これは凄い!未来のサッカー少年を育てる「監督の本音」
「あざみ野FC」が立ち上げた大会「ガチアーズカップ」を取材するシリーズ、
3回目は、選手たちを育てる監督たちにお話をうかがいます!
まずは、福井市モデル地区トレセンU-11の松本吉英さんにもお話を伺いました。
「実は、昨年は参加を断念したんです」
福井市モデル地区トレセンU-11の松本吉英さん。
「最初に、松本さんが大会に参加することになったきっかけはなんだったんですか?」
「当初は、福井県トレセンとして参加していたんですが、S級ライセンスで同期だった水沼貴史さんと知り合い、ガチアーズという杯を紹介されたのがきっかけです」
「実際に参加してみていかがでしたか?」
「実は、昨年は参加を断念したんです 。10年間参加してきた中でレベルの差を感じることもあり、ついに県トレセンでの参加NGとなってしまい…」
「えぇ…!本当に高いレベルでの戦いなんですね…」
「ただ、福井の子供たちにもレベルの高いサッカーを経験させたいというのは諦め切れず、今年はモデル地区トレセンとして参加することにOKをもらったんです」
「スゴイ…。それじゃあ、かなりの意気込みだったんですね」
「そうですね、特に今年の大会参加への意気込みは並々ならぬものがありました。もしまた大変な負け方をすると、水沼貴史さんにもご迷惑がかかります。そういう意味では、今回は、今まで参加した中では一番いい戦い方ができたかと。いくつかの勝利も収め、引き分けや、負けても僅差が多かった」
「なるほど。改めてこの大会に参加する意義のようなものって、ありますか?J
「そうですね、まずクラブの下部組織や町クラブでも、指導者のレベルの高いクラブとの試合は地方にいてはまずチャンスが無いんです。特に日本海の冬は天候が悪く、本日のような晴天の中でプレーすることはできない」
「そっか。地域でプレイ環境にも差が出るんですね」
「ここでは優秀なコーチもいて、ウォーミングアップの際に足りないところを修正できます。指導者も、上のレベルの大会を見に行ったり、生で経験しないと子供たちに教えられないし、スキルは上がりません」
「確かに。松本さんご自身が指導者として学び続けることのモチベーションはどこにあるんですか?」
「全てです。高校生でできていないことは、小学生もできません。クロスも簡単にあげられるが、あげられた後の対策の指導はするが、そもそもあげさせない、という指導ができていない。小学生でできておらず、高校生でもできていないということは、その過程で問題点を改善できる指導者がいないということ。そういったこともこのような大会に来てはじめて分かるんです」
「指導者としても、より深いレベルでの知識や経験が必要なんですね」
「自分の専門カテゴリだけでなく、関連するカテゴリを知らないと、本当の選手を改善する力にはなりえないと思うんです。ヘディングのやり方など、技術一つとっても改善の余地は多くある。福井の中だけにいると子供も親も”天狗”になりがちで、”井の中の蛙”になってしまう。あざみ野FCは大会運営もしっかりしている」
「具体的にいうと、どういった点ですか?」
「たとえば爪のチェックなども、公式戦と全く同じです。今回、福井市モデル地区トレセンの子供が一人指摘をうけて、私も反省しました。こういったチェック一つ一つ、準備の重要性を再認識させられます。子供も恥ずかしい思いしますが、それは指導者も同じ。本当に良い意識付けの機会になりました」
公式戦と同じ環境でプレーできる機会は、指導者にとっても貴重な機会。
ガチアーズに来た選手が、Jリーグに入団が決定!
