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エボルテサッカースクール・辻本氏が育成の理想論 「子どもたちに道筋を示したい」

一人ひとりの子どもたちに寄り添った指導を徹底しているエボルテサッカースクール。
現在はさいたま市大宮、富士見市、東京都目黒区を拠点としており、80名の生徒がプロ選手を夢見て練習に励んでいる。代表の辻本拳也氏は子どもたちの育成のために様々なアクションを起こしているが、クラウドファンディングを実施した。
環境の整備や元Jリーガーで北朝鮮代表としてもプレーしたアン・ヨンハ氏を招きサッカー教室の実施を予定している。
そんな辻本氏にクラウドファンディングの狙いや指導・育成に対する思いを語ってもらった。

生徒はコーチ陣に対して果敢にチャレンジする

「日本に住んでいるのに海外のサッカーの方が身近なのかなと感じています
――クラウドファンディング実施のきっかけと狙いを教えてください。
プロ選手を輩出したいという思いが指導の根本にありますが、昨年新型コロナウイルスが日本でも蔓延して以降、学校やスクールが休みになったり、様々な活動が制限されたりしました。
Jリーグでもリモートマッチ(無観客試合)で観客を制限し、以前は気軽に行くことができた練習の見学も行くことができない状況が続いており、子どもたちがJリーガーに接する機会が減っているなと思います。
また個人レッスンで感じるのは、Jリーグを見る子どもが少ないこと。スクールのアルバイトをしていた学生時代からそうでしたが、通ってくる子どもたちがヨーロッパのクラブのユニフォームを来て練習に来るんです。好きな選手を聞いても大体はリオネル・メッシ(アルゼンチン)、ネイマール(ブラジル)、クリスチャーノ・ロナウド(ポルトガル)の3選手が鉄板。
日本人選手が好きだと言う子どもは非常に少ないです。現在はYoutubeがあるので、子どもたちは海外のサッカーをダイジェストでよく見るんでしょうね。日本に住んでいるのに海外のサッカーの方が身近なのかなと感じています。

そこで子どもたちにはJリーグやJリーガーをもっと身近に感じてもらいたいので、元Jリーガーを招いたサッカー教室を開きたいと思いました。そこで身近に感じてもらいたいと思っています。

今回お呼びするのはJリーグで活躍し、北朝鮮代表としてワールドカップにも出場しているアン・ヨンハ氏。実績を残している方なので、簡単に来ていただけるわけではなく、環境を整える等も含めて費用面での負担が大きい。スクール自体もコロナで大打撃を受けているので、金銭面的にクラウドファンディングをやろうと思ったのが一つ目の理由です。
またもう一つ理由があり、いろんな人を巻き込んで行動していった方が責任感が出ると思っています。支援者にサポートいただくことで、よりいいものが作れると思いました。

――こうしたことを実施すると子どもたちもいい刺激を受けると思います。アン・ヨンハ氏をお呼びすることで期待される効果を教えてください。
今回のサッカー教室を通して、Jリーガーでワールドカップに出た選手と一緒にボールを蹴るということは、トップ選手かつトップアスリートのすごさを知ることができる良い機会。プレーのうまさやオーラを感じられることは子どもたちにとって良いと思います。

あとは簡単な質疑応答を通して、小学校時代の話やプロになるために頑張ってきたことを話して頂こうと考えています。
プレーのうまさを感じるのはもちろん、メンタル面や私生活といったプレー以外の部分でもすごさを感じてもらいたいと思います。

ワールドカップ出場経験もあるアン・ヨンハ氏

「夢を持つことと、それに向かって行動をすることが大事だと感じています」

――こうした活動を通して、子どもたちにとって目標達成のために必要なことは何でしょうか?
私も中学生のときから「いつかサッカースクールをやりたい」と思っていて、大学生のときはサッカー業界で仕事をすることが夢でした。残念ながらプロ選手にはなれませんでしたが、サッカーという括りで言えば夢を叶えることができた一人です。
夢を持つことと、それに向かって行動をすることが大事だと感じているので、そうした大切さをヨンハさんの話を通して感じてほしいと思います。
あとはプロ選手になるためにやっていかなければいけないことをヨンハさんの話を通して道筋を示してあげたいです。

――道筋という意味では身近に夢を叶えた方がいるとすごく現実味が出てくると思います。この教室がいいきっかけになれば良いですね。
少し話は変わりますが、サッカーでは以前からJリーグクラブのユースやアカデミー、辻本さんのようにスクールを立ち上げて部活動からサッカーを切り離す整備が進んでいます。スポーツ界には体罰など様々な問題が根強く残る中、教育に対する思いはいかがでしょうか?

私は挨拶の大事さや努力の大切さを、サッカーを通じて学んできました。
サッカーでプロになれるのは数字的に言うと3,000人に1人。プロになれなかったとしてもプロを目指して頑張ってきたことは必ず将来に生かすことができます。
そうしたことをサッカー通して知ってほしいし、私自身も伝えていきたいです。
サッカーと教育は切り離して考えることはできないと思います。

――その背景には辻本さん自身の環境も影響しているのでしょうか?
指導者は教育者的な部分も兼ね備えていないといけません。私もたまたまですが、母親が教師をしていて、私自身のサッカーの教え方だけではなく教育の勉強をもっとしなければいけないと常に思っています。
プロの指導者はプロの教育者でいなければいけないのでそこは切り離せません。

そして子どもにとって一番身近な教育者は親御さん。親御さんを教育するとは少し言い過ぎですが、親御さんの子どもに対する接し方はいろんなところからアプローチをしていった方が良いのではないかと感じています。

よく公園で子どもにサッカーを教えているお父さんを見ますが、「その教え方は…」と感じる方もいます。
上手ではないと言うと上から目線になってしまいますが、正しい接し方をされていないのは事実。
サッカーに限らず親御さんに対する教育を実践した方が子どもにとってもいい環境を作ることができると思います。

サッカーを通して様々なことを伝えている

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