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11月15日、明治神宮大会開幕! お互い高め合うふたりの投手に鮮烈な印象を残す一年生、千葉県大学野球リーグの城西国際大学に注目

※前回の記事「11月15日、明治神宮大会開幕! 二桁安打に防御率0点台、首都大学野球リーグ4連覇の東海大学に注目」を読んでいない方は、こちらもお読みください。

大学野球には、春季リーグ戦後の「全日本大学野球選手権大会(以下、大学選手権)」、秋季リーグ戦後の「明治神宮野球大会(以下、明治神宮大会)」と年間2つの全国大会があります。

春は、各連盟のリーグ戦(一部地域でトーナメント戦あり)で優勝した27チームがそのまま大学選手権に出場できますが、秋は東京六大学野球連盟、東都大学野球連盟を除く連盟の上位チームはさらにそれぞれの地区大会へと進み、残り9の明治神宮大会出場枠を争うこととなります。

今回は、その中でも「横浜市長杯争奪 第15回関東地区大学野球選手権大会(以下、横浜市長杯)」で優勝し、関東五連盟(神奈川大学野球・関甲新学生野球・首都大学野球・千葉県大学野球・東京新大学野球)第一代表として明治神宮大会へ出場する城西国際大学に注目しました。

めきめきと頭角を現してきた城西国際大学(千葉県大学野球連盟1位)

2007年から城西国際大学を率いている佐藤清監督は言います。

「うちは綺麗なゲームなんてできないんです。それぞれが自分の持っているものを出してくれて、その合わせ技で勝つしかない」

千葉県大学野球秋季リーグ戦では10勝1敗、勝ち点5の完全優勝。さらに横浜市長杯でも3試合を勝ち抜き関東五連盟の頂点に立ち、初めて明治神宮大会への切符を手にした城西国際大。今やいいライバル関係で二枚看板と呼べるほどにまで成長した中島隼也投手(3年・仙台育英)と舘和弥投手(3年・平塚学園)、4割打者の岸添有哉外野手(4年・生浜)から始まる元気な打線、投打が噛み合うという意味ではとても綺麗なゲームをしているように感じられます。

佐藤監督は、チームを代表するふたりの投手の特徴を「中島は、ピュンッという球を投げますよね。ここぞというときグッと頑張れるところがあります。舘はコントロールが良く、ほとんどフォアボールを出さないので安定感がありますね。背が大きいので角度もあります」と話します。

お互いを高めあういいライバル、中島隼也投手と舘和弥投手

横浜市長杯の初戦、シードで2回戦からとなった城西国際大は1回戦を勝ち上がった武蔵大(首都大学野球連盟2位)と対戦しました。先発したのは、千葉リーグ戦5勝1敗、防御率0.96で最多勝・ベストナインの中島投手。横浜商科大(神奈川大学野球連盟2位)に6-1で勝利し勢いのあった武蔵大打線を相手に、5安打1失点で完投勝利をあげました。

2回裏、四球、ワイルドピッチ、味方のエラー、死球で1死満塁のピンチを迎えた中島投手でしたが、2つのゴロでこのピンチを切り抜けます。先制点を与えてはならない場面をしっかり抑え、「最後の方は勢いがあったので一発だけは絶対打たれないようにしました」と綺麗に締める。そんな中島投手の投球を観ていると、圧倒的な強さというよりも“調子が悪いときでもゲームを作れる投手”、プロ野球で例えるなら長年ローテーションを守り続けてくれるタイプと感じます。

最速146km/hのスレートと縦のカーブ、スライダー、チェンジアップを速さにも変化をつけて操り、「得意とする球種は2つ以上なければ意味がない」とストレートとチェンジアップに絶対の自信を持つ中島投手。180cmで72kgだった体重もこの秋は78kgまで増やし、体作りの面からもパワーアップを図ります。

春から秋にかけて猛スピードで成長した同級生の舘投手に対しては、「体が大きくて(186cm)自分にないものを持っているので羨ましいと思います。でも、一番手になりたいと言っているけど、自分もそれは絶対譲るつもりはないですね」と、プライドをにじませていました。

その舘投手は、準決勝の白鷗大(関甲新学生野球連盟1位)戦で先発登板。白鷗大の先発は、横浜東金沢シニアでプレーしていた中学時代に投げ負けた、山田啓太投手(3年・横浜青葉シニア→東海大相模)でした。

千葉県大学野球秋季リーグ戦で4勝0敗、防御率0.92という成績を残した舘投手は、春季リーグ戦でデビューを飾ると大学選手権で経験を積み、この秋は完全にチームの柱のひとりになりました。今もなお急成長中で、今大会は白鷗大戦で自己ベストを2km/h更新する145km/hを計測。そして3安打完封勝利をあげたのです。

