四国アイランドリーグplus 坂口事務局長の想い ~ Part.2 「増田大輝 選手 」
「このシリーズでは、スポチュニティ編集部を通じて、四国アイランドリーグplus 坂口事務局長の熱い想いをお伝えしていきます」
(2017年7月28日の坂口事務局長のFacebook投稿より。ご本人の許可を得て転載しております)
2015年のドラフト会議で育成選手として
徳島インディゴソックスから読売ジャイアンツへ巣立って行った増田大輝。
2年目の支配下登録期限が今月末に迫っていた今日、育成選手から支配下登録選手に這い上がりました。
大輝と初めて顔を合わせたのは2013年の10月。
大学に進学したものの、1年で野球を辞めて大学も中退し、地元・徳島に戻って鳶職をやっていた大輝。
大学中退の経歴。半年以上のブランク。
小さい体。
それでも、会ってみることにしました。
こういう選手に再チャレンジの場を提供し、一緒になって夢に突き進んでこその独立リーグだ、という信念を持っていましたので。
着慣れないスーツに身を包み、俯き加減に1人で球団事務所を訪ねてきた、あの時のことは一生忘れないでしょう。
口数は少ないものの、芯の強さを感じさせる言葉。
何よりも、渇望感に溢れた鋭く光るサムライのような目つき。
瞬間的に決めました。
何があっても、2年間、責任を持って、この子の面倒を見ようと。
一度も実際にプレーを見ることなく、監督やコーチにも相談せず、即決かつ独断で選手を獲得したのは5年間で2人。
大輝と、大輝から紹介を受けた木下雄介(現・中日ドラゴンズ)だけです。
その場で入団決定を告げた時、むしろ、大輝の方が困惑してましたよね。
”えっ?実技の審査ないの?”って。
ちなみに、木下の方は”当然でしょ!”くらいの感じで困惑する気配は微塵もありませんでした(笑)
その後は色々なことがありました。
独立リーグの世界における2年間という期間は、とてもここには書ききれない濃さと激しさと重さを伴うものです。
Indigo Farmでの1枚
一緒に日本一になりました。
一緒に阿波踊りを踊りました。
一緒に農作業をしました。
一緒に悔しがりました。
一緒に笑いました。
いっぱい笑いました。
お互い、負けず嫌いなので実際のところはよくわかりませんが、一緒に泣いたこともあったかもしれません。
勝負を賭けた2年目、
開幕から全く打てなかった時は、さすがに表情も冴えない感じではありました。
しかし、”お前のウリは守備と走塁。打率は関係ない。
史上初めて打率1割台でNPBへ行った独立リーガーになるんだ!”
などといい加減なことを言って叱咤激励し、
代表チームの一員として北米遠征にも連れて行きました。
徳島インディゴソックス所属時の増田選手
ドラフト会議で育成選手として
指名を受けた時は、
大騒ぎをして喜ぶのではなく、
あたかも当然のことのように、
むしろ、これからだな、
という感じで小さく喜びを分かち合いました。
ドラフト指名時の増田選手 (左から2番目)
大輝に限らず、
当時の徳島インディゴソックスの選手たちには、常々、ドラフト指名を受けることだけを目標にしたらダメだ、一軍で活躍し続けることを目標にする覚悟がないなら野球を辞めろ、と言い聞かせていましたから。
今日、大輝は、ようやく、一軍で活躍し続けるという目標が目の前に見えるところまで辿り着きました。
嬉しいねぇ。本当に嬉しい。
こんな喜びを味わえるのは独立リーグしかないんじゃないかな。
今日の昼前も、いつものように、少しはにかみながら、いたずら小僧のように電話をかけてきました。
素直に喜びを爆発させることもなく、大したことではありませんが、みたいな感じの報告。
いかにも見栄っ張りな大輝らしい電話で、こちらも安心しました。
次に大輝と顔を合わせるのは東京ドームでしょう。
篠原慎平と揃って活躍する姿を見せてくれるはず。
楽しみだなぁ。
と、こちらも、いつものようにプレッシャーをかけまくって、喜びの投稿を締めくくることにします。
大輝、とりあえず、おめでとう。
【追記】
徳島で同じ釜の飯を食った選手のうちNPB球団へ巣立って行った選手は8人。
現役で残っているのは6人。
支配下登録選手は、大輝のほか、楽天の入野貴大と阪神の福永春吾。
育成選手は、山本雅士、吉田嵩、木下雄介の中日勢。
投手5人、野手1人。
まずは、巨人・阪神戦で大輝vs春吾、日本シリーズで入野vs大輝を見たいな。
想像するだけでアツくなる。
あと、マニアとしては、広島・巨人戦で菊池と大輝のセカンド守備対決を見たい。
大輝には菊池のように育ってもらいたいとずっと思い続けているので。
筆者: 坂口裕昭さん
1973年、神奈川県横須賀市生まれ。四国アイランドリーグplus・理事・事務局長、徳島インディゴソックス前球団代表、日本独立リーグ野球機構・事務局長、徳島県教育委員会・教育委員、弁護士。
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コラム編集部より:
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