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大学軟式野球の精鋭たちが集まる大学軟式JAPAN、社会人チームの胸を借りてその実力を試す

 2月18~21日の4日間、「全日本大学野球軟式野球連盟 国際親善大会 全日本代表チーム」(通称:大学軟式JAPAN)は静岡県で2020年度の活動を行った。

 昨今の情勢を考慮して、毎年12月に行う海外での軟式野球普及活動や親善試合は断念。それでも諦めずに手を尽くした結果、年度が替わるギリギリのところで国内での活動にこぎつけた。例年は合宿でメンバーを選考するが、今回は課題に沿って学生が各自撮影し提出した動画で選考。今年度の大学軟式JAPANを結成した。

 2月18日の午後に全メンバーが合流。19日まで合同練習を行うと、20日の東京ヴェルディ・バンバータとの交流試合2試合、21日のクーニンズとの交流試合2試合に臨んだ。

社会人軟式野球クラブチームと交流試合

 2月20日、大学軟式JAPANは静岡県掛川市の大東北野球場で、リモート野球教室と東京ヴェルディ・バンバータとの交流試合を行った。大学軟式野球の精鋭たちは、強豪社会人軟式野球クラブチームを相手に1日半の練習でどこまで戦えたのだろうか。

【第1試合】大学軟式JAPAN  3 - 5 東京ヴェルディ・バンバータ

<本塁打>
バンバータ:
大学軟式JAPAN:

<バッテリー>
バンバータ:榊原響(6回)、和田悠哉(3回)— 松瀬貴俊、奈良場和基(7回から)
大学軟式JAPAN:西野隼輝(3回)、高岡周吾(2回)、岩田裕聖(2回)、関澤壱晴(2回)— 小坂泰斗

 第1試合、先発の西野隼輝投手(京都文教大3年)が3回まで無失点でその役目を終えると、大学軟式JAPANは先制のチャンスを迎えた。

先発した西野隼輝投手(京都文教大3年)

 3回裏、2死から2年連続選出の岩本一摩外野手(大阪体育大3年)が左中間にチーム初安打となる三塁打を放つ。さらに死球を受けて出塁した持舘理登外野手(仙台大3年)が二盗を決め2死2,3塁としたが、惜しくも先制点を挙げることはできなかった。

チーム初安打の三塁打を打った岩本一摩外野手(大阪体育大3年)

 一方バンバータは、4回表に2点を先制。6回表にも2点を加えリードを広げる。その裏、先頭の来田渉悟内野手(日本体育大3年)が左前安打で出塁、後続の内野ゴロで2死3塁とすると、梅原侑聖外野手(大阪成蹊大2年)の適時二塁打で大学軟式JAPANに待望の初得点が生まれた。

 7回表にはバンバータが1点を加え、再び4点差とする。このままでは終われない大学軟式JAPANは8回裏、1死から来田がポテンと落ちる右前安打で出塁し、続く4番・浜島魁士内野手(関西大4年)の打席で二盗を決める。浜島も右前安打で出塁、1,3塁となったところで小野昌彦監督(東北福祉大コーチ)がベンチから出てくると、浜島の代走に俊足の岩崎蒼大外野手(岐阜聖徳大3年)の名を告げた。

4番・浜島魁士内野手(関西大4年)

 この采配がピタリとハマる。笹口大輝内野手(東北学院大3年)の打席、岩崎の二盗に対する相手捕手の送球が悪送球となり、来田が2点目のホームを踏んだ。さらに、2死3塁から梅原が再び適時打を放ち、大学軟式JAPANは3点目を挙げた。

 結果は3-5の負けとなったが、ベンチの雰囲気は常に良かった。イニング間には毎回違う選手が中心となって円陣を組み、それぞれの個性あふれる言葉に絶えず笑顔を見せていた。試合が進むにつれ、メンバー同士の連携や個々の役割を理解し成長していく様子が見られた。

<本塁打>
大学軟式JAPAN:梅原侑聖 1号(4回表2ラン)、岩本一摩 1号(9回表2ラン)
バンバータ:中山勇人 1号(4回裏2ラン)、本池太一 1号(8回裏2ラン)

<バッテリー>
大学軟式JAPAN:森勇貴(3回)、井上怜音(2回)、名取竜也(2回)、加藤毅留(2回)— 神山黎也
バンバータ:宮坂睦希(4回)、戸谷光助(5回)— 奈良場和基

 そして迎えた第2試合は、さらに積極的な攻撃を見せた。

 バンバータの3点リードで迎えた4回表、大学軟式JAPANの攻撃。来田を2塁に置いて、梅原が左越の2点本塁打を放つ。さらに、この試合マスクを被った神山黎也捕手(城西国際大3年)の適時二塁打で、試合を振り出しに戻した。

神山黎也捕手(城西国際大3年)

 その裏、バンバータが2点本塁打を含む3点を挙げ再びリードするも、5回表には無死満塁からの押し出し四球と梅原の左前適時打で大学軟式JAPANが追いつく。6回、7回と得点のないまま試合は進み、迎えた8回裏。バンバータの2点本塁打で今度こそ試合が決まったかに思えたが、9回表、岩本の一振りで大学軟式JAPANがまたまた追いつき、第2試合は引き分けで幕を閉じた。

