サポーター緊急募集!埼玉アザレアトップリーグへの挑戦ー前編

バレーボール2部リーグ(V.LEAGUE DIVISION2-以下V2リーグ)に、ホームゲーム1階席チケットが15分で売り切れるチームがある。埼玉県川越市を拠点とする埼玉アザレアだ。

地域密着型のクラブチームとして2010年3月に発足後、2014/15シーズンにV・チャレンジリーグへ参入。2020-21シーズンはV2リーグに所属、V1昇格への道も視野に据えるところまで来た。

チームの躍進を支え、多くのファンを魅了するその「チーム力」。ファンを惹きつける選手、選手の能力を引き出す事務局といった様々な角度から、その秘密に迫る。

前編は選手たち一人ひとりが果たしている役割を取り上げる。

試合を盛り上げる佐藤選手、中野選手、浜田選手、川﨑選手

バレーボールが好きだから #俺がやる!

埼玉アザレアは、Vリーグ参加チームの中でも数少ないクラブチームだ。

バレーボールをすることが仕事の一部でもある企業チームとは違い、クラブチームに集う人たちの源泉はバレーボールへの情熱だ。選手、指導者、スタッフ、チームに関わる人全てが、バレーボールを仕事ではなく、純粋にやりたくて集まっている集団。他に仕事を抱えながら、それぞれの仕事の後や休日に練習を行っている。

運営母体はNPO法人アザレア・バレーボール振興会。

日本バレーボール協会の強化委員長、北京オリンピックバレーボール日本選手団長などを歴任してきた萩原秀雄氏が代表を務めている。

「埼玉のバレーボールといえばアザレア」となることを目標にバレーボールを通じて地域の人たちと交流、サポーターを増やし、埼玉県のバレーボール界を盛り上げたいという熱い想いを持っている。

チームメンバーは、仕事もバレーボールも向上心を持つ意識の高い人材が集まり、エリート選手の加入も増えている。様々な職種のメンバーがいて、みんなバレーボールをしたくてなんとか時間を作って練習に参加している。

目標は”V2リーグ優勝を目指して、V1へ挑戦”だ。

お互いの期待に応えるように、自分がやらなきゃという意識が自然と生まれている。とにかく全員 「バレーボールが好き」バレーボールをやれる環境を喜び、バレーボールをやれる時は全員で思いっきり楽しんでいる。

そこで生まれる強い結束力・チームワーク力がチームの強みだ。

埼玉アザレアの躍進を支える「チーム力」。

その背景を、キャプテンとしてチームを牽引している川﨑選手と、チームの司令塔セッターの浜田選手、期待の新人中野選手3名に試合後のオンライン取材で伺った。

最下位続きの低迷期から根気強くチームを支えている川﨑選手 

頼れる守備の司令塔

1メートル78センチの大型リベロ、キャプテンの川﨑翔太選手。

高校3年生の時、アタッカーからリベロに転向し、リベロ歴11年目。

小学生の頃からレシーブが好きで、スパイクするよりレシーブする方が楽しいという。

男子の高さとパワーのあるスパイクは時速150キロ程という衝撃のスピード。レシーバーが受ける体感スピードは時速600キロ程と言われているが、川﨑選手の素早い動きでコートにボールは落ちない。

簡単にボールをあげてしまうレシーブは超一級品だ。持ち前の反射神経や瞬発力をふんだんに使い、ボールを追い続ける。誰も拾えないと思うボールを上げた時、試合が拮抗している時に自分があげて得点に繋がった時が一番興奮するという。

守備ではいかにボールを落とさず、リベロを含め7人で空中のボールを攻撃へつなぐチームワークも重要。一番後ろから全体を見渡し、対戦相手の特性を瞬時に判断、メンバーに最善の策を指示している。

観戦中はボールを追ってしまいがちだが、ボールを受ける側の駆け引きを見渡すのも面白いだろう。

川﨑選手の安定したディフェンスからの攻撃は、大注目ポイントである。

川﨑選手のチームへの貢献はプレー中だけではない。後述するセッターの浜田選手らとともに、チームの練習メニューの更新も担い、現在チーム最高成績更新中という。司令塔として選手の特性や全体を見渡す視点、最下位続きの低迷期を乗り越えてきた経験を活かして、チームを支えている。

