真剣さと絆が交差する場所へ。Spirit Bonds「スピボン杯」が築くBaseball5世界一への道筋
Spirit Bondsが3月に「第5回スピボン杯」を開催した。
Baseball5の普及と競技力向上の両立を目的とし、各回オリジナルのテーマを掲げて開催する本大会。5回目を迎えた今回は10チームが集結し、真剣さと絆が交差する場が創出された。
(取材 / 文:白石怜平、以降敬称略)
第5回は実戦機会の創出がテーマに
主に都内を拠点に活動するBaseball5チーム「Spirit Bonds」は“スピボン杯”として、独自の大会を企画・運営している。
チームや地域での交流を深めると共に、国内でさらなる普及を促進する大会として昨年3月にスタートした。
各回テーマを設けており、過去に教員を集めた大会や地方創生をテーマにメンバーが直接足を運んで愛知県や富山県でも開催するなど、Baseball5の楽しさを体験することで伝えている。
第5回目を迎えた今回は、普及活動の一つからさらに前進。真剣勝負を通じて高い志を共有する場となった。
チームの代表を務める宮之原健は、今回の開催背景をこう切り出した。
「日本選手権を終えて、多くのチームがさらなる実戦経験を求めていると感じました。Baseball5を好きな仲間たちとスキルを高め合い、『日本がBaseball5で世界一になる』。その願いを込めて、今大会の開催を決めました」

日本のBaseball5は“侍ジャパン”の名を冠し、オープンの部(15歳以上)では24年にはアジアカップ優勝・ワールドカップ準優勝、今年4月もアジアカップ準優勝を果たして12月のワールドカップ出場権を獲得している。
また、15歳〜18歳のユースの部でも昨年アジアカップを優勝。正式競技として初めて採用される「ダカール 2026 夏季ユースオリンピック」にも出場する。
ただ、国内では日本選手権が毎年1月に行われているものの、これが唯一の公式大会であるため、終えたら1年待たなければならない。
Spirit Bondsは日本選手権でベスト4に食い込むなど、国内トップレベルへと急速に歩みを進めているが、その中心選手でもある宮之原はその現状に危機感を抱いており、自ら実戦の場を創出した。

宇津木妙子氏も特別ゲストとして参加
今大会には、以下の10チームが参加した。
・5STARs
・ジャンク5エレメンツ
・桜美林大学
・Hi 5 Tokyo
・MINATO Surpass
・NTTデータソリューション
・結マール5
・山崎高校教員
・Spirit Bonds
・Spirit Bonds YAMASAKI(ユース)
高校生や大学生、さらには社会人まで多様な年代・バックグラウンドを持つ人たちがフィールドに立って、一つのボールを全力で追いかける。共通しているのは「Baseball5をもっと楽しみたい・上手くなりたい」という純粋な動機である。
その中でも宮之原が感動したと語ったのが、結マール5の存在である。普段は沖縄県で活動しており、この日のために東京へとやってきた。
「遠方からでも来ていただけたことは本当に嬉しかったですし、それだけこの大会に価値を感じてもらえているのだと思いました」

大会を象徴するシーンの一つとして、ベールボール型競技において誰もが憧れる人物が登場し、会場を大いに沸かせた。
「元ソフトボール日本代表監督の宇津木妙子さんにお越しいただきました。始打式をしていただいたり、お言葉をいただいたりと、大会を大きく盛り上げていただきました」
トップレベルで長く日本のソフトボール界を牽引してきた人物が、この場に立つことには、とても大きな意義があった。
Spirit Bondsはソフトボール界とのパイプが強く、競技の二刀流選手を多く輩出している。東京五輪で女子ソフトボール金メダリストの渥美万奈のほか、東京女子体育大学のソフトボール部の選手も複数名在籍。いずれも日本選手権で活躍を見せるなど、チームにとって欠かせない戦力として輝いている。

このようにチームそして大会が、Baseball5というスポーツを他競技ともつながりながら価値を広げている。
さらに宮之原は、大会を支えた存在にも敬意を表する。地域や団体・人が関わることで、Baseball5が競技の持続性を高めていることも表していた。
「風工房さん、HOLZACさん、なないろSportsさんといった皆さまに協賛いただきながら大会を開催できたことも、本当にありがたかったです。
そして素晴らしい実況をされている髙柳まさきさんに今回もアナウンスしていただき、会場のボルテージを上げてもらいました」
2選手に見えた可能性がチームをさらに成長させる
実戦の場ということで、参加した選手たちが全力プレーで熱気をも創出した。その中でもSpirit Bondsの選手たちはコートで躍動し、そして運営として参加した人たち全員をおもてなしした。
今回チームを代表し、矢口花菜と富井祐莉奈の2名にフォーカスする。矢口はソフトボールとの二刀流選手で、上述の東京女子体育大学ソフトボール部ではレギュラーとして、昨年の秋に開催された関東インカレで優勝に貢献している。
矢口の活躍について宮之原に問うと「プレー以外でも視野の広さなどチームにもたらす影響は大きい」と、このように評した。
「日本選手権でも活躍してチームのベスト4入りに貢献してくれました。彼女もソフトボールとの二刀流で取り組みながら、チームの中心として成長してきている選手です。
当日は時間の関係で自チームの試合には出場できなかったのですが、運営として事前準備からフル回転してくれました」

そして富井は継続性を力へと変えている選手。本大会ではコートで活躍を見せ、チームにとって頼もしい戦力へと進化している。
「毎週の練習にしっかり参加し続けて少しずつ階段を上ってきており、今回もスターティングメンバーとして躍動してくれました。複数ポジション守れることや最後までプレーをやりきる強みがあります」
若手選手の台頭は、チームさらには競技全体の底上げへとつながる可能性を広げていた。

「みんなで手を取り合いながら」競技発展を目指す
第5回大会を終えて宮之原は、「10チームのみなさんと、こうしてBaseball5での時間を過ごすことができて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と感謝の意を述べた。
その上で競技が発展していることについて実感すると共に、それが絆のきっかけにもなることを熟知している。今後も自らの手で創り上げていくスピボン杯への展望を以下のように語った。
「今後はスピボン杯を東北地方や九州地方でも開催したいです。年々、国内の各チーム・各選手のレベルが上がってきていると感じています。みんなで手を取り合いながら、Baseball5の発展に向けて取り組んでいけたらと思っています。
またBaseball5を通じて、地域の方や子どもたちとの時間を増やしながら“一緒に笑顔になれる時間”をたくさん作っていきたいです」
競い合いながら、支え合う。その関係性があるからこそ、大会が成長を遂げてきた。Spirit Bondsは今も独自のアイデアを凝らしながら、Baseball5の未来を築くべく挑戦を重ねている。
(了)
