【DDTプロレス 上野勇希】樋口和貞さんに勝てば、2023年は僕の年になる!
DDT人気No.1ユニット「The37KAMIINA(サウナカミーナ)」に所属、タレント・俳優としても忙しい日々を送る上野勇希。現在開催中の『KING OF DDT 2023』トーナメントで準決勝に進出。昨年のD王GPに続き頂点を目指す上野だが、準決勝の相手は昨年末KO-D無差別級タイトル戦で敗れている樋口和貞。
DDTプロレスの大人気ユニットThe37KAMIINAのメンバー
上野勇希、1995年9月1日生まれ、大阪府八尾市出身。同級生の竹下幸之介がプロレスラーになり試合を観戦、プロレスに興味を持つ。
高校卒業後、自転車屋と寿司屋でバイトをしながらトレーニングを開始。プロレスラーのような身体を作るため、ジムに通い始めた。
2016年1月、成人式の日にDDTプロレスの入団試験を受け合格。同年10月17日に樋口和貞戦でデビュー。以来DDT UNIVERSAL王座やKO-Dタッグ王座などを獲得。
2019年8月にサウナ好きの竹下幸之介、勝俣瞬馬、上野勇希、MAOの4人でユニット「The37KAMIINA(サウナカミーナ)」を結成。2021年11月に小嶋斗偉が加入。プロレスだけでなく、テレビや雑誌などでもサウナの魅力を発信している。
現在、DDTプロレスの中心ユニットとして存在感を発揮する「The37KAMIINA」だが、2022年4月、AEW参戦のため中心的な存在だった竹下幸之介が渡米した際、危機が訪れた。
MAOは「竹下選手が抜けることによって、火力が落ちる」と危機を露わにしたが、上野は「The37KAMIINAをどこまで伸ばせるか、プラスに考えています」とポジティブに捉えていた。
上野は2022年8月に高梨将弘を破りDDT UNIVERSAL王座を奪取、年末のD王GPで納谷幸男を破り初優勝。
2023年1月、勝俣とMAOのタッグ「しゅんまお」は、吉村直巳がケガで返上したKO-Dタッグ王座決定戦で高梨将弘&クリス・ブルックス(CDK)と戦い勝利。現在もKO-Dタッグ王者として5回の防衛に成功している。
また勝俣は今年5月、DDT EXTREME王座の秋山準を破り第57代DDT EXTREME王者に輝いた。
上野の言葉通り、The37KAMIINAはDDTの中で自分たちのポジションを切り開いた。
「キャリア的にもDDTの流れ的にも、志を強く持っているのがThe37KAMIINA。タケ(=竹下幸之介)がアメリカに行くと決まった時に、僕は『自分がやるしかない』と思っていました。D王GPを獲得しKO-D無差別級ベルトに挑戦できたのは、僕自身の想いが積み上げられたからだと思います。それ以上に「しゅんまお(勝俣瞬馬&MAO)」のタッグは躍進している。最近では海外での活動を見据えたMAOさんが、自分の野望を全面に出した。「竹下幸之介」というすごいレスラーが海外に行き日本不在になったら、自分がすごいレスラーになるしかない。それがプロレス界です。後輩の小嶋斗偉こそ見えない努力を積み重ねている。それがいつ、どのタイミングで大解放されるのかワクワクしています。タケがいなくなり「こうなるだろう」という想定以上に、楽しくできていますね」
現在、上野はNHK Eテレ「天才てれびくん」にレギュラー出演。プロレス以外の活動も多く、忙しい日々を送っている。
「試合や撮影、その他にも仕事があります。ただ練習する時間は確保するようにしています。『天才てれびくん』は、朝早くから日没までのスケジュールが多い。例えば、撮影が朝7時から夕方6時までだとすると、朝5時に起きればトレーニングができる。撮影後でも夜9時までにはトレーニングを終えられます」
かなりタイトなスケジュールだが息苦しくないのだろうか?