「実際に、選手たちの成長を感じることもありますか?」
「ありますね。ガチアーズに最初に参加した選手が、今年Jリーグへの入団が内定したんです。直接言われたわけではないですが、あるコーチの話では『ガチアーズに来て変わった』といってもらえたようなんです。自分より上の選手がいることを目の当たりにし、それが努力するきっかけになったのかなと」
「まさに、ガチアーズがサッカー人生を変えた、と」
「はい。今回、参加している選手は8名 (本来は9人の予定だったが、体調不要により不参加)なんですが。8人サッカーで8名。つまり、怪我や病気をしたら終わりなんです。それでも、リスクを承知で参加しています」
「そのあたり、親御さんにはどう説明されるんですか?」
「事前に、父兄の皆さんにも説明会を開き、説明させていただきます。その上で今回、参加できると判断したのが9人でした。昨日は15分ハーフで3試合、本日は20分ハーフで2試合。フル参加です。選手たちには非常に良い経験とトレーニングになったと思います。8人だけが、地元では絶対に味わえない貴重な経験をできたわけですから」
「本当に貴重な機会なんですね」
「はい。この大会を経験した選手が地元に帰り、今回参加できなかった選手たちへまた良い刺激を与えられたら良いですね」
「この大会がきっかけとなって、全国のサッカー少年たちに良い連鎖反応が広がっていくといいですね!」
「そう願っています!」
「本日は、貴重なお話ありがとうございました!」
「とんでもないです、ありがとうございました!」
インタビューの最後は、あざみ野FCの監督さんです。
「土日しか活動できなくても、それで言い訳はしたくない」
あざみ野FCの監督さん。
「お忙しいところ、ありがとうございます!」
「はい、何でも聞いてください」
「では早速。今回、ガチアーズにはどんな思いで参加されたんですか?」
「今回呼ばれてるチームは、Jリーグの下部チームなど強豪クラブ揃いです。そういった中で『あざみ野FC』の現在地がどの辺りか、というのを見たかったんです」
「なるほど」
「選手には、良いプレーや他のチームの試合をみたり、対峙した選手をみて『こういうプレーをやったら得点できるんだ』『こういうプレーをすると相手は嫌がるんだ」といった発見をしてもらいたいですね」
「みなさんほぼボランティアで参加されてますね。監督ご自身はどういったモチベーションで参加されてるんですか?」
「やっぱり、選手と一緒に練習したりする中で成長をみれるのが楽しみです。限られた時間ですけど、大会を通じて個々の選手が成長したりするのが楽しくて、自分の喜びでもあります」
「子供とはいえ、選手たちへの思いというのも特別ですよね」
「そうですね。自分たちが基礎を教えた選手たちが、例えば高校で全国大会に行ったり、良いプレイヤーとしていつか活躍してくれると嬉しいです」
「指導者として『あざみ野FC』がJリーグ下部チームと違うところは、どの辺だと思いますか?」
「やはり『ディフェンスでの止める技術』や『縦に入れるパスの正確性』ですね。そんなに難しくはないんですけど、そういうところで局面がガラッと変わることもありますし。こういうことは、練習量や人工芝などの環境の違いもありますが、J下部チームに一日の長があると感じることはあります」
「それでも『あざみ野FC』は神奈川県の中でもトップ5に入る力があると思うんです。実際に、指導する中で、そういった差をどうやって埋めていってるんですか?」
「あるとしたら、『気持ち』や『想像力』の部分じゃないですかね。技術で多少劣っていても、ボールが出てから動くんじゃなくて、どこに蹴ってきそうか・どこで止めれそうかと、プレーをイメージしてほしいということは教えています」
「そういう気持ちや想像力だけでも、選手たちの動きに違いが出てくると」
「はい、気持ちだけで勝てるわけじゃありませんけど『食らいついてでもボール奪おう』とかそういう気持ちになれば、足先だけじゃボールが取れない場面でも、スライディングすれば取れるんだったら「滑らなきゃ」と思ってくれると思うので」
「確かにそうですね!最後に「あざみ野FC」の良いところってどこですか?」
「みんな、サッカーが好きなので『うまくなりたい』っていう気持ちは負けてないと思います。それと、悔しさを忘れちゃだめだというのは選手たちに教えていますね。悔しさが成長させてくれることが大きいので」
「今回、ボランティアで参加してるご両親のみなさんにもお話を伺ってんですが、家族みんなで協力して作り上げていくというのも特徴の一つですよね」
「そうですね。『ご両親のみなさんとの一体感』は、僕らのほうがあると思います。『あざみ野FC』は、基本土日しか活動できませんが、それで言い訳はしたくないんです。限られた時間のなかでの練習方法や保護者の皆さんと協力してやっていく一体感は『あざみ野FC』ならではと思います」
「応援してます!ありがとうございました!」
「はい、ありがとうございました!」
取材を終えて…
大会に参加したメンバー・スタッフで集合写真。
ボランティアによる運営がメインの町サッカーで、ご両親を含めてこれだけ自発的に協力でききるのは「チームの思い」がしっかりとご家族へ浸透しているから。
一般の企業運営においても、理念や思いをスタッフ全員に浸透させるのは簡単じゃないはず。
家族みんなでサッカーに取り組む姿勢を続けてきたことが「あざみ野FC」の強さの秘訣なんだと感じました…!
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スポチュニティコラム編集部より:
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