「スポーツマネジメント」ってどんなことをするの? 「お金」という視点で考える

近年、「スポーツマネジメント」という言葉を聞く機会が非常に多くなりました。

スポーツマネジメントを学びたい」といった人も非常に増えているようで、高校生や大学生のみならず、社会人でも仕事を退職してスポーツマネジメントを学べる大学院に進学したり、スポーツビジネスの現場で活躍している人たちを講師としたセミナーに参加したりと、「スポーツマネジメント」は特殊な分野ではなく、身近なものになってきています。

ところが、「スポーツマネジメントとは何か」と言われると、人によって答えはバラバラであり、スポーツマネジメントに関連する書籍にも、色々なことが書かれていて、「スポーツマネジメント」はとてもあいまいなものになってしまっています。

今回は、この「スポーツマネジメント」というものがいったいどういう意味で使われているのかを、もう少し整理したいと思います。

結論から言うと、「スポーツマネジメント」というのは、「スポーツに関わる全ての活動に対してのマネジメント」ということになります。

ただ、これだけですと、結局何をするのがスポーツマネジメントなのかということが全く分かりません。

スポーツマネジメント」の考え方には多くのものがあるため、一度で全てをご紹介することはできませんが、

今回は、最も簡単な考え方をご紹介します。

ヒントは「お金」です。

「お金」という面で「スポーツマネジメント」を大きく2つに分けて考えてみます。


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もくじ [隠す]

スポーツマネジメントの簡単な考え方 ~「お金」という視点~

① 「お金を稼ぐことを目的」にしている活動に対しての「スポーツマネジメント」

② 「お金とは関係ない」スポーツ活動に対してのマネジメント

① 「お金を稼ぐことを目的」にしている活動に対しての「スポーツマネジメント」

お金を稼ぐことを目的としたスポーツマネジメント」で分かりやすい例は、「プロスポーツの球団・クラブ経営」などです。

現在、日本の様々な大学などで扱っているスポーツマネジメント論や、スポーツマネジメント関連の書籍では、「プロスポーツの球団・クラブ経営」のことを「スポーツマネジメント」として扱っている場合が多いです。

プロスポーツの球団・クラブ経営」というのは、簡単にいうと「プロ野球(NPB)」や「Jリーグ」といった、プロのスポーツチーム(クラブ)が、どのようにお金を稼いで、どのようにその稼いだお金を使っているか、ということです。プロスポーツビジネスは4つの収入で稼いでいる!

日本人であれば、「プロ野球(NPB)」や「Jリーグ」は、ほとんどの人がその存在を知っていますし、いかにも「スポーツビジネス」という感じがしますので、教える側にとっても、学ぶ側にとっても非常にわかりやすいものではないかと感じます。

スポーツマネジメントを学んでみたい」と思う高校生や大学生の多くは、こうしたプロスポーツのチーム(クラブ)の職員・スタッフになりたい、という方が多いのではないでしょうか。

学校側にとっても、「うちの大学でスポーツマネジメントを学べば、プロの球団に就職できるチャンスがあります」という宣伝をすることによって、学生がその大学に行くことを魅力に感じます。

したがって、日本のスポーツマネジメントは、この「プロスポーツの球団・クラブ経営」というのが非常に目立った形で取り上げられることが多いのが現状です。

しかし、球団経営だけが「スポーツマネジメント」なのかというと、もちろんそうではありません。

先ほど書いたように、「スポーツマネジメント」というのは、「スポーツに関わる全ての活動に対してのマネジメント」だからです。

「プロスポーツ球団」のビジネスは、スポーツ産業の分け方で言うと、「スポーツサービス産業」というものに分類することができます。

スポーツ産業にはどのようなものがあるかというと、大きく分けて、

✔ スポーツ用品産業

✔ スポーツ施設産業

✔ スポーツメディア産業

✔スポーツサービス産業

スポーツ産業を構成する主要な分野

という4つがあるとされています。スポーツ産業で重要な3つの分野はこれ!

ということは、「スポーツ」という名前がついている以上は、「この全てのスポーツ産業にスポーツマネジメントは存在する」ということです。

「産業」というのは、わかりやすく言うと、「仕事」という意味です。

つまり「スポーツに関わる仕事(スポーツビジネス)であれば、その仕事全てにマネジメントが存在する」ということです。

これが、「①お金を稼ぐことを目的としたスポーツ活動についてのスポーツマネジメント」という意味です。

この場合は、スポーツマーケティング、スポーツ経済、スポーツファイナンス、などの「企業経営」に非常に近い分野を学んでいくことになります。「スポーツ経済学」ってなに? スポーツビジネスに関わる経済学