「自分でも『なんでこんなタイトなスケジュールなのに、ストレスがないのかな?』と考えることはあります。でもトレーニングとサウナにさえ行っていれば大丈夫。忙しい中でもトレーニングの時間は確保できるし、精神的にストレスなく、プロレスラーとしての積み上げも同時にできている。毎日充実していますね」
2.21東京ドーム武藤敬司引退興行、3.1後楽園ジュニア夢の祭典に出場
上野は2.21東京ドーム武藤敬司の引退興行と3.1後楽園ホール『ジュニア夢の祭典 ~ALL STAR Jr FESTIVAL 2023~』に出場した。他団体のリングに上がって何を感じたのだろうか。
「東京ドームでは武藤さんの引退試合に集まった人たちの熱量を感じました。高木さん(高木三四郎社長)、HARASHIMAさん、坂口さん(坂口征夫)、タケちゃん、そしてDDTみんなの顔がパッと出てきた。『この熱量がDDTに向けられたものだったら』と真っ暗で何も見えない広い空間を見て思ったんです。そして、いつか東京ドームでDDTの大会を開催したい」
東京ドームは、第2試合「DDT提供試合」で8人のレスラーが出場。男色ディーノやHARASHIMAといった「The DDT」ではなく、若手選手がリングに上がった。
レスラーとして東京ドームのリングに上がりたくない選手はいない。だからこそ上野は出場できなかった選手の思いも背負いリングに立ったのだ。
3.1後楽園ホール『ジュニア夢の祭典 ~ALL STAR Jr FESTIVAL 2023~』は新日本プロレスの高橋ヒロムが2022年2月に「ジュニア革命計画」と題し、SNSで国内外の団体問わず「ジュニアオールスター戦」に「誰が出てほしい?」「観たいカードは?」と募集。同年8月に集計結果を動画サイトで発表した。DDTからはMAO、須見和馬、平田一喜、そして上野が出場。
「ジュニア夢の祭典の『プロレスで面白いことしたい!プロレスは熱くいきたい!』『楽しいこと、面白いことを追求していこうよ』っていう気持ちが僕はすごく好きで。純度100パーセント、ポジティブなエネルギーで、22団体50人以上もの選手が集まった。単純に本当に楽しいことやろうよって提唱した高橋ヒロムさんの純粋な気持ちが、素直に好きですね」
DDT最強決定トーナメント「KING OF DDT 2023」
現在開催中のDDT最強決定トーナメント「KING OF DDT 2023」。5月6日に新宿FACEで1回戦が行われ、上野は土井成樹に勝利。今年1月、土井にUNIVERSAL王座を奪われた上野は雪辱を果たした。
「トーナメントの1回戦として土井さんとのシングルで戦ったけど、1月の新宿で敗戦した時の気持ちは引きずらずに戦いました。トーナメントは『勝ったら次に上がって、また勝ったら次に上がって』と一つ一つ繋いでいくという感覚。タイトルマッチとは別物だと思っています」
2回戦の相手は三沢光晴の遺伝子を持つ鈴木鼓太郎。鼓太郎はエルボーと腹部への攻撃で上野を追い込んだが、一瞬のスキをついた上野がフォール勝ち。準決勝進出を決めた。
5.21後楽園「KING OF DDT 2023 FINAL!!」で今年の覇者が決定する。勝ち上がった4人は、KING OF DDTトーナメント2022年優勝の樋口和貞、2021年D王GP優勝の秋山準、元KO-Dタッグ王者のクリス・ブルックス、そして2022年D王GP優勝者である上野勇希。
「準決勝に進出した4人(樋口、上野、秋山、クリス)は、めちゃくちゃDDTを体現しているレスラーです。もう素質も国籍も体格も関係ない。4者4様の面白さを兼ね備えたプロレスラーだと思います。準決勝で戦う樋口さんに僕は去年の年末に敗れている。ただそこから僕も積み上げてきている。最近の樋口さんは「強さの象徴」から離れて楽しく試合をしている。そんな強くて楽しい樋口さんに勝てば、2023年、僕の年になると思っています。樋口さんに勝てば、決勝は秋山さんとクリスのどっちが来ても優勝できると思っています」
上野の準決勝の相手は、昨年末KO-D無差別級タイトル戦で敗れている樋口和貞。圧倒的なパワーの前に悔し涙を流した。だがそれから約半年、上野には積み上げてきた自負がある。DDTを背負うべく、上野はKING OF DDTトーナメントを制覇し、新しい時代の幕は開かれるのか?
(おわり)
(取材・文/大楽聡詞 写真提供/DDTプロレスリング)