 打たれたら次のイニングで打ち返すという派手な本塁打の応酬により、第1試合と違った魅力を感じる試合だった。

交流試合を終えて

 試合後、野手リーダーの来田は、東京ヴェルディ・バンバータの印象についてこう振り返った。

 「バッティングの、まっすぐと変化球の対応力が僕たちとは全然違うなと思いました。スイングも、詰まっても振り負けない。そこも僕たちと違う部分だと感じましたね」

 来田は、走攻守のバランスの良さが売りで、攻撃においては出塁率が高く、直近の大会で盗塁王にもなったという。この日も、強豪チームに負けじと打撃と足で得点に絡む活躍を見せた。

来田渉悟内野手(日本体育大3年)

 出塁した来田をホームに返したのは、2年生の梅原だ。大阪成蹊大ではすでに主将を務めているという梅原は、自身をチャンスに強いと話す。この日も、得点圏にランナーがいた打席すべてで適時打を打ち、2試合で2点本塁打を含む4安打6打点と持ち味を十分に発揮した。

梅原侑聖外野手(大阪成蹊大2年)

 本塁打について「打った瞬間でしたね、狙っていたんで。4打席連続でホームラン打てるぐらいの気持ちでいっていて、追い込まれたら逆方向に打ったりとチームバッティングに切り替えているんです」と話す梅原が大学軟式JAPANを目指すようになったきっかけは、高校時代にあるという。

 「僕は高知中央高校の硬式野球部出身で、ヤクルトの市川(悠太投手/明徳義塾)が友達なんですけど、あいつが硬式の(U-18)日本代表になったんですよ。僕も大学では日本代表になりたいなと思って、軟式で目指すことにしたんです。2個上の先輩が代表になったというのも大きかったですね。2年生で目標を達成できたのでまた来年選ばれるように、今日も絶対に結果を残そうと思ってやりました」

 梅原をはじめ、今年度の大学軟式JAPANのメンバーは22人中20人が高校で硬式野球をしており、来田においては大学1年の途中まで硬式だった。軟式球への対応の難しさについて、来田はこう話す。

 「守備は、捕るのはあまり困らなかったんですけど、投げる方は苦労しました。硬式に比べてボールが軽くて引っかかりやすいんですよね。できるだけ全力で投げるようにしていたら、いつのまにか投げられるようになりました。バッティングは僕は苦労しなかったんですけど、でもやっぱり、速い球は打ちにくいかな。硬式で打てても、軟式で140キロ超える球を打てるかと言われたら難しいと思います」

 そうして辿り着いた大学軟式野球最高峰の舞台で、彼らは何を学んだのだろうか。

 「試合に対してどういう準備をしているか、どういう気持ちで入っていくか、礼儀などの人間性の部分とか、野球以外でも必要なことを学べます。お手本になるのはキャプテン(浅野宇海内野手/城西国際大3年)ですね」

 そう話すのは、梅原だ。来田も「ちゃんと意見を持っている人が多い。どんな練習をしているかとかいろいろな考え方が知れたので、日体大のチームにも持ち帰ることができます」と、ハキハキと答えた。

 東京ヴェルディ・バンバータとの試合前には、両チーム合同でノックを行い、試合後には記念撮影もした。大学軟式JAPANとして社会人軟式野球クラブチームとの交流試合ができたことも、彼らにとって大きな財産となったことだろう。

 ギリギリまでスケジュール調整を行い、使用球場の急な変更などもあった中で、交流試合の申し出を快く受けてくれた両チームに対し、小野監督は心からの感謝を述べていた。

 

※筆者が取材に訪れていない2月21日のクーニンズとの交流試合については、スコアのみここに記録する

<本塁打>
大学軟式JAPAN:笹口大輝 1号(4回表3ラン)、三浦陸 1号(7回表2ラン)、持舘理登 1号(7回表ソロ)
クーニンズ:伊海田尚也 1号(2回裏ソロ)、クーニン 1号(4回裏2ラン)、上野正義 1号(7回裏ソロ)

<バッテリー>
大学軟式JAPAN:関澤壱晴(3回)、井上怜音(1回)、名取竜也(2回)、森勇貴(2回)— 三浦陸
クーニンズ:前沢力(7回)、若林泰介(2回)— 緑川大陸

<本塁打>
クーニンズ:田中一行 1号(1回表ソロ)、上野正義 2号(4回表2ラン)、田中一行 2号(9回表ソロ)
大学軟式JAPAN:浜島魁士 1号(1回裏ソロ)

<バッテリー>
クーニンズ:中須健太郎(6回1/3)、若林泰介(2回2/3)— 関口裕貴
大学軟式JAPAN:加藤毅留(3回)、高岡周吾(2回)、岩田裕聖(2回)、西野隼輝(2回)— 神山黎也、笹口大輝(4回から)、小坂泰斗(7回から)

ギャラリー

大学軟式JAPAN公式Instagram

https://instagram.com/daigaku_nanshiki_japan?igshid=8xvfhvb6c6cr

好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいと思い、OLを辞め北海道から上京。 「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間200試合以上観戦する生活を経て、気になるリーグや選手を取材し独自の視点で伝えるライターに。 大学野球、社会人野球を中心に、記者が少なく情報を手に入れづらい大会などに自ら赴き、情報を必要とする人に発信することを目標とする。

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