コートの内外でチームの柱となる浜田選手

広い視野と判断力を持つゲームコントローラー

セッターの浜田翔太選手は、メンバーの中でもトーク力が高く、コートの外でもまとめ役を務めている。

セッターはトスを上げるポジションだとみんな思っていると思いますが、それだけではないんです。ゲーム中のほぼ全てのラリーに関われる、サーブやブロックはもちろん、守備から攻撃に橋渡しする2本目はいつもボールが自分に回ってくる。ボールとともに僕を注目してくれるでしょ」と嬉しそうに話す笑顔が印象的だ。

セッターは、常に意思決定しなければならないポジションである。

実際にセッターに注目して観戦してみると、対戦チームの動きも注視しこの位置から誰にトスをあげると得点に繋がるかを、瞬時に判断していることに気づく。

ラリー中に考える時間はレシーブが上 がってからトスを上げるまでの間、せいぜい2秒くらいだろうか。経験と視野の広さがないとここま でできない。

自分なりのプランを持ってある程度ゲームコントロールできると自信を持って言えるのも能力が高い浜田選手ならでは。 意表をついた巧みなトスワークは相手だけでなく味方も欺く、それが点数に繋がった時には、一人勝ちした気分を味わえるのだそう。これもセッターの醍醐味だ。 そんな瞬間、”俺の時代だ”と思いニヤリと微笑んでしまうこともあるという浜田選手。試合中の表情にも注目だ。

浜田選手はファンとの関わりの部分でも大きな役割を担っている。

取材中の記者に「話してみて自分たちは何が足りないと思う?」と逆質問してしまう程の意識の高さ。プレー以外でもどうファンと関わっていくかを常に考えるその姿勢は、チーム躍進にむけた大きな柱となっている。

驚きの跳躍力からのスパイクテクニックに注目、中野選手

空中戦を制する高さとスピード

期待の新人、中野竜選手は、高校時代から注目されているスタープレイヤーだ。

大学生活の集大成の2020年は、コロナウィルス感染拡大により全ての大会に出られず悔しさが残った。

埼玉アザレアに合流後、試合に出れること、バレーボールができることを夢のVリーグの舞台で喜びを噛み締めている。

いま勢いに乗っている彼が出る試合は全て流れが変わる。

出場試合は全て勝利し、2月の試合ではチーム最多17得点を記録した。もう誰にも止められない絶好調ぶりをみせている。

注目すべきは、120cmの跳躍力、最高到達点345cmの高さを生かしたスパイク。全日本男子の平均が340cmだというから驚きの高さだ。 243cmの男子のネット。間近で見ると信じられない高さに感じる。それより1mも高いところからスパイクを打つとは、もう異次元の世界だ。

中野選手はスパイク一連の動作の中で相手の裏をかき、空中でコースを見極めてスピードあるスパイクが綺麗に決まった瞬間が一番好きだという。空中にいる間の一瞬で彼の視界にはどんな世界が見えているのか。

中野選手はチームにフレッシュな風を呼び込んでいる。堂々としたプレーとは裏腹に、試合前にチーム恒例の一発芸を振られるのはまだ緊張する、と苦笑い。そのギャップもファンにとってはまた魅力的だ。

試合中に笑顔で円陣を組む選手たち

体育館を満杯にしたい

去年までは当たり前にいた観客がいない、

ファンと共に会場で一体感を味わうのは楽しかった。

――インタビューの中から、そんな声が選手から次々にあふれ出した。

声援や拍手がない無観客試合は、当然味気なく感じるという。 特にホームゲームだと、自分たちへの声援の大きさにモチベーションが変わっていた。 先日遠征先で久しぶりに観客の存在を感じた。自分たちはアウェイだったが、ファンの存在の大きさを改めて感じることができたという。

たくさんのファンと一緒に来シーズンこそは開幕したい。

いま埼玉アザレアは、バレーボールを通じて縁を繋いでくれたたくさんの大切な人たちに囲まれている。

人の輪を大切に、いくつもある壁を乗り越えたい。

その大切な人たちとともに目指すのはV1 昇格という大きな目標だ。

いつか来るその日を信じて、チーム名にもある「アザレア」の花のように 華やかに咲き誇り、ファンを魅了する。

後編は選手の能力を引き出し、チームを盛り上げる事務局の役割についてお届けする。

まだあまり世に知られていない、魅力ある人、モノ、コトを伝えたい。 応援したくなる発信をしていきたいです。

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