②「お金とは関係ない」スポーツ活動に対してのマネジメント

では、「スポーツビジネスではない場合」、つまり「お金が関係しないようなスポーツ活動」に対してのスポーツマネジメントは存在しないのでしょうか。

実は、「スポーツビジネス」以外のスポーツの場面でも、スポーツマネジメントというのは存在するのです。

例えば、「部活動や少年団のチームマネジメント」といったことも「スポーツマネジメント」に含まれるのです。

学生の「部活動」であったり、地域の少年野球や少年サッカーといったいわゆる「少年団」と呼ばれるスポーツ活動は、そもそも「お金稼ぎ」を目的として活動しているわけではありません。

「部活動」や「少年団」のスポーツ活動は、「学校教育の一環」であったり、「地域振興や余暇活動」といったことを目的としています。

もちろん、全国大会に出場するような強豪校の部活動の先生は、「専門コーチ」などの形で学校に雇われている場合もありますが、一般的には学校の部活動や少年団の監督・コーチをしている人たちは、普段は社会科の先生をしていたり、別の仕事をしているような人たちです。

ですので、部活や少年団は、その活動自体は「ボランティア的」な要素が強く、何かを販売するなどして大きな収益を生み出すような活動ではないのです。

ですが、ボランティア的なスポーツ活動だったとしても、マネジメントが一切不要かといえばそうではありません。

たとえば、「学年によって、どんな練習をさせたらいいのか?」といった「練習メニューやプログラムを考える」ということもスポーツマネジメントの1つですし、「スポーツ活動中の事故やケガを防止する」というような「リスク管理」もスポーツマネジメントの1つです。

そもそも、日本で発展してきた「スポーツ経営」という分野は、「体育」や「運動」といったものをいかに効果的に行うか、スポーツ施設をどうやって活用するか、といった視点で発展してきています。

これは簡単に言うと「するスポーツ」のマネジメントということになります。

↓「するスポーツ」をもっと知りたい方はこちら↓スポーツマネジメントはどんなことをマネジメントするの?

この場合は、コーチング学スポーツ医科学スポーツ心理学といった、いわゆる「スポーツの現場」で活かしていくようなことを学び、選手の体調、トレーニング管理や、チーム作りといったことを「スポーツマネジメント」として捉えます。

もちろん、こうした分野のスポーツマネジメントを学ぶことによって、プロスポーツクラブに就職するチャンスが広がったり、スポーツフィットネス関連の仕事に就いたり、指導者などの道へ進むこともできます。

プロ野球のビジネスなどを「スポーツ経営」や「スポーツマネジメント」と呼ぶようになったことのほうが最近なのですね。

まとめ : スポーツマネジメントはホントに奥が深い

今回は、「スポーツマネジメント」を簡単に理解する1つの考え方として、「お金」という視点で大きく2つに分けて考えるということをご紹介致しました。

「①お金を稼ぐことを目的にしている活動に対してのスポーツマネジメント」では、スポーツマーケティング、スポーツ経済学、スポーツファイナンス、といった、企業経営に関するような分野のことを学ぶ必要があります。

①は「スポーツビジネスに関するスポーツマネジメント」とも言えますので、まず「スポーツ産業」というものを知らなければなりません。

「②お金とは関係ないスポーツ活動に対してのマネジメント」では、どちらかといえば「競技」そのものや「運動」といったことに焦点を当て、コーチング学、スポーツ医科学、スポーツ心理学といったことを「スポーツマネジメント」として学びます。

現代の「スポーツマネジメント」では、このどちらかを学べばいい、という訳ではなく、どちらも学ばなければなりません

このような点を丁寧に説明している書籍や、大学の講義といったものは非常に少ないのではないかと感じます。

フィットネスジムなどは、「スポーツビジネス」ですが、お客さん(利用者)にスポーツジムで運動をしてもらわなければなりません。

したがって、「ビジネス」的なスポーツマネジメントと、「運動」的なスポーツマネジメントを両方行わなければならないのです。

みなさんが、限られた時間の中で全てのスポーツマネジメントを学ぶということは難しいと思いますし、人それぞれ興味のある分野や得意な分野も違うと思います。

ですので、これから「スポーツマネジメントを学びたい」という方は、まずは「自分がどんな分野に興味がありそうか?」を考えてみるとよいと思います!!


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記事提供
ゼロからのスポーツビジネス入門 須賀 優樹

「世界で一番優しくスポーツビジネスを学べる場をつくる!」を目標に、スポーツ業界に入りたい人、活躍したい人をこれまで多数支援。学生時代の専門は「スポーツマーケティング」。現在は大手企業のデジタルマーケティングやビッグデータ分析のコンサルティング、スポーツ団体の新規事業支援などをやっています。

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