【プロレスリングWAVE 5.4後楽園】CATCH THE WAVE 2023開幕!

いよいよ5月4日後楽園大会より「プロレスリングWAVE」が主催する女子プロレスのシングルマッチによるリーグ戦「CATCH THE WAVE 2023」がスタートする。優勝者には「波女」の称号とWAVEのシングルタイトル「Regina di WAVE王座」への挑戦権が与えられる。昨年は決勝進出を決めた野崎渚が、前日の試合で負傷。急遽、リザーバーの高瀬みゆきが出場。高瀬との激しい闘いを制した鈴季すずが優勝し「波女」の称号を得るとともに、野崎が返上したRegina王座も戴冠。果たして今年はどんな闘いが繰り広げられるのか。この大会をプロデュースし自ら「女子プロ界最大のシングルの祭典」と豪語するプロレスリングWAVEの会長・GAMIさんに話を伺った。(取材/文:大楽聡詞、取材協力/写真:プロレスリングWAVE)

女子プロレス界一過酷なリーグ戦「CATCH THE WAVE」

プロレスリングWAVE(以下 WAVE)は毎年5月から7月にかけてリーグ戦「CATCH THE WAVE」を開催。プロデューサーのGAMIさんが「トーナメントが嫌い」という理由で、2009年に第1回大会がスタート。今年で14回目となる。

ほとんどのプロレス団体が開催するリーグ戦は約1か月だが、CATCH THE WAVEは2ヶ月以上かけて行われる。

「昔はそれほど試合数が多いわけではなかったけど、他団体から選手に出場してもらうのでリーグ戦を消化できない。ですから2ヶ月くらい余裕を持ってスケジュールを組みました。最初は新木場1stRINGから始まり、新木場1stRINGで終わる大会。それが2年ほど続き、第3回大会からは新宿FACEに。ただ新宿FACEも頻繁に興行ができるほどではなかった。間隔として2ヶ月半に一度。それで最初と終わりを新宿FACEにして大会を実施。それが定着したんです」

WAVEの会長、大会プロデューサーであるGAMIさん

CATCH THE WAVEの特徴の一つに「ブロック分け」がある。通常はA、Bと2ブロックに分けて各ブロック一位の選手同士で優勝決定戦を行うのが通例だが、WAVEはちょっと変わっている。

「最初はAブロック、Bブロック、Cブロックと分けようと思ったけど、特色をつけるために『カテゴリーで分けよう』と提案しました。第1回大会は16名参加。デビュー5年未満を対象にした『ヤングブロック』、昔のUWFのようにギブアップ・KO・TKOの決着のみの『UK(U系)ブロック』、見た目が華やかな実力者を集めた『ビジュアル・テクニカルブロック』、そして試合毎に特殊ルールを決めた『コミカルブロック』の4ブロックに分けました。これまでで1番多かったのは2016年大会の32選手参加。1ブロック4選手、全8ブロックで争いましたね。これを『サッカーワールドカップ方式』と呼んでいます(笑)」

豊富なアイデアで、常にプロレスファンをワクワクさせるGAMIさん。今年も新たな手法でファンの期待を裏切ってくれるに違いない。

そんなCATCH THE WAVE 2023の出場選手は25人。5人1ブロック、全5ブロックで争われる。ブロック名は「ヤングブロック」「エリザベスブロック」「Aブロック」「Bブロック」「Cブロック」だ。GAMIさんにブロックの説明とブロックごとの注目選手を聞いた。

ヤングブロック

(左→右)Himiko、田中きずな、大空ちえ、炎華、鈴木ユラ

ヤングブロックにエントリーされたのは、今年4月2日新宿FACEでデビューしたばかり、WAVE所属の「田中きずな」と「炎華(ほのか)」。

田中きずなは、父がIWGPジュニアヘビー級王座(新日本)、世界ジュニアヘビー級王座(全日本)、GHCジュニアヘビー級王座(プロレスリング・ノア)とジュニアタイトルのメジャー完全制覇を果たした田中稔。母はアイドル並みの人気を博した府川唯未だ。両親とも「娘を絶対レスラーにだけはしたくない」と育てたが、「親の心子知らず」、幼い頃から両親に憧れ同じ道を歩むことに。

