プロ野球を盛り上げる コラボグッズが熱い!

“プロ野球を盛り上げたい!“

その想いを実現すべくグラウンドの外でも様々な取り組みが行われています。

今回、プロ野球 パ・リーグ6球団のコラボレーションアイテム「FUNスニーカー」を特集します。

「FUNスニーカー」は靴工房「サンガッチョ」とのコラボスニーカーで、各球団をそれぞれモチーフしたひらがながデザインされています。

1月19日から球団ごとに先行抽選販売がされ、話題となった商品です。

パシフィックリーグマーケティング(PLM)の辻彰徳さんに6球団のタイアップ企画とそのお仕事についてお話を伺いました。(※取材日は1月30日)

「パ・リーグ×サンガッチョ」コラボスニーカーの販売

4月15日、パ・リーグ6球団コラボグッズ「FUNスニーカー」が販売開始となった。

​価格は24,500円(税抜)で、靴⼯房サンガッチョ「FUNスニーカー」特設サイト他で販売中。各球団1,500⾜の数量限定商品である。

本商品は、靴工房「サンガッチョ」とコラボレーションしたスニーカーで、「ファンと共に勝利を喜び一緒に走り続けること」をコンセプトに製作。各球団をモチーフにした、ひらがなをデザインしたものになっている。

ファッションとしても日常使いができ、チームとコアなファンを繋ぐアイコンとして存在感を発揮している。 

1月19日から球団ごとに先行抽選が始まった直後から瞬く間に注目を集め、テレビや新聞にも取り上げられた。

靴は一足一足手づくり。各球団がそれぞれ設定した頭文字を記し、一見野球のグッズには見えないのが特徴である。 

一足一足手づくりで製作されている(PLM提供)

今回コラボレーションした靴工房サンガッチョは、ひらがなをモチーフにした「オリジナリティ溢れる」・「人とかぶらない」スニーカーを製作している靴のメーカーである。
 
日本人ならではの細部にこだわる技術とイタリアの創造的デザインを融合させ生まれた製品で、タレントやスポーツ選手の愛用者も多い。アメリカ・ニューヨーク市とのコラボをはじめ、複数人気ブランドとのコラボ商品を発売している。 

新規ファン開拓のきっかけに

「FUNスニーカー」は、プロ野球ファン以外にも人気となっている。発売後、辻さんは早速反響の大きさを実感したという。
 
「一番嬉しかったのは、野球に馴染みの薄い女性やファッション系の方からも『デザインが可愛いから欲しい』という意見を多くいただいたことです。すごいことだと思いました。『街で“絶対野球ファンじゃないだろうな”という方が履いて歩いていたらいいですね』と話していましたので」
 
もちろん野球ファンにも好評である。6球団共同で販売したからこそ起きた出来事も交えて話した。
 
「球団によってひらがなの文字を用いるところも違うので、ファイターズだと「ふぁ」・マリーンズだと「ちば」など。『文字はこれにしたんだ!』といろいろな意見がありました。(意見が)割れるという事は議論が活発になって(各球団間の)相乗効果が生まれているのかなと思います」 

各球団のスニーカー。それぞれの個性が出ている(PLM提供)

この施策はPLMの掲げるものにより近いものとなっていると語る。

「“プロ野球の新しいファンを増やす”というPLMが掲げるミッションの意味でもこの取り組みは最も目指している形です。これを機に野球に興味を持っていただければいいなと思います」

各球団へ回り、交渉を行う

PLMでは、「 FUNスニーカー」の他にも、パ・リーグ6球団とキャラクターがタイアップした公認ライセンスグッズの管理、リーグ公式動画配信サービス「パーソル パ・リーグTV」の運営や6球団の公式HPの管理、6球団共同イベントの取りまとめなどをしている。
 
様々な案件では各球団と、条件交渉など細かな要件の調整等を行う。調整する際はある想いを持って取り組んでいるという。

「ライセンスグッズでは年間約10種類以上、企画、調整をしていまして、主に持ち込んでいただくことが多いです。プロ野球ファンの方には勿論なのですが、野球以外のファンにも魅力に感じてもらえるものにしたいという想いで取り組んでいます。コラボ元のファンもいらっしゃるので、そういった点も考慮して6球団と調整しながら進めています」

プロジェクトの実現に至るまでには、必要な壁を乗り越えなればならない。特にライセンス面に力を入れていると語る。
 
「同じグッズ領域でも1球団ごとにルールが異なるのでその調整が必要です。各球団へ説明に回り、『ライセンシー様のこの商品と組ませていただくことによって〇〇な反応がありますよ』などとメリットを加えることでご協力いただいています」
 
イベントでは、公式戦開催日にタイアップしたキャラクターが球場に来て試合前のステージやイニング間に催しを行ったり、場内アナウンスを行うなど球場を盛り上げている。
 
「観戦に来る方に加えてキャラクターのファンの方やご家族で来場いただいています。観戦に来た親御さん、小さいお子さんなどがそれぞれ楽しめるようなものがあると良いなと思いますし、各球団からも『良い取り組みですね』と評価をいただいています」

タイアップ元への販路開拓

パ・リーグ6球団が一つとなり、タイアップすることで新たな販路を開拓している。辻さんは客層もジャンルも異なる分野がつながるメリットについて具体例を交えて説明した。
 
「昨年にある版権元のキャラクターの映画がヒットしたのですが、我々とタイアップしました。版権元のキャラクターグッズの直営店舗があるのですが、そこにパ・リーグ6球団とコラボしたグッズを販売させていただきました。そこからも購入いただくなど新たな販路となっています」

“野球場以外の店舗にグッズを販売している “
これは、日常的にプロ野球に接する機会を増やすことに繋がると考えている。
 
「メジャーリーグをあまり知らない人でも普段の生活で身に着けているじゃないですか?10代の若い人で選手を知らなくてもヤンキースのキャップをかぶっている。すごく高い目標ではあるのですが、そういうところまで落とし込めればいいなと思っています」

今後は横断的に広げたい

新しいファン層を開拓するために様々な施策を打つべく日々模索し続けている。
今後についての展望を語った。
 
「今後は双方でファンを取り込める施策を打っていきたい。タイアップ先とグッズを売るというよりはイベント一緒にやろうという方が盛り上がります。横断的に取り組んでバリエーションを広げたいです」
 
そして、全国的にファンを増やすこと。PLMだからこそ価値であると考えている。
 
「プロ野球のない地域にいるファンや、北海道出身でファイターズファンだけど九州に住んでいる方などもいらっしゃると思います。我々が入ることでフランチャイズを超えて全国に届けることができると考えています」
 
PLMの事業は6球団=6ではなく、10にも100にもなる事業と掲げている。観客動員数は実数発表を開始した05年からこの15年で約1.4倍に増加。(NPB公式サイトより)

観客動員は各球団の営業努力で大きく成長しているが、ビジネスの裏側ではPLMの存在もパ・リーグを語る上では欠かすことはできない。パ・リーグの結束した取り組みがスポーツビジネスのモデルケースとして、新しい風を送り続けている。

(取材/文 白石怜平)

◆パシフィックリーグマーケティング
プロ野球パ・リーグ6球団(埼玉西武ライオンズ、福岡ソフトバンクホークス、東北楽天ゴールデンイーグルス、千葉ロッテマリーンズ、北海道日本ハムファイターズ・オリックスバファローズ)の共同出資により2007年5月に設立。
 
6球団共同のグッズ制作やイベントを開催するほか、「パーソル パ・リーグTV」や「パ・リーグインサイト」といったメディアを展開している。

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