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本気な大人って、カッコ悪いくらいカッコいいと思う② 2回戦に進んだチームに迫る・前編~第89回都市対抗野球大会~

毎日熱戦が繰り広げられる東京ドーム。アマチュア最高峰の戦いは、どれも見ごたえのあるものばかりで目が離せません。7月13日から6日間で1回戦がすべて終わり、16チームが2回戦進出を決めました。


優勝旗である黒獅子旗を返還するNTT東日本(東京都)

その16チームの中で5チームをピックアップし、前編・後編に分けて、監督や選手のコメントをご紹介します。

前編はこの2チームです。
 

昨年の王者・NTT東日本(東京都)

開幕戦を戦ったのは昨年の優勝チームで推薦出場のNTT東日本(東京都)と、激戦区の東海地区予選を勝ち上がってきた東邦ガス(名古屋市)。

都市対抗の試合を観戦したことがある人はご存知でしょうが、念のためここで“補強選手”という制度を説明します。

都市対抗は、各地区の予選を勝ち抜いた代表チームが出場する大会です。ということは、予選で敗れ、涙をのんだ強豪チームがたくさんあるということ。そしてそこには、もう戦いぶりが観られないなんて惜しすぎる! という選手がたくさんいるのです。都市対抗では、そのような同地区の予選で敗退したチームの中から各チーム3人まで選手を補強できるという、まるでゲームのような制度があるのです! まさに、“都市”で戦う都市対抗!

ただし前年の優勝チームのみ、補強をすることができません。自力で連覇を目指します。ビハインドを感じながらも王者のプライドを賭けて戦い、連覇を達成できたら…格好良すぎますね!

ということで、今年はNTT東日本が補強なしでの戦い。プレッシャーを感じながらの開幕戦は序盤に得点を積み重ね、6-3で勝利しました。

投手陣がベテランと若手に大きく分かれているNTT東日本、今回は守備の要である上田祐介コーチ兼捕手に、キャッチャーとしての投手陣への接し方やコーチになってからの変化などをお聞きしました。
 

10年連続出場の表彰を受ける上田コーチ兼捕手(右)

――まずは、都市対抗10年連続出場おめでとうございます。率直な気持ちを聞かせてください。

「それについては、あまり考えずに来ました。チームが強くあって、勝たなきゃいけないという中でやってきて、昨年優勝したから今年も(推薦出場で)来ることができての10年ですしね」

――チームを支えるベテランキャッチャーですが、投手の力を引き出すために普段どんなことを心掛けているのでしょうか。

「ブルペンの質を上げるようにしています。ブルペンでも常に試合と同じようにやることを心掛けています」

――いろいろな投手がいると思いますが、接し方はどう変えているのでしょうか。

「もちろん投手それぞれに接し方は変えますが、“バッテリーとしてどこに向かっているか”が大事でみんな同じ方向を見なければならないので、それを大切にしています」

――最近伸びたなと感じる投手は?

「沼田(優雅/立正大・4年目)です」

――コーチ兼任になって2年目ですが、選手のみだった頃とどんなことを変えましたか。

「コーチはやっぱりキャッチャーを育てなければならないので、キャッチャーに対しての接し方を変えましたね。チームがずっと強くなきゃいけない、勝たなきゃいけないので、思いついたら伝えるようにして次のキャッチャーを育てるために勝つ野球を教えています。高橋(亮介/駒沢大・2年目)、保坂(淳介/中央大・1年目)が伸びてきています」
 

ホームランで得点し盛り上がるNTT東日本(東京都)のベンチ

チームが強くあること、勝ち続けなければならないこと、を何度も口に出していた上田コーチ兼選手、このようなベテランの思いが若手に伝わり強くあり続けるチームが作られていくのですね。
 

リベンジを果たしたJR四国(高松市)

 

2日目の第3試合に登場したのが、JR四国(高松市)です。相手はなんと昨年と同じHonda(狭山市)。しかも昨年は、0-10と7回10点差がついたため規定により悔しいコールド負け。今年は初戦突破を目標に再びHondaに挑み、3-1で勝利! リベンジを果たしました。
 

笑顔で勝利を喜び合うJR四国(高松市)の選手たち

囲み取材で勝利の感想を聞かれた佐野晃監督の第一声は「最高です!」でした。

「全国1勝が目標だったのでね。去年やられたので、やっと勝てました!」

――全国1勝に向けてどんな対策をしてきたのでしょうか。

「ピッチャーが0に抑えても点を取らないと勝てないので、バットも多く振って、打撃を強化しました。実戦も多くして、いろいろなピッチャーと対戦しました」

――今日は選手にどんな言葉をかけましたか。

「練習通り、今までやってきたことを全て出してください。平常心で、と話しました」

――Hondaの先発は好投手の齋藤友貴哉投手(横浜桐蔭大・2年目)でしたが予想はしていましたか。どのような対策をしてきたのでしょうか。

「予想はしていました。まっすぐの割合が多いピッチャーだからまっすぐに振り負けないように、空振りしてもいいから積極的に振っていこう、と話しました」

――先発投手は四国銀行から補強の菊池大樹投手(龍谷大・3年目)でしたが、菊池投手にした決め手は何だったのでしょうか。

「4、5日悩んでいたけど、ずっと調子が良かったので一昨日菊池に決めました。まっすぐが去年みたく暴れないのでね、調子が良かったんですよね」

勝利にホッとした様子の佐野監督、失礼を承知で言うとずっと見せていたニコニコの表情が本当にかわいらしかったです。

佐野監督の言葉を受けて、昨年から2年連続でJR四国に補強され、この日先発した菊池投手にもお話を聞きました。

7回途中まで好投した菊池投手

――佐野監督が、「まっすぐが去年のように暴れなくなった」とおっしゃっていましたが、どうやって改善したのでしょうか。

「練習からコントロールの精度を上げるようにしました。それから、“速い球を投げる”という自分主体の考え方から、“バッターが打ちにくいボールを投げるためには”という考え方に変えました。今日はスライダーを見逃してくれましたし、フォークが高めに浮かなかったのも良かったですね」

――まず1勝。今後の試合でまた投げる機会もあると思います。

「任されたからにはチームの勝利に貢献したいです!」

昨年もリリーフ登板し思うような投球ができなかった菊池投手ですが、一回り大きくなった頼もしい姿を見せてくれました。

続きは後編(https://www.spportunity.com/column/93/column_detail/)で。

山本祐香
好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいとふと思い、OLを辞め北海道から上京。「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間200試合以上観戦。気になるリーグや選手を取材し独自の視点で伝えるライターとしても活動している。記者が少なく情報が届かない大会などに自ら赴き、情報を必要とする人に発信する役割も担う。趣味は大学野球、社会人野球で逸材を見つける“仮想スカウティング”、面白いのに日の当たりづらいリーグや選手を太陽の下に引っ張り出すことを目標とする。

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