炎華は、2020年9月に引退したHIRO’eに憧れプロレスラーを志す。コスチュームはHIRO’eのリングカラーをモチーフにしたオレンジ。田中きずなとデビュー戦を戦い、白星を飾った。

3年連続出場、PURE-J女子プロレス所属の大空ちえ。4月16日、SEAdLINNNG(シードリング)の海樹リコを破り、第28代プリンセス・オブ・プロレスリング王座戴冠。

また大空ちえと同期、AlmaLibre所属の鈴木ユラは出場選手の中で最年少16歳。13歳でプロレスデビューしたJKレスラーだ。GAMIさんによれば「柔術を習っていて関節技の得意な選手」とのこと。

そしてヤングブロックに2022年デビューした1972年生まれのディアナ所属のHimiko選手がエントリー。

「私大好きな選手なんです。51歳なのに若い子の中に混ざり『まだまだ青春です』と笑いながら頑張っているHimikoさん。年齢的にエリザベスにエントリーしようか迷ったけど、最近『アオハル』というキーワードが好きなのでアオハル枠でお願いしました」

以上5名の選手が出場。またヤングブロックで一位になった選手には「プリンセス・オブ・プロレスリング王座」への挑戦権が与えられる。

エリザベスブロック

(左→右)米山香織、チェリー、遠藤美月、旧姓・広田さくら、宮崎有妃

GAMIさん曰く「40歳を超えたおばさんたちのエリザベスブロック」。ヤングブロックと同じようにブロックチャンピオンには副賞としてジャガー横田(ディアナ所属)の持つW.W.W.D世界エリザベス王座への挑戦権が与えられる。

出場するのは一癖も二癖もある選手ばかり。プロレスリングWAVEから昨年はコミカルブロックの旧姓・広田さくら(4大会連続6回目)と、昨年ハードコアブロックの宮崎有妃(4大会連続5回目)が出場。

「エリザベスブロックはハードコアルールの適用はないです。あくまで通常のプロレスルールで行います」とのこと。

そしてキャリア24年目スターダムのリングでも活躍する米山香織(3大会連続4回目)、占い師の顔も持つチェリー(7年ぶり3回目)もエリザベスブロック。

また今年9月引退する遠藤美月(初出場)がエントリー。

「1番最初の後輩が遠藤なんです。遠藤に頑張って欲しいけど、広田も宮崎もレスラーとして色が強い。それに米山もチェリーちゃんも一筋縄ではいかないでしょう。こんな海千山千のレスラーばかりのエリザベスブロックに旬の選手を入れたらトラウマになるし、デビューしたばかりのきずなや炎華は『私プロレス辞めます』と言われかねない(笑)」

プロレスをしゃぶり尽くした猛者が集うエリザベスブロック。別次元のプロレスが体験できそうだ。

残りの15選手はA、B、Cブロック

全25選手が出場するCATCH THE WAVE 2023。上記以外の選手はA,B,Cブロックに分けられる。このブロックについてGAMIさんは「キャリアは最高で10,11年のSAKIちゃんや世羅りさ、柊くるみちゃん。朱崇花もデビューして10年経ってないでしょう?1番下の選手もデビューして4,5年。そこまでキャリアの差はない」と。

Aブロック

(左→右)朱崇花、網倉理奈、狐伯、愛海、柊くるみ

Aブロックは、最近ハードコアでも戦う狐伯(WAVE)、第5代COLOR’S王者の網倉理奈(COLOR’S)、キャリア6年目で18歳の愛海(センダイガールズ)、センダイガールズワールドシングル王者の朱崇花(フリー)、スターダムでも活躍する柊くるみ(プロミネンス)。

このブロックの注目選手をGAMIさんは「WAVE所属の狐伯と言いたいところですけど、朱崇花がダントツでいいですね」と笑う。

2015年、朱崇花は16歳でプロレスリングWAVEに入門、2018年12月まで所属選手としてWAVEで活動。アメリカの団体AEWに参戦、日本だけでなく海外で活躍するレスラーである。

「今年3月1日、新木場で狐伯と朱崇花がシングルマッチを行いました。その試合後、初めて『今日の試合、すごい良かったよ』とメチャクチャ褒めたんです。それは朱崇花が狐伯を引き上げたのと、狐伯が必死になって食らいついていった。ただ狐伯はあと二皮くらい剥けないとダメ。喪が明けるじゃないけど、何かが変わる瞬間は突然やってくる。それが来ない選手もいるんだけど…狐伯にも『そっか、これでいいんだ!』という気づく時期が遅かれ早かれやってくると思います」

