齢別カテゴリーで大会がないことで諦めてしまう選手も多かった。山内の言葉には実感が込もっており、競技の未来に光が感じられる。

山内倭桜(桜花女子大/白蓮会館東大阪北支部)は、「西日本インカレは宝」と笑顔を見せた。

~大学の名前を背負って闘えることの喜び

翁長楓花(オナガフウカ/沖縄国際大/極真会館うるま道場)は惜しくも決勝で敗れてしまったが、“沖縄の空手”の強さを存分に発揮、今後に大きな期待を抱かせた。

「初出場でしたが、優勝を狙っていただけに悔しさはあります。でも大学の名前を背負って闘えたことで、改めて大きな“やりがい”を感じられました。フルコンタクト空手自体、まだまだマイナーな競技だと思います。我々が結果を出すことで、沖縄を含めて競技人口がどんどん増えて欲しいです」

普段の大会と異なり、1つのコートのみで試合開催されることに「最初は驚きました」という。「緊張しないで、自分の組み手ができるように集中するだけ」と試合前には語っていた。

「多くの人が自分の試合を見てくれているのが伝わってきました。そして改めて、フルコンタクト空手は個人競技だとも思いました。だから自分の努力次第で未来も変えられるはずです。この先も西日本インカレに出場できるチャンスはあると思うので、その時に優勝という結果を出したいです」

「審判が旗を挙げて自分の勝利がわかった時が1番嬉しい」と語る。今大会も勝ち上がるたびに喜びを感じたのが想像できる。だからこそあと1勝に迫っていた頂点を目指し、これからも本気で競技と向き合う。

翁長楓花(沖縄国際大/極真会館うるま道場)は、「大学の名前を背負うことにやりがいを感じる」と述べた。

~環境が選手達の能力を大きく伸ばしてくれる

「注目を集めて試合をすることで、選手は普段とは違う力を発揮しています」と語るのは、西日本インカレの運営担当を担った竹中正樹氏(正樹道場/JKCキャリアサポート委員会委員長)だ。

「試合会場は円形で、観客は2階席から見下ろすような観戦スタイルです。まさに“見られている”状態で試合をすることで、選手の集中力も極限に研ぎ澄まされるのではないでしょうか。『この選手、こんな闘いができたのか?』という素晴らしいファイトを見せてくれます」

実際の試合会場だけでなく、昨年の第1回大会から配信もされたことで、「大会自体が広く周知され始めている」ともいう。

「参加希望者も増え、それに応じて大会のレベルが上がっていると感じます。またワンマッチの各試合には応援広告による協賛を募集しましたが、もの凄い数が集まりました。本当にありがたいと感じています」

今大会のワンマッチには、会場常設の大型ビジョンを通じ応援広告を掲示するようにした。各選手を応援したい家族、知人、企業からの応募が想像以上に集まった。

「配信されることによる影響力を感じます。全世界のどこからでもPCやスマホを通じて試合を見ることができる。選手の知名度やステイタスが上がるだけでなく、モチベーションも高まってくれるはずです」

竹中正樹氏(正樹道場/JKCキャリアサポート委員会委員長)は、「これからも前進あるのみです」と力強い言葉をくれた。

何事にも共通して言えるが、前向きな気持ちで取り組んだ先の効果は格段に高まる。西日本インカレの存在が、フルコンタクト空手界全体に好影響を及ぼしているのは間違いない。

「今、この競技は勢いに乗りつつある。選手・関係者・家族などが一体になって前進していきたい」と竹中氏は熱く締めてくれた。

この先、東日本インカレを開催する構想もあるという。11月の全日本インカレ(代々木第一体育館)に向け、フルコンタクト空手界に吹く追い風はさらに強まっていきそうだ。

(取材/文/写真:山岡則夫、取材協力/写真:全日本フルコンタクト空手コミッション)

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