創設10周年、進化を続ける女子プロ野球のここに注目②~注目選手に直撃~
今年、大注目の選手は!?
有望な若手が育ってきている中、積み上げてきた経験と技術で結果を残すベテラン選手。今回は女子プロ野球を長く支えてきたベテラン選手を中心にお話を聞きました。
まずは、球際に強い守備職人、ゴールデングラブ賞を受賞した岩見香枝遊撃手(埼玉アストライア)です。シーズンオフには広島カープの菊池涼介選手らと自主トレを行っている岩見選手。「ウエイトトレーニングをやめて野球の動きをメインとしてやっています。シーズン中の体のキレ出しです」と自主トレでの取り組みを話します。では、守備職人と言われる岩見選手が守備で大切にしていることはなんでしょうか。「一番はポジショニングですね。プロは打球が速いので、打者をよく見て配球も考えて確率の高いところを予測しています」
岩見選手(中)
2019年は愛知ディオーネへ移籍が決まった岩見選手。ポジショニングとキレのある動きに注目です。
2017年には「三冠王を初めて獲得した女性プロ野球選手」としてギネス世界記録®に認定された岩谷美里三塁手(京都フローラ)、2018年も打撃二冠で2年連続の角谷賞(MVP)に輝きました。2017年に良い成績を残せたので特に何かを変えたわけではないという岩谷選手ですが、埼玉アストライアから京都フローラに移籍し「新たな気持ちでやれた」ことが2018年も成績を残せた要因のひとつと話しました。
キャプテンを任されたことでも気持ちが引き締まったようで「自分のやるべきことはちゃんとやって、チームの雰囲気を大切にしていました。下の子が試合に出てくることも多かったので、下の子がやりやすいように考えていました」と言います。節目となる10年目のシーズンについても強い気持ちを持っていました。「いろいろな意味で野球を完璧にしたいです。一番は、お客さんをもっと呼びたいですね。どうやったらお客さんにまた来てもらえるかを考えなきゃいけません。それからシーズン優勝、年間女王、ジャパンカップ優勝の完全優勝、もちろん個人的な成績も残したいです」
岩谷選手の魅せる打撃、そして女子プロ野球界の発展に向けての動きに注目です。
もうひとりの角谷賞(MVP)は、三浦伊織外野手(京都フローラ)。9年連続打率3割超え、7年連続の盗塁王と走攻守全てを兼ね備えたトッププレイヤーです。小さな頃から3番を打ってきたという三浦選手ですが、2018年は1番に。クリーンアップにこだわりがあったため戸惑いはあったそうですが、実際に1番を任されてからは「チームに勢いをつけられるのが良いと思いました」と話します。
1期生の三浦選手は9年目で2度目の角谷賞受賞、「上の立場になって気持ちが変わりました。今まで自分で引っ張っていくということはなかったのですが、19歳の子たちにのびのびさせてやりたいと思います。私が打てば、それに続こうと思って頑張ってくれる」と、心境の変化も語りました。
「野球が大好きという気持ちが前面に出ているところが女子プロ野球の魅力だと思います」と話す三浦選手、今年もチームを引っ張るプレーを見せてくれることでしょう。
最後は、最優秀防御率賞と最多セーブ投手賞に輝いた小西美加投手(京都フローラ)です。小西投手は、角谷社長が女子プロ野球機構を作ることを決心したときから関わってきました。「最初はプロができるなんて信じられなかったですね。数回話をさせていただく機会があり、社長の女子野球への強い思いに心を動かされ、プロへ進むことを決めました」と、当時のことを振り返ります。プレーだけではなく、女子プロ野球の様々な問題を共に乗り越えてきました。
主に先発だった小西投手ですが、2018年は抑えを任されました。「ピンチのときや雰囲気が悪いときにマウンドに上がることが多いので、抑えることで自信になりました。私が投げているときはみんなが楽しく守ってくれたら、という思いです」と話す小西投手、「監督が、シーズン最後まで使い続けてくれたことで自信がつきました。いいときも悪いときも使ってくれることで、言葉で表せない信頼を感じました」と監督への感謝も口にしました。
10年目を迎えるにあたり、「節目の年ではあるので、10年の集大成としてしっかり形になった野球を見せたいですね。誰が見ても女子プロ野球選手なんだ、というプレーをみんなで見せていきたいです」と強い思いを語ってくれました。
小西投手(中)
プロ野球選手とは、を背中で語る小西投手のプレーをぜひ現地でチェックしてください。
2019年、女子プロ野球の開幕戦は3月23日にわかさスタジアム京都で行われます。この9年で打球の速さは速くなり本塁打を打つ選手も増え、女子プロ野球は確実に進化しています。10年目となる今年は、より魅力的なプレーを見せてくれるに違いありません。そして、ファンのために楽しいイベントも用意してくれることでしょう。私たちは「楽しむぞ!」という気持ちを胸に球場に足を運ぶだけ。
2019年も球場で女子プロ野球を楽しみましょう!
※文中の選手の所属球団は2018年度のものです
前編も併せてお読みください↓
https://www.spportunity.com/column/114/column_detail/
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