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ストライカーとは「ゴールを決める意志」を持つサッカー選手-スポチュニティアンバサダー ストライカーコーチ 長谷川太郎-パート1

 スポチュニティアンバサダーの1人である長谷川太郎氏。彼は今季全国地域チャンピオンズリーグで全国優勝を果たした、「ブリオベッカ浦安」のストライカーコーチという肩書を持つ。

 今回の記事では、長谷川氏のストライカーコーチとしての役割と、長谷川氏の考えるストライカーの定義などについて話を伺った。

ストライカーコーチの役割は「イメージを合わせること」

ー長谷川さんの肩書は「ストライカーコーチ」ですが、具体的にどのような役割をされているのでしょうか。

「私の役割は、コーチングスタッフ・ストライカー以外の選手・ストライカーという3者の間に、ゴールを決めるまでの共通のイメージを作り出すことだと考えています。

 ストライカーがゴールを決めるために、自分のシュートスキル・動き・考え方などを向上させることはもちろん必要です。とはいえ、ストライカーがゴールを決めるためには、ストライカー以外の選手の協力が不可欠です。また、コーチングスタッフにはやりたいサッカーというものがあるので、それがどのようなゴールを決めるのかという戦略に関わってきます。

 そのために、ストライカー自身のシュートスキルを上げるだけでなく、『どのようにゴールを決めるのか』をチーム全員が共通認識としてもつために、私のようなストライカーコーチがいると考えています。」

ーということは、ストライカーコーチというのは、ストライカーだけのコーチというよりも、ストライカーを活かすために、他の選手やコーチングスタッフと様々な調整を行う「調整役」のような理解でよろしいでしょうか。

「そうですね。どちらかというと、ストライカーコーチはサッカーのボランチ1のようなもので、いろいろな人の舵を取っていくことが主な役割だと考えていただくとよいかもしれません。

 サッカーはゴールを決めないと勝てない競技です。でも、ゴールにたどり着くためには、相手からボールを奪い、ビルドアップ2してボールを前に進めることが必要です。このような攻撃の過程からゴールまでのイメージをチーム全体で合わせることが、ゴールのチャンスをより多く生み出すことにつながります。

 また、チーム全体でゴールのイメージが共有できたとしても、実際の現場(ゲーム)でプレーするためには微調整が必要になります。その微調整をしながらコーチングスタッフの考えを選手たちに伝えたり、また選手から「こんな感じのパスを出してほしい」とか「こんなふうに動いてほしい」などの意見を聞いて、トレーニングに落とし込んでいくことが私の役割になります。」

-ちなみに、他のチームで長谷川さんのようなストライカーコーチを契約しているケースはありますか。

「はい、ガンバ大阪のユースで元日本代表の大黒将志さんがストライカーコーチをされています。

 私自身は2015年からストライカーコーチとしての活動を初めましたが、当時はストライカーコーチという肩書を名乗っている人は他にいませんでした。そして、2017年からブリオベッカ浦安とストライカーコーチとして契約をしました。」

地域チャンピオンズリーグ優勝後、胴上げされる長谷川氏

シュートトレーニングは、ストライカーの意思表示とコミュニケーションの場

-長谷川さんが考える『ストライカー』の定義とは、どのようなものでしょうか。

「私は『ストライカー』とはポジションではなく、『自分がゴールを決めるんだ!』あるいは『チームの勝利のために自分が決めてやるんだ!』という強い志(こころざし)を持っている選手が『ストライカー』であると考えています。

 一般的にはフォワードの選手が『ストライカー』と考えられていますし、やはり前線にいる選手がゴールを決めることが多いのは事実です。でも、フォワードとストライカーの違いをあげるなら『自分がゴールを決めてこのチームを勝たせるんだ』という強いマインドを持っているかどうか、だと私は思います。」

ーお話を伺ったところ、『ストライカー』というのは、チームに1人だけということではないようですね。

「はい。私は誰もがストライカーになれると考えていますし、『自分がゴールを決めるんだ!』と思っている選手はみんな『ストライカー』であると思っています。」

-そうなりますと、長谷川さんがストライカーコーチとして、選手たちに最も伝えたいことというのは、『必ず自分がゴールを決めて、チームを勝たせる』というマインドに関することなりますか。

「そうですね。その『自分がゴールを決めるんだ!』という意志を持つために、日々のシュートトレーニングをしたり、ゴールについて深く学んだり、また同時に学んだことを整理したりすることも必要だと思っています。

 また私は、シュートトレーニングはシュートスキルを上げることだけが目的なのではない、ということも選手たちに伝えています。というのも、シュートトレーニングは、ストライカーが『自分が得点を決めるためには、こんなパスを欲しい』あるいは『自分には、このタイミングでパスを出して欲しい』ということを、チームメートやコーチングスタッフに 意思表示する場であると考えているためです。

 『ストライカー』がシュートトレーニングをしているとき、そのトレーニングを見ているコーチングスタッフや他の選手が必ずいます。ですから、例えばクロスにボールを上げて、ヘディングでゴールを決めるという場面のトレーニングをストライカーがしていたら、そのトレーニングを見ている他の選手は『このストライカーは、この場面ではこんなパスが欲しいんだな』ということを理解することができます。

 また、もしもチームメートと一緒にシュートトレーニングをしているときであれば、選手同士で『もうちょっと速いパスを出して』とか『もう少し前でパスを受けたいな』と直接伝え合う事ができます。また、そうした情報は他の選手もチーム内で共有することができます。ですからシュートトレーニングは、チームのコミュニケーションの場でもあるのです。

 こうした結果、チーム全体が『ゲーム終了間際でも、うちのチームのストライカーにパスを出したら、必ずゴールを決めてくれる』と、また『あれだけトレーニングしているうちのストライカーがゴールをはずしたら、それはもう仕方がない』とストライカーを信頼することに繋がります。」

  シュートトレーニングを、『ストライカー』の意思表示とチームのコミュ二ケーションの場と位置づけている長谷川氏。インタビューのパート2では、長谷川氏がストライカーコーチとしての活動するようになった経緯と、ブリオベッカ浦安の全国地域チャンピオンズリーグ優勝の要因について質問した。

  1. ボランチとは、ポルトガル語で「ハンドル」を意味し、サッカーで試合の流れをコントロールする選手のこと。
  2. ビルドアップとは、ディフェンスの選手や守備的ミッドフィルダーの選手が中心となって、自陣の後方から前線へボールを運んでいくこと。

(写真提供 長谷川太郎)

(インタビュー・文 對馬由佳理)

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