• HOME
  • コラム
  • 野球
  • 積極的に、アグレッシブに、Liga Agresiva大阪、9年目の課題、目的を3人の指導者に聞く

積極的に、アグレッシブに、Liga Agresiva大阪、9年目の課題、目的を3人の指導者に聞く

高校野球のリーグ戦、Liga Agresivaは、2015年に大阪府で始まった。

単に「高校が集まってリーグ戦をする」だけでなく、「Liga Agresiva」はリーグ戦運営のコンセプトとして3つの柱を設定している

リーグ運営の3つの柱

1.球数制限

2021年から日本高野連も「7日間で最大500球」という球数制限を導入しているが、これよりもはるかに厳しいアメリカの「Pitch Smart」に近い1日の投球数100球程度の上限を設けている。

このルールによって、投手の肩肘の負担が軽減されるほか、複数の投手の起用が前提となり、とかく「エース中心主義」になりがちな高校野球の戦術が変わる。またスライダーやフォークを禁止して、チェンジアップ、カーブを推奨し、変化球の割合も設けている。

複数の投手起用が前提になることで、各校に複数の投手が揃うようになり、春、夏、秋の県大会などでの戦い方も変化しつつある。

従来の「エースを中心にした戦い方」に変化が起きているのだ。

球数制限がある

2.低反発バットの使用

甲子園で使用する高反発の金属バットではなく、アメリカの「BBCOR.50」という規格の金属バット、あるいは木製バットを使用する。高反発の金属バットは、大学、社会人、プロでは使わないため高校球児はステップアップすると「バットのギャップ」に苦しむが、高校時代から低反発バットに慣れることで、芯に当てて振りぬく打撃が身につく。さらに打球速度が遅くなることで、野手は打球を恐れることなく積極的に守ることができる。投打で積極性が身につくと考えられている。

来年度から日本高野連は新規格の低反発金属バットの導入を決めている。このバットの仕様はBBCORとは異なっているが、それでも低反発金属バットで試合をした経験は、今後に役立つはずだ。

低反発金属バットを使用

3.選手、指導者の学び

ルールや用具面の考え方以上に重要なのは、リーグに参加する選手、指導者が「学ぶ」という3つ目の柱だ。「リーグ戦を行う意義」や「スポーツマンシップ」などのセミナーを受講するのだ。コロナ期間中は、リモートで行われていたが、コロナ明けになった今年からは実際の座学で行うところも出始めた。

また、試合後にアフターマッチファンクションと称する対戦チーム同士のミーティングも設けている。

相手チームのプレーを評価し合い、トレーニング方法や技術、知識などの意見交換をする。こういう形で、知識を高め合うとともに「同じ野球をする仲間」として、互いをリスペクトし合うようになるのだ。

また、原則としてベンチ入りの選手は全員試合に出る。場合によってはリエントリー制を導入するなど「選手の出場機会を確保する」のもLiga Agresivaの特色だ。一戦必勝のトーナメントとは異なり、負けても次があるリーグ戦は、柔軟な選手起用が可能なのだ。

Liga Agresiva大阪では、6回以降に1死一二塁などの状況設定を行って試合をしている。これは、様々なシチュエーションを体験することで、実戦での対応力を強化することを目的としている。

スコアとともに「一球速報アプリ」アプリも入力

さらに大阪では「一球速報アプリ」をスマホに入れて、マネージャーがオンタイムで試合の情報をネットに上げている。マネージャーにとってはスコアブックの記入に加えて、スマホでの入力と言う仕事ができてしまうが、これによって、試合会場に来れない関係者、父母、ファンも選手の成績を共有することができる。

「一球速報アプリ」を観ることで、自分の選手としての特徴や長所、欠点がデータで把握できるのも大きなメリットだ。

こうしたコンセプトでもわかるように、「Liga Agresiva」は単なるリーグ戦ではない。高校野球の現場で日々奮闘する指導者が「リーグ戦」という新しいトライアルをする中で、問題意識を共有し、高校野球の新たな可能性を模索する「ムーブメント」でもあるのだ。