平塚学園高校時代、自分自身の“妥協”が原因で思ったような活躍ができなかった舘投手が、今きちんと野球に取り組めている理由のひとつには、やはり中島投手の存在があります。「リーグ戦も中島が土曜日、自分が日曜日に投げて、2勝、2勝、2勝、2勝できました。中島が投げたらそれ以上、完封だったらそれ以上、ずっとそういうのを追い求めていて」と、中島投手が良い投球をするたびに舘投手も必然的にレベルアップしてきました。

そしてもうひとつ舘投手を変えたのが、佐藤監督も「とにかく自分の練習をよくする。ちゃんとピッチャーとの練習が終わってから自分のバッティングをするんですよ。一生懸命泥にまみれながらチームを引っ張っていってくれるキャプテンですね」と評価する、主将・梅田裕斗捕手(4年・長崎日大)の存在でした。

「秋のリーグ戦の初戦、0-0で9回に味方がエラーしちゃって1点取られて勝ちがつかなかったんです(その後延長で試合は勝利)。そのとき、おい…みたいな感じで、態度に出しちゃったんです。試合後に梅田さんにしっかり怒られました。そこからどうやったら勝てるかを考えなおして、エラーも出るしヒットも打たれるし、そこは大きく考えて1点OK、2点OK、同点OK、逆転されなければOK。そういう気持ちで入って、そこから負けなしできて防御率0点台で4連勝できました」

勝つために自分がすべきことを考える。“妥協”を許したあの頃の自分はもういません。
また館投手は台風15号のときに自身も数日の断水や停電を経験、リーグ戦中なのに野球の練習もできない日々を送ったそうで「台風で大きな被害を受けた千葉県に少しでもいいニュースを届けたい」とも話します。明治神宮大会への出場を決めたことだけでも十分明るいニュースではありますが、目指すところは日本一。

投げるたびに新しい自分へと成長をとげていく、中島隼也と舘和弥。明治神宮大会では、どんなふたりが観られるでしょうか。

舘和弥投手は11回1/3を投げ無失点、最優秀選手賞を受賞

中島隼也投手は15回2/3、3失点の好投で最優秀投手賞を受賞

ダークホース? 鮮烈な印象を残した一年生

準決勝で白鷗大に勝った城西国際大は、初の明治神宮大会出場を決めました。あとは、決勝で東海大(首都大学野球連盟1位)と戦い、第一代表か第二代表かを決めるだけ。

その日、4番・レフトでスタメン出場したのは浪川広之外野手(1年・創価)でした。初戦の武蔵大戦では代打で途中出場し2打席立って無安打、準決勝の白鷗大戦には出場がなかった浪川選手。この抜擢はどういうことだろうと千葉県大学野球秋季リーグ戦の成績を見たところ、2試合に出場し5打数3安打2本塁打との記載が。高校時代も、1年生から試合に出ており勝負強いバッティングをしていたようです。この大きな舞台で突然4番に抜擢され、実力が発揮できるのかお手並み拝見といきたいところ。

結果は3安打1打点の活躍。中前安打2本に左越適時二塁打1本、思い切りのいいバッティングと勝負強さを見せました。明治神宮大会でぜひ観て欲しい選手であることは確かですが、それだけではなく4年間どんな選手になっていくか追い続けたい、そう思えるような面白い選手でもありました。

浪川選手以外にも、岸添選手や梅田主将、村上公康外野手(3年・西条)など勝負強い打者はたくさんいます。投手だけではなく、打線の繋がりにも注目してください。

頼れるキャプテン梅田裕斗捕手

部員の人数も多く、明るく元気なチームの城西国際大。明治神宮大会では、必ずや千葉県を元気にするプレーを見せてくれることでしょう。現地で観ることをオススメします。

明治神宮大会、城西国際大学の初戦は11月17日(日)13時30分~、広島経済大学(中国・四国三連盟代表)と戦います。

この時期、夜はかなり冷え込みますので防寒対策をしっかりして神宮球場へ。
今年最後の熱い戦いを見逃すわけにはいきません!

▼第50回記念 明治神宮野球大会 公式サイトはこちら
https://www.student-baseball.or.jp/game/jingu/index.php

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好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいと思い、OLを辞め北海道から上京。 「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間200試合以上観戦する生活を経て、気になるリーグや選手を取材し独自の視点で伝えるライターに。 大学野球、社会人野球を中心に、記者が少なく情報を手に入れづらい大会などに自ら赴き、情報を必要とする人に発信することを目標とする。

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