現在、狐伯のトレーナーはキャリア28年の宮崎有妃。宮崎はハードコアやデスマッチのリングにも上がる。その影響もあり狐伯もハードコアルールで、たびたび試合を行う。キッカケはいつ訪れるか分からないが、挑戦しない者にはやってこない。ハードコアルールに挑戦する狐伯に神が微笑むのを期待したい。

Bブロック

(左→右)SAKI、関口翔、高瀬みゆき、川畑梨瑚、世羅りさ

BブロックはCOLOR’SのリーダーSAKI、プロミネンスのリーダー世羅りさ、CATCH THE WAVE 2021覇者・高瀬みゆき(YOLO)、アクトレスガールズ卒業後はフリーとして活動する関口翔、昨年はFutureブロック出場の川畑梨瑚(T-HEARTS)の5選手。

「SAKIちゃんはいろいろなことを考えている。『そろそろ業界の中心に行ってもいいねんぞ』と思う人」

SAKIは2011年、井上貴子がプロデュースするアイドルレスラープロジェクトに合格。現在、東京女子プロレスのプリンセス・オブ・プリンセス王者の瑞希とともに「ブリバト♡」としてデビュー。

2017年よりアクトレスガールズ所属。だが2021年12月、アクトレスガールズのプロレス活動終了に伴い、団体を卒業。

2022年2月12日に清水ひかり、網倉理奈、櫻井裕子とともに新生COLOR’Sを旗揚げ、リーダーとして周りを引っ張る存在だ。

Bブロックはハードコア&デスマッチユニット「プロミネンス」のリーダー世羅りさも出場する。その世羅について「世羅は勝手に目立つんで」と笑いながら答えた。

リーダーとして活動する選手も、それぞれタイプが異なる。今年のゴールデンウィークは女子のリングだけでなくプロレスリング・ノアや全日本プロレスにも出場。各団体から引っ張りだこのSAKI。その実力は誰もが認めるところ。今年のCATCH THE WAVE 2023をキッカケに業界の中心選手となることはできるのか?

Cブロック

(左→右)梅咲遥、清水ひかり、笹村あやめ、青木いつ希、櫻井裕子

Cブロック出場選手は、現在WAVE認定タッグ王者の青木いつ希(ショーンキャプチャー)、4月29日にW.W.W.D認定世界シングル王者を戴冠したばかりの梅咲遥(ディアナ)、昨年SAKIとのタッグ「galaxyPunch!」で第30代WAVE認定タッグ王者となり大きく成長した清水ひかり(COLOR’S)、CATCH THE WAVE 2023初出場の櫻井裕子(COLOR’S)、2年連続2度目の出場となる笹村あやめ(2AW)。この中でGAMIさんの注目選手は青木いつ希。

「最近、プロレスが安定している。昔はすぐに心が折れたんですよ。『青木の心はプレパラートやな…』って。清水ひかりもプレパラートなんですけど、WAVE認定タッグ王者になりメチャクチャ変わった。青木も最近乗ってて調子がいい。デビューしたばかりのきずなちゃんと炎華と対戦させたら、後輩を引き上げる力もついてきた。WAVE認定タッグ王者として風格も出てきて頼もしい選手ですね」

最後にGAMIさんに大会への意気込みを伺った、

「本当に怪我なく終わってほしい、それだけなんです。毎年、誰かしら怪我をするので。呪われてはないですよ。呪われてはないんですけど、毎年欠場者が出る。去年は野崎渚が優勝決定戦前日にケガをして決勝欠場。ただそれを経験したので『なんでも来い!』という感じです。だから出場する選手がケガしませんように!」

今年のCATCH THE WAVE 2023は5月4日後楽園でスタート。7月17日後楽園の決勝まで全12大会が行われる。優勝者には「波女」の称号とWAVEのシングルタイトル「Regina di WAVE王座」への挑戦権が与えられる。現在のチャンピオンは、AEWで活躍し世界中を飛び回るレスラー”志田光”だ。参加25選手、2か月に及ぶリーグ戦を制し灼熱のリングで波女を手にするのはいったい誰だ!

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