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尼崎市在住の米国人選手が大活躍!!アメフト・アサヒ飲料クラブチャレンジャーズがトップリーグの舞台に戻ってくる。

Xリーグ・アサヒ飲料クラブチャレンジャーズ(以下チャレンジャーズ)が来季からのX1SUPER(1部)昇格を決めた。

国内トップリーグへ戦いの場所を移す同クラブはチーム名同様、新たな挑戦の真っ最中。兵庫県尼崎市と包括提携協定を結びフランチャイズ化を進めている。

チームの中心であるQB(クオーターバック)#8ギャレット・サフロンとWR(ワイドレシーバー)#1ロバート・ジョンソンは『ホーム尼崎』に住みながらハードにプレーする。

チャレンジャーズは78年創設、98年から現チーム名となった。98,99年に2年連続ウエストディビジョン全勝優勝、00年ライスボウル制覇(日本一)、続く01年も社会人制覇を果たしたアメフト界の名門。しかし18年のリーグ再編からは2部相当のX1AREAで3シーズン戦っていた、19年はレギュラーシーズン全勝優勝するもX1AREA優勝決定戦で敗れ、昇格戦に進めないという悔しさも味わった。

10月24日、チャレンジャーズはディアーズ・フットボールクラブを下し今季無傷の5連勝を達成、最終節を待たずX1SUPER昇格を決めた。優勝候補の一角だったチャレンジャーズは他チームの執拗なマークにもあったが、粘り強く勝利を重ねた結果だった。不屈のスピリットで攻撃陣を牽引し続けたのがギャレットとロバートの2人だった。

~何が起こるか分からないからこそ常に僕の動きに注目してほしい(ギャレット)

「19年は昇格戦があったため無敗を続ける必要があった。今季は上位4チームが自動昇格ということで、結果、ハードルは少し低かったかもしれないが、昇格という目標は同じでハードワークすることだけを考えていた。3年間は苦しい時期ではあったので今は素直にうれしい。チャレンジャーズはX1SUPERをかき回す存在になれると思う。とても興奮している」(ギャレット)

QBギャレットはカリフォルニア州立大学サクラメント校から欧州リーグを経て19年に来日。1年目最後に喫した悔しさを忘れることなく司令塔としてチームを牽引してきた。昇格決定したこの日もパスとランで5タッチダウンを挙げる大活躍を見せた。NFLからも注目されたQBの活躍を来季はX1SUPERで見ることができる。

「試合を作る能力が特徴。相手ディフェンスカバーを瞬時に判断しパスとランどちらが効果的かを判断し実行する。QBはすべてのプレーの起点となり、毎回ボールに触れるポジション。だから毎回、何が起こるか分からないからこそ常に僕の動きに注目してほしい。1プレー1プレーが唯一無二のスペシャルなものだからね」(ギャレット)

~18年X1AREAに降格しチームから多くの選手やスタッフが去った時の感情は忘れられない(ロバート)

「プレッシャーは特に感じなかった。なぜなら自分たちがベストチームだと信じているから。正直、昇格は19年に決めなければならなかった。18年X1AREAに降格しチームからも多くの選手やスタッフが去った。その時の感情は今でも忘れられない。昇格というのは待ちに待った瞬間だったが、今は通過点にしか過ぎず、これからが本当の戦いになる」(ロバート)

WRロバートはミシシッピ州立大から米国・室内リーグや欧州でプレーした後の18年に来日。190cmの大型レシーバーはXリーグでは飛び抜けた存在だ。 他チームの脅威となっているエースは昇格を喜びつつも通過点と考え来季以降を見据えている。

「僕のストロングポイントはチームプレーヤーであること。そしてスピードと身体の強さ、アジリティ(機敏性)にも自信がある。試合では1対1の勝負を見て欲しい。特にレッドゾーン(敵陣20ヤード以内)に入ってからのマンツーマンの勝負。高さ、身体の強さを活かしたキャッチでチームに貢献することを考えている」(ロバート)

~チャレンジャーズの本拠地・尼崎はクレイジーで騒がしいが静けさも持ち合わせた街。

昨年10月23日、チャレンジャーズは尼崎市と包括連携協定を締結し実質的な本拠地となった。25日には地元をイメージしたチームソング『挑戦者よ』を発表。その後も選手がラッピングされた飲料自動販売機を市内に設置するなどの地道な活動を進めている。ギャレットとロバートはそれらに先立つ形で来日時から尼崎に住んでいる。日本有数のカオスな街と言われるアマで2人はエキサイティングな毎日を過ごす。今では肉、チキンカツ、うどん、ラーメンなど行きつけの店も増えたと屈託なく笑う。

「伝統的、文化的でクレイジーな街(笑) 。昼間から酔っぱらったり、カラフルな色の服を着ていたり、個性的で面白い人はめっちゃいる(笑)。でも、みんなフレンドリーでご飯も美味しい。練習場やジム、駅も近くて梅田、難波(大阪府)、神戸にも行きやすくて便利な街。来日当時の少しの間は米国人は自分1人だったのでカルチャーショックもあった。だけど今は居心地が良くてオフになると街を歩いている」(ギャレット)

「自分の故郷ミシシッピ州ハッティズバーグは学生街で静かだった。ここは家の前が国道ということもあるが救急車が通ったり、(暴走族のような)バイクが通ったり、せわしない印象。アマガサキという発音から伝統的な街とも思ったんだけど(笑)。自転車で少し走ると武庫川があって河川敷でくつろげるのが気に入っている。騒がしさと静かさの両方を体感できる街だね。」(ロバート)

~ワンステップ上の体験を提供する(ギャレット)、高いレベルでの役割を遂行する(ロバート)。

フィールドではトップリーグ昇格に大きく貢献、プライベートでは尼崎に馴染み英気を養うことができている。公私に充実した時間を送る2人だが立ち止まっているヒマはない。来季は日本最高峰の舞台でのプレーが待っており、自身に課されたミッションも十分に理解している。

「アメフトの知識や技術を伝承する立場にもあると思う。自身が培ってきたアメフト文化、経験をチームで共有するのが自分の役割。チャレンジャーズの選手たちがこれまで見たことない世界や経験、ワンステップ上の体験の提供が自分にできること。それが選手の育成そして日本アメフト界の発展に貢献できるはず」(ギャレット)

「大好きなアメフトを仕事にできていることはとても光栄に思う。オフに帰国した際などには改めて自分の環境にありがたみを感じる。だから、そういった時に今一度、謙虚にならないといけないな、と感じさせられる。これまでの経験を活かして、他の日本人選手、特にレシーバーの選手が高いレベルで役割を遂行できるよう手助けする立場にあると思う」(ロバート)

プロ待遇に近い契約でアメフトのみに専念できる環境を与えてもらっている。X1SUPER昇格のために背負った責任は大きく想像を絶する重圧を感じていたのは想像に難くない。まずは第一の目標を成し遂げたが、来季の昇格即優勝、日本一獲得という頂を目指すタフな毎日は続く。

「チャレンジャーズ関係者や尼崎の人たちは僕たちを家族として迎え入れてくれている。いつも助けてくれる。だから何不自由なく過ごせているし、生活にもすぐに慣れることができた。今は人生の素敵な経験として日々過ごしている」(ギャレット)

最後に優しい瞳でにこやかに付け加えてくれた。チャレンジャーズ、尼崎という周囲のサポート環境が2人の大きな支えになっているのは間違いない。アサヒ飲料クラブチャレンジャーズの戦いに注目だ。

(取材/文・山岡則夫、取材/写真協力・チャレンジャーズ尼崎プロジェクトマネージャー川口陽生氏)

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