「7時間で、腕だけで高尾山に登れるのか ~武井壮チャレンジ~」


突然ですが、皆さん登山は好きですか?
小・中学校の遠足といえば登山、都会では味わえない大自然を感じることができ、山頂で母が作ってくれたお弁当を食べたことを思い出す。(皆さん、おやつは300円までですよ。)
 
だが!しかし、、、筆者は登山が大嫌いである。
筆者の卒業した学校では、長野に修学旅行へ行っても登山!京都に行っても登山!
「山頂まで登って達成感を味わいましょう!」「みんなで汗をかいて苦難を乗り越えましょう!」という面目で登っていたようだが、「いや、どう考えてもタダで都合が良いからでしょ!」と思っていた。(全く可愛げのない天の邪鬼な10代を過ごした)
 
嫌いな理由は単純明快「蛇が怖い、虫が多い、疲れる」から。
登るのは「人生の山だけで充分だ」、そんな今も昔も天の邪鬼で可愛げのない筆者に、衝撃的な一報が届いた。
 
「どうも、武井壮そっくりのヤゴシです。今度、腕だけで高尾山に登るんだけど来る?? あと、よかったらカメラマンをやってくれない??」
 
以前、当スポチュニティコラムにて取材をした彼から自身のチャレンジに同席して欲しいとの連絡が着たのである。
一瞬、理由をつけて断ろうかと思った。しかし、筆者はスポチュニティの記者(前回の取材記事はこちら https://www.spportunity.com/column/94/column_detail/

こんな自己紹介をしてる以上、取材に行こうではないか。「常にチャレンジャーと共に、自身もチャレンジし続ける ※但し内容による、案件は選ぶ」と記載しておけばよかった、という若干の後悔が募る中二つ返事で参加を決めたのであった。

 
そして、待ち合わせの7月某日AM7:00 、高尾山口駅前にこれから伝説を起こしそうな(いかにも怪しい)1人の男がそこに居た。

 
企画の趣旨を説明しよう。
今回登ったのは東京都にある高尾山。世界の年間登山者が700万人と言われる中、その約30%にあたる260万人が高尾山登山者という、まさしく世界一の登山者を誇る山である。
 
全長3.8km 登頂目安100分(もちろん歩いて)の1号路を「ほふく前進や逆立ちなど、腕だけで登る!」という凄くシンプルな企画。
かつて武井壮さん本人は7時間で(もちろん腕だけで)登ったらしい。百獣の王候補生・ヤゴシは果たして制限時間内に登りきることが出来るのか!  (クレイジーでしょ?)
 
これからの激闘に備えた準備体操を入念に行い、来るAM7:58 「腕だけ高尾山 スタート」

 
 
 
 
軽快に腕だけで登るヤゴシ
 

 
肘当てを着け、大事な武井壮シューズを守りながら登る百獣の王候補生
これは本当に7時間で山頂まで登ってしまうかもしれない!カメラを回す筆者も、あんなに嫌いだった登山がなぜか楽しい!「遠足の登山推進とか、自治体と学校とのただの癒着だ、ゴマすりだ」とかもう言わない。
 
そのような感じで絶好調で登っていたが、開始1時間 高尾山が遂に牙を向いた。
※普通の登山者には向かないはずなのでご心配なく
 

 
 
 
――ところで、なんで腕だけで高尾山に登ろうと思ったんですか?
 
自身の認知度を高めたかったんです。「武井壮にそっくりな奴がいる」というのをもっと世に発信したかった。SNSに動物の倒し方のモノマネ動画を上げたり、渋谷の街頭で披露したりはしていたのですが、それ以外にも認知される為には何か必要だなーと。もっとインパクトあるコンテンツを発信する必要があると考えました。武井壮さんの伝説の中で、「腕だけで高尾山に登った」というのがありまして、「自分もチャレンジして動画にすれば面白いのでは」と思いました。また、登山客が「この前、高尾山に行ったら武井壮に似た人が腕だけで登っていたよ笑」って口コミで広めてくれたらいいな、と思い実行することにしました。
 
 

実際、道中たくさんの登山客が彼を応援してくれた。お菓子や飲み物をくれる方、採れたてのキュウリをくれる方。高尾山という土地柄からかとりわけ高齢者の方々が多い。シニア層でも武井壮の知名度は抜群である。話を聞いてみると、若い俳優やアイドルの顔と名前は覚えられないが、キャラの濃い武井壮のことはしっかり覚えられるとのことである。
そんな優しくお声がけしてくださった皆さんから貰った、心の籠もった野菜とお菓子を昼食にいただいた。

 
 
体力全快!ほふく前進、逆立ちなどあらゆる手段で腕だけで山を登るヤゴシ。
あいにく当日は熱中症警戒度5の猛暑日、山の過酷さだけでなく暑さも彼を襲う。
しかし、生まれながらにチャレンジャーの彼は自然の素晴らしさを体に噛み締めながら一歩ずつ進む。
 
「いやー、緑に囲まれた高尾山を腕だけで登らせていただいてることに感謝したいと思います。これで俺は成長できる、登った後の俺は100万倍成長してるはず・・・俺は諦めねぇぞ!高尾山イージー!! ・・・ただ、オススメはしません、絶対マネしないほうが良い・・・本当は、泣きそう・・・」
 
腕だけで山を登る過酷さを我々一般人が理解することは難しい。武井壮への憧れ、自らの成長の為に頑張るが、弱音が出るほどに体力の限界は近いのである。
 
腕だけ登山開始4時間弱、高尾山1号路最大の難所がやってきた
一気に傾斜が急になる、そして長い坂が続く一般の登山客がもっとも息を切らす難所である。そんな難所を無傷で登れるはずがなく、彼の腕は悲鳴を上げた、痙攣を起こしたのである。この時点でまだ登山路全体の半分にも達していない、残りの登山路を心身共に限界を迎えた状態で登ることになった。

 
ここでのリタイアが筆者の頭を過ったが、チャレンジャーというのは時に自身の限界を超えた力を出すことがある。その後一切の弱音を吐かず、彼はモクモクと山を登っていった。
まるで今までの自分を完全に超えたかの如く、最後の最後まで力を振り絞り勇敢に頂きを目指したが、健闘もむなしく登山路の半分、丁度ロープウェイ付近で無念のタイムアップを迎えてしまった。百獣の王候補生・ヤゴシは百獣の王・武井壮の記録を超えることは出来なかった。
 

 
 
~後日談~
 
――登っている時の心境やエピソードは?
前日の夜までは正直不安でしか無かったですね(笑)腕だけで登るって文字にしただけでもキツそうだし周りから変な目で見られるんじゃないか、とか(慣れてますけど笑)
でも高尾山の麓に着いた時から「やるしかない」と血が熱く燃えたぎりました。気合いだけなら正直ボクシングのプロデビュー戦並に入っていたかもしれません。登り始めは好調でこれなら6時間もかからず3時間ぐらいで登れるんじゃないか?と調子に乗って飛ばしまくったらすぐに体力の限界が来ました(笑)暑さも30度を超え、湿度も高かったので熱中症警報も出ていたのでかなりキツいチャレンジでした。でもすれ違う方々が凍った保冷剤をくれたり等、応援をしてくださりそれが力になりましたね。途中、水分が尽きた時に差し入れで貰ったきゅうりとトマトの味は一生忘れません。 
 
――登った後の気持ちは?
2度、熱中症で頭がボーっとして意識が飛びかけたこともあり結局リフト乗り場までしか行けませんでした。それでも腕とメンタルは相当鍛えることが出来たので良しとします。何よりもチャレンジしたことで確実に成長することが出来ました(笑)その代り、1週間程は全身筋肉痛、打撲で苦しみましたが。
 
――今後の冒険へのスタンダード、基盤となった腕だけ高尾山でしたね。
次は無人島サバイバルやアマゾン原住民との狩猟生活をやります。
世の中に「野生」や「自然」の大切さを広めるにあたってまずは無人島でサバイバル生活をすることが必要だと考えました。何もない無人島での自給自足は言うなれば、コンビニに行けばいつでも食べ物と飲み物がある便利な都会での生活と対極に位置していると思います。又、無人島ということで人がいないこともポイントでした。人間は武器を持ち、集団生活を営むことで自分達よりも力の強い猛獣等に打ち勝ちここまで繁栄しましたよね。でも武器も持たずに丸腰で、しかも一人だったとしたら、出来ることは他の動物たちと同じだと思いますね。動物と同じように、「狩る」「食す」「寝る」、この3つの単純なサイクルで人間は生きてきたことを実感する為にも無人島で生活をすることは必要だと思います。その後は地球の真裏のジャングルで狩猟生活を実践しているアマゾン原住民の方々と生活を共にしてその現状をコンクリートジャングルに住んでいる現代人へと伝えていくことが私の使命、生きる意味だと思っています。片や遠く離れた地球の真裏では私達日本人が想像もつかないぐらい原始的で地球に優しい生活を営んでいる人々がいる、考えただけでワクワクしませんか?そんなローコストで地球にエコな生き方を伝えていく為にはまずは私自身が実践し、学んでいくことがこれから必要ですね。
 
前回に引き続き、元プロボクサーであり百獣の王候補生と冒険家の二刀流・ヤゴシについて取材をした。ご覧の通り彼はチャレンジャーである。「誰もがお金を貰ってもやろうと思わない、でももし誰かがやっていたら面白いこと」を体現し、発信していく。その中で自然に対する熱い思いや、ユニークなPR感覚も持ち合わせている。アクティブ過ぎるが故に彼の体が心配にはなるものの、社会の閉塞感にとらわれず自身の理念を求道していく者が世の中には必要であり、彼らのチャレンジを応援するのが我々スポチュニティの理念でもある。残念ながら、無人島やアマゾンに同行することは出来ないがこれからも彼の活動を応援したい。

また、道中応援してくださった方々、SNSにて投稿してくださった方々ありがとうございました!※下の写真は実際に登山者がSNSで投稿してくださったものです。

 
実際の登山の様子をYouTubeで公開中
(前編)https://www.youtube.com/watch?v=bmatXbH2cME
(後編)https://www.youtube.com/watch?v=oc_xGipIaU8
※武井壮モノマネも公開中

ヤゴシツイッター(フォロワー募集中!)
ID: Yagoshigoshi55
URL: https://twitter.com/Yagoshigoshi55

 

華岡佑
モットーは「常にチャレンジャーと共に」誰もがチャレンジ出来る場を提供し続けたい。自身もチャレンジし続ける。


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