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松井大輔 決断の源と揺るがない信念「誰もやったことがないサッカー人生を歩みたい」

9月10日、サッカー元日本代表の松井大輔選手が「Y.S.C.C.横浜フットサル」に入団することが発表され、14日に記者会見が行われた。

今シーズン、ベトナムの「サイゴンFC」でプレーしていた中、サッカー界そしてフットサル界を揺るがせたニュースは多くのサッカーファンを驚かせた。

前編では、フットサル挑戦に至った理由や自身がサッカーで培ったプレーがどう活かせるかなどを語った。

後編では多くのチームを渡り歩いた、松井の価値観についてフォーカスする。(以降、敬称略)

約9ヶ月ぶり ”横浜への帰還”

Y.S.C.C.横浜フットサルはその名の通り、横浜市を拠点に活動している。

昨年末まで3シーズン横浜FCでプレーしていた松井にとっては、約9ヶ月ぶりに帰ってきたことになる。

「横浜のまちは過ごしやすいし人も温かい。戻れて嬉しい」と笑顔で語り、再びこの地でプレーできることを喜ぶ。

松井のY.S.C.C.横浜フットサルへの加入は、チーム内の活性化も期待される。

現在チームの指揮を執る前田佳宏コーチともオンラインで会話したといい、

「『チームにいい影響や刺激を与えてほしい。フットサルでも一緒に結果を残していこう』と言っていただきました」と明かした。

チームに合流し、若い選手と汗を流している(クラブ提供)

クラブは18年にFリーグ(日本フットサルリーグ)に加盟し、22年に優勝するという目標を当時から掲げている。松井の獲得はその達成に向けた切り札と言える。

自身もフットサルと言う新たな舞台に挑戦するとともに、クラブの掲げるビジョンや信念にも心を打たれ、入団を決めた。

「22年に優勝したいというように、クラブの大きなビジョンが見えてきたので将来性があると感じました。魅力的なチームだからこそ入りたいと思いましたし、聞いていてワクワクしました」

クラブも更なる強化のためにクラウドファンディングを実施。選手獲得や自前でのトレーニング施設を設置することを目的に支援を募っている。来年の制覇に向け、さらに歩みを進めている。

決断の源は”ワクワクできる”か

松井は海外5カ国に加え、国内でも京都パープルサンガ(現:京都サンガF.C.)・ジュビロ磐田そして横浜FCと、計12チームを渡り歩いてきた。

これまで数々のオファーの中から自身で選択してきた松井だが、どのようにチームを選んできたのか。それは至ってシンプルだった。

「移籍を決めたり、節目の際の決断は”自分がワクワクするか”です。今回も将来的なことも含めて考えたし、違う道を切り拓けると思った。楽しみとワクワク感しかない。仕事として苦しいことはあるけども、その先にちょっとした楽しみがあればいいと思うんですよね」

”ワクワクする選択”。その純粋な想いが、松井にしか歩けないオリジナルな道を進む原動力であった。自身もその信念を強く持っている。

”ワクワクできるか”。その純粋な想いがプレーするクラブを選ぶ原点だと語る(クラブ提供)

「今まで誰もやったことがないサッカー人生を歩みたい。『どういう道が自分らしく進めるのかな』というときにオファーがあって、何か違う道を切り拓きながら、選手生活を終えたいと思っています。新たな可能性を秘めながら今チャレンジできることに感謝したいです」

ここで、今回も”松井選手らしい選択”ですね”と問うと、

「周りの方が僕よりも『どうなるのかな?』と言ってくれたので嬉しかった。自分もそれに応えることができればと思っている。相手の逆をつかないとドリブラーは(笑)」と画面を通じ笑わせてみせた。

ドリブラーらしく”逆をつきたい”と人生観も語った。

前編で触れたが、フットサルへの転向は将来的な指導者も見据えての挑戦でもある。ただ、40歳になってもプレイヤーとしてもまだまだやりたいことはあると語る。たくさんボールを触れる松井を見られることに期待するファンもたくさんいる。

「40歳になって変わり目の歳だと思っています、今は小学生を中心に8人制でやることも多いです。ボールにより多く触れるようにサッカーも変わっていかないといけない。ゆくゆくはオンラインのサッカー教室も始めて行きたいと思っていますし、子どもたちそしてプロにもサッカーを教えたい。やりたいことはたくさんあります」

自身が変わっていく様を見せたい

帰国後の隔離期間が明けた11日、早速チームに合流し体を動かし始めている。

ただ、ベトナムでも6月から8月までロックダウンとなっており、体を外で動かすことができなかったため、体力を戻しながら瞬発系の動きをメインにトレーニングを再開した。

合流前の本取材では、「より技術的になる、自分らしくサッカーができる。体の面は筋肉の部位も変えていかないといけない」と、サッカーの時とは違う箇所を鍛えるなど早速変化を加えようとしている。

「40Mのコートなので、スプリント(速度24km/h以上の走行回数)の強度を上げていきたい。フットサルは”身体のキレ”のスポーツなので、体力ではなく俊敏性で勝負したい」と述べた。

そしてインタビューの最後に、心待ちにしているファンへメッセージを贈った。

「自分らしい競技人生を歩みたい。その挑戦を見て欲しいなと思うので、ぜひアリーナに足を運んでいただけたら嬉しいです。自分が変わっていく様を見られるのではないかと思います。なので私とY.S.C.C.の応援よろしくお願いします」

コートの上で”新しい”松井大輔を見ることができる(クラブ提供)

Y.S.C.C.横浜フットサルは現在、リーグ4位。勝ち点も5点差とすでに掲げた22年の優勝の前に実現できるような位置にいる。

松井の加入が大きな起爆剤になり、フットサル界としてスポーツ界に大きな旋風を巻き起こす。

(取材 / 文:白石怜平)

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