早稲田摂陵対花園

今年のLiga Agresiva大阪は、大阪府立門真なみはや高校、大阪府立みどり清朋高校、大阪学芸高校、大阪府立旭高校、大阪府立今宮高校、大阪府立布施高校、大阪府立花園高校、関西大倉高校、早稲田摂陵高校、羽衣学園高校の10校で、9月10日から11月4日までの日程で行われる。

9月24日、大阪府立花園高校グラウンドでは、花園高校、早稲田摂陵高校、旭高校によるリーグ戦が行われた。各校の監督に話を聞いた。

主体性ができてアグレッシブな試合になってきつつある

大阪府立花園高校 山住将也監督

大阪府立花園高校 山住将也監督

僕にとってはこれが3年目のLigaになります。なんか定着してきていると言う認識は選手にも出てきたようで、僕自身もこのリーグ戦で何をしなければいけないかを考えられるようになってきました。リズムが出てきたと言うところでしょうか。

ただ選手数は9人ともう1人が入るか入らないかという状態で、単独で試合をするにはぎりぎりです。

去年の途中から始めたのですが、スタメンなども本人が決めてポジショニングなども選手が決めるようにしています。

主体性ができてアグレッシブな試合になってきつつあるかなと思っています。

投手は、当然、1人で投げるのは難しいので2人、3人でつないでいくことはずっと意識しています。ポジションも二つくらいはできるようになっています。

この3年間、受動的な時期が多かったように思います。

試合の前に言っているのは、チームメイトとしっかりコミュニケーションをとることと、プレーのイメージを持ってプレーするようにと言う2点ですね。

それからLigaでは、試合後半に様々なシチュエーションを設定しますが、ランナーを背負うのはうちのチームでは多いので、Ligaの試合の度にたくさん課題が出て、次の週の練習のテーマになることが多いです。

そういう意味で、いいサイクルで練習をするうえでも役立っています。

試合の経験ができる場として良い機会

早稲田摂陵 對間直也部長

うちは1、2年生で70人くらいいる中で、中々試合出場できない選手にも試合の経験ができる場として良い機会だと思っています。

うちのチームは投手は4人くらいはほぼ固まっているので、ここに出る子は5人目を狙うとか、投手の経験をたくさん積むとか、目的をもって投げていると思います。

飛ばないバットについては、とにかく強くアタックしていこうと言っています。今は細かいことよりもしっかり力強く振り抜くことが大事で、その練習にはLigaはとてもマッチしていると思います。

「球数制限」もそうですね。うちは投手が多いので、無駄球が多いとなかなか出場機会もないよ、と言っています。そういう風にテーマを持って臨めることも良いのではないでしょうか。

走塁でも、相手チームが少しでもファンブルしたら次の塁を狙うとか、そういう積極性を身に着けてほしいですね。

今年の甲子園はLiga Agresivaの仲間である慶應が優勝しましたし、おかやま山陽や、東京学館新潟、立命館宇治も甲子園に出場しました。

グループlineでもつながっていて盛り上がっていたので僕たちもそれに続きたいですね。

真っすぐを強く磨いていこう

大阪府立旭高校 小林豊監督

大阪府立旭高校 小林豊監督

最初に参加させていただいたときに、チームをシャッフルしていろんな学校の選手と混成チームを作らせていただいたのですが、それがめちゃめちゃ面白くて。指導者もシャッフルしていたんで、選手だけでなく指導者も常にレベルアップしていかないと、刺激を受けて成長する子らに適切なアドバイスができないと思いました。その経験が、自分の成長につながったと思っています。

Ligaに参加して今年で4年目です。選手は11人でスタートして2人入学してから入ってくる子がいて13人です。どんどん減ってきているので、成果を出し切れていない部分もあるんですが。

昨年は低反発金属バットで普通のホームランが出たり、技術的にはしんどいチームではありましたが、それでもかなり成果を感じました。

今年は「140㎞/hプロジェクト」という形でまず真っすぐを強く磨いていこうとしています。「球数制限」は、昨年はコントロールが悪くてかなり厳しかったのですが、今年はみんなストライクが入ります。

とにかく速い球を打って、速い球を投げないと、私立とは戦えないので、それを目標にして頑張っています